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公孫度王、ヒミコ女王の要請に便乗し、紀行文を書く旅人を使者として送る

「何を馬鹿な心配をしておるのだ倭人は‥何も我々は

、半島を制覇しようなど思っておらんわ。〈楽浪郡〉

が高句麗や濊に脅かされているので、〈帯方郡〉に拠点を置き換えようとしているだけだ‥、それを馬韓の

伯済が要らぬ反発をして抵抗しているから、やむ無く、我々の力を見せ付けて

いるだけなのだ‥、倭人め、下らん心配などして口出しするなど以ての外だわな‥、それで康よ!戦況はどうなっているのだ‥?」

「いや、大した力も無いのに抵抗しているだけで、我軍はもう〈水原スオン〉まで制圧しております。伯済は懲りずに馬韓の

月支王げっしおう

、援軍を頼んでいる状態です」

「そうか、まだ伯済は納得しておらぬか‥しかし、それ以上南に軍を進めることは止めよ。領地を確保しても、戦力の分散は控えねば

ならん」

「分かりました。それで‥

先ほどおっしゃっていた、

大胆不敵とは‥、?」

「いや、今一度その〈日弥呼〉女王とか言う者の〈文〉を読み返していたのだが‥どうも、我々の国の思惑を察知しているような気がするのだ」

「と申しますと‥、?」

「ふぅ~~む‥、はっきりとは〈文〉には書いておらなんだが‥我々は、漢王朝

の下で〈リヨウ東郡〉の太守として、長年尽くして来たのだが、数十年前から王室では〈宦官(去勢した役人)が権力を握り、横暴を極めた為、地方の軍閥達が幾年も掛けて、宦官達を皆殺しにしてしまったまでは良かったのだが、

代わった権力者達は、宦官達と同じく次々と己れの欲の為の圧政を繰り返し、漢王朝を無力化させてしまっていたのだ。それで、我々も身の安全を守る為,リヨウ東郡や近辺の楽浪郡を我

我の支配下に置いて、漢王朝から独立したのだ。しかし、我々の戦力もそう盤石ではない‥、北の高句麗や東の濊が共に攻めて来たら、追い返す力は無いのだ

。しかし彼らも〈リヨウ東郡〉まで攻めいる国力は無いのだが、だからと言って

我々もそれで安穏とは行かないのだ。漢王朝に勝れた

〈ジヨウソウ、総理大臣〉

が立てば‥、必ずリヨウ東郡の奪回に来る筈だ。それでやむ無く、未だ確たる戦

力のない韓の国々を制して来たのだが‥、?」

 長い父の追憶というか独語に戸惑いながら

「父上‥それと〈日弥呼〉とどういう繋がりが‥?」

「馬鹿者‥!先ほど言ったではないか‥、それらの事情を踏まえて、日弥呼はワシに〈文〉を寄越して、使者まで送って来ているのだ

‥、!」

「すると、韓人をけしかけて、我々に立ち向かうと!

「そうだ。倭人が韓に加担したら、どうなるか試そうという訳だ」

「父上‥、!ひとつ脅しを掛けて見ますか。その倭人がどれほどの力を持っているのか、試そうではありませんか‥、!」

「そうよのう‥、これ程の女子じゃ。もう仁川沖の江

華島に軍船を集結させているだろう。それに、侮れないことがもう一つ有る‥十年ほど前になるか、〈辰韓〉の王が倭人の戦力に圧倒されて、我に助けを求めて来たことがあったな‥」

「ええ!そんな事が有ったのですか‥!!」

「そうよ‥その頃‥我は余り南の韓人には興味が無かったので、断ってしまったが、その為か、辰韓は半島の南の果ての〈金海港〉近辺を奪われてしまったらしい」

「そういうことだったのですか‥、私も僅かな記憶が残っています。すると、これは迂闊に動くと飛んだ目に遭いかねませんね」

「列島(日本)の国々でも

、力のあった国は昔から〈漢王朝〉に貢納して、倭人の存在を鼓舞しておったと聞く。その単独の国々が

連合し、その〈長〉に女王

を据えたというのじゃ」

「父上‥その女王というのは、七~八年前に辰韓の船団を追い散らした〈オオヒルメ〉という女性では‥?

「いや分からん。〈名〉も違うし、〈日弥呼〉という女王は、年の端もまだ三十才みそじに達して無いと聞くぞ。そなたと余り変わらないらしい‥、」

「‥、!?」

 康は、なんとなし、その倭人の女王に興味を持ちだした。

「父上‥!一度、その謎めいた列島の連合国に、様子を窺わせに行かせましょうか‥、?」

「うん!誰か当てでもあるのか‥、?」

「はい、〈長安(漢王朝の首都、洛陽から代わった)

〉の〈魚孟(ぎよもう「魏志倭人伝」の元となった「魏略」の作者魚弦(ぎよげんの叔父)という旅好きの男が、今、帯方郡に来て居りまして、ちょっとした紀行文も書いているらしいです。私もまだ話しか聞いていませんが、倭人の事情を探るには、ピッタシの男ではないかと‥、」

