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「宗像三神」の恋の行方は‥?男達は居落とすことが出来るか

 館の門の前には、三人の男女が出迎えていた。顔が見える所まで来た時

「お嬢様‥!あの男ですわ。タキツビメ様の裸を見ていたのわ‥!?」

と目を丸くして、ヨシがイワナガヒに小声で知らせた。

「ええ‥!!」

と思わず声を上げたので、四人ともびっくりして振り返った。

「済みません‥何ともありませんわ」

とイワナガヒが、自分でびっくりして口に手を当てた。

「イワナガヒ、お父様の隣にいる男性は何方なの‥?

と、タギリビメが不思議そうに尋ねた。

「ええ、お姉さま‥私も見しりが無いので、少し戸惑ったぐらいです」

と、先ほどの失態を繕った

 しかし、サヨリビメは、ニンマリと舌鼓を撃つような目に変わっていた。

 三人の前まで来た時、ワタツミが青年の顔を見て

「おお~~ヒコミコ殿!!」

と、びっくりした顔で青年を呼び掛けた。

「小父様、お久しゅう御座います。その節は、大変お世話にに為りました」

と丁重に挨拶した。

 サヨリビメがすっと前に出て

「私達の父のアズミと妹のタキツビメですわ」と二人に紹介し、互いに目礼している間に、ヒコミコには片眼で合図した。ヒコミコは思わず目を反らした。

 アズミが

「さあさぁ、挨拶は中に入ってから、ゆっくりして頂きましょう。タキツビメ‥お二方を中にご案内して」

と急かせた。

 館の大広間には、二人づつの椅子と卓が正方形に並べられていた。

 各卓上には、縄目の模様を描いた皿と器がセットしてあった。

 大広間の三方には、所狭しと、列島の各国の特産品や半島(朝鮮)、大陸(中国)の物も混じって並べてあった。

 二人は入るなり

「おお‥!!」

と、その光景に感嘆の声を上げた。

 流石に「交易」を生業なりわいにしている王の館だわい‥、と、感心しながら、オオナムチとワタツミは互いに納得して椅子に座った。

 全員が着席したのを見計らって、アズミが立ち上がり

「オオナムチ様、ワタツミ様‥、初めて拝顔の栄に浴して感極まる思いです。お二人とも今、この列島で英雄として各地で称賛されておられます。よくぞこの宗像の地にお出で為られて、非常に光栄に思って居ります。この度は、宇佐のミナカミヌシ様がご逝去され、これも又、私に取っては光栄とは逆に、極上の嘆きで御座います。私の父〈シイネツヒコ〉が、まだ交易のイロハも解らない若い頃、たまたま宇佐に立ち寄り、ミナカミヌシ様に会ったところ、積んでいた各地の物産を、何も聞かず全部引き取って頂いたそうです。その日は、お嬢様の〈ナキワサメ〉様と今の出雲国の大王に成られた〈ナギ〉様との間にお子様が産まれた日で、大変目出度い日に良く来てくれた‥、縁起を担ぐ男だと、父を大変気に入ってくれたそうです。それ以来、何処へ行っても宇佐のミナカミヌシ様が信用されている男だからと、生業が順調に進んだそうです。父に取ってミナカミヌシ様は、命の恩人とまで尊敬していました‥、」

「その産まれたお子さんと言うのは、ツクヨミ様のことですね‥、」

とワタツミが、嬉しそうに相槌を打った。

「はい‥、〈ヒミコ女王〉の母君です」

「ええ‥!!」

と、知らない者はその事実に驚きの声を上げたが、ヒコミコとタギリビメは、ツクヨミのことは良く知っていた。只、宗像族と宇佐との関係を始めて知ったので、違うニュアンスで驚いていた。

「それで、父の跡を継いだ私も、近々ご挨拶にと思っていた矢先だったので‥、残念で成りません‥、」

と俯いてしまった。

 一瞬シ-ンと為ったが

「父上‥今日はお通夜ではありませんわ‥、」

とタギリビメがニッコリ笑って、父を慰め元気づけた。

「いやいや、私事でえらく湿っぽく為りましたわ‥あははは‥、」と空笑いし、椅子に座って

「どうですか‥?お義姉様

(アズミの兄の嫁)から便りが有りますか、オオナムチ様‥、」

トヨウケジに似て美男のオオナムチは、紹介されずともすぐ分かってアズミは尋ねた。

「ええ、西都原のオオヒルメ様の所へ行ったきり、一度も帰っては来ませんが、二年に一度は〈文〉を寄越して呉れていますよ。只、オオヒルメ様は最近体調が思わしくなくて、〈高千穂〉の山に籠もったきりなので、国は妹とククノチ様という大臣と二人で、代わりに守って居るようです」

 オオナムチにとって、トヨウケジは実の妹なので、少し心配そうに答えた。四人姉妹の伯父なのだ。

「そうですか‥、あの辺りは、馬韓人の残党が潜んでいると、昔から聞いていますので、何も無ければ良いのですが‥?」

 交易で各地を巡っているアズミは、その辺りの事情を良く知っていた。

「そうなんです‥此処に来る道すがら、オオナムチ様からそれを聞いて、少し心配で日向に寄って見ようかと思ったのですが〈ヒミコ女王〉に、オオゲツ様の故郷に寄って、彼女が元気で居ることを伝えて来て欲しい、とご依頼され、又、私が〈ヤマト〉へ戻れば、ヒミコ女王が宇佐に参りたいとおっしゃっていました。それで西都原へは寄れなんだのですよ‥、」

と。ワタツミも、オオヒルメの動向を気に止むでいたのだ。

 いくら気丈夫なお方でも、病には勝てぬし、日向、西都原近辺は、出雲の同盟国も倭人の連