「ふ~~ん‥そうか。よし

、それはそちに任せよう。

それでだ‥、今、返事を待たせている、倭人の使者達

に対しての返答をどうすべきかだ‥、」

と顔を宙に向けた。

〈康〉はニタツと笑い、用心深い父の懸念を払拭するように

「それは父上‥父上も先ほどおっしゃったように、戦力の拡散と消耗を防ぐ為には、この度は、その〈日弥呼女王〉の申し出に便乗して〈和解〉という形で‥収めては如何でしょう。当方の条件として、〈交易料(関税)〉を幾ばくか徴収する‥、という様子見で

‥、」

と一気に申し出て、父の迷いを吹き飛ばそうとした。

 公孫度は、息子の〈康〉のあっさりした結論の出し方に、苦虫を噛み潰したような顔をしたが、勢いのある息子の話しぶりに安堵したのか

[結局、高慢な倭人の女王に、一枚乗った方が、我が国の安泰に繋がっていくのではないか‥、と]

 こくりと、〈康の判断〉に相づちを打った。


 秩父に戻った〈アメノホヒ〉は、昨年のヒミコ女王の指示を〈ヒルコ〉に話した。

「何と馬鹿げたことを‥、

!」

 ナミが亡くなり、

ナギも失踪してしまい、ヒルコは遣り場のない悲しみと怒りを、姪のヒミコ女王にぶっつけた。

「国力を付けると言っても

所詮しよせん父(ナギ王)の跡を継いで〈倭人の国づくり〉で、この列島の制覇を企んでいるのであろう。伯父上アメノホヒ

はどのように捉えているのですか‥、?」

「いや、私は勿論、この列島の国力が増すことは望んでいるよ‥どの様な形で為していくのか分からないし、何れにしても至難の業であろう。例えヒルメが、

そなたの言うように、倭人の制覇を企んでいるにせよ

、韓の国々に引けを取らない国づくりをして行ったなら、私はヒミコ女王に拍手を送りたいと思うのだが‥、」

「そうですか‥出雲国がどうにかなってもですか‥、

?」

「いや!それは困るよ‥!!

しかし、ヒミコも元〈フゲキ〉だ。出雲のことは、何らかの形で温存していくと

思うのだが‥、」

「そうですか‥、で昨年お会いになって、ヒルメ、いやヒミコ女王の感触はどうだったのですか‥、?」

「いや~~実にしっかりした女性だったよ。可笑しな

言い方だが〈立派な鬼女〉

だね‥あれは」

「‥、!?」

「いやいや失礼した‥ヒルコ。私が言いたいのは、ナギ王が居なくても、立派に

やって行ける女王‥、と言うことだ。ハコクニの叔父(父タカムスヒの従弟)が

、ヒミコ女王に一目置いて

話をしているくらいだから

、私達には見えぬ厳しさを持っている方(ヒミコ女王)と思ったね‥」

「ふ~~ん‥、伯父上が、それほど思っておられると言うことは、これから難儀な敵にぶつかって行かねば為らないと言うことですね

‥、」

「敵‥、?どうして敵に為るのだ‥、?」

「伯父上も、この東の国や

北の国々を回って感じたと思うのですが、〈ヤマト〉より東や北の地域では、何も列島の統一など望んでいませ。

一つでは足りなく、二つの方が良いというので有れば

、互いに自然に合併していくでしょうし、文化やいろんな技術、それに教育が学び取れなくなり、遅れを取るという懸念には、今、韓国や中華との交易が阻止されても、それらの国と交易している列島内の国々と交流して、学び取れば良いことではないですか。

 ヒミコ女王が何が何でも

、列島の全ての国々が連合国に加入しなければ、強い国力のある国家にはなり得ないというのは、倭人の驕りに他為らないのでは‥、

そう思いませんか伯父上!

 じっと考え込んで、ヒルコの話を聞いていたホヒは

「しかし、西や南の国々に

仲間外れにされてしまうのではないか‥頑なに連合国を無視していたら‥、」

「しかし、この時期[ヒミコの時代。西暦二百年代の初期]に東や北の国々(関東や東北)には〈国力〉と

言うより、一年の気候の厳しさにどう耐え忍んで、年中の〈糧〉をどう確保していくかが先決で、西や南の国々の人々が、想像出来ない状態なのです。

 何百年も前から、この地域で定住して来られた国々は僅かしか無く、殆どの民

は常に季節によって流浪する有り様だったのです。この二~三百年で、厳しい状況の中でも、食料を確保するのに成功して、ようやく

村々や国々が落ち着いて来ましたが、まだまだしっかり安定して居ないのです。年によってこの地域全体が

大荒れに見舞われ、大飢饉に陥る時が有るからです

今、連合国に加盟すれば、逆に〈ヒミコ〉の足を引っ張ることに為るのは目に見えています。〈ヒミコ女王〉の全国統一は、時期尚早と言わざるを得ません。

遠い先、我々の子孫がどう考えるかは、その時に判断して対処して行くことでしょう。将来、その時は必ず来ます‥、私は、そう思って反対して居るのですよ伯父上‥、」

 アメノホヒは、ヒルコの言っていることは尤もだと思うのだが、それでヒミコ女王が、納得するだろうか‥、と不安になった。









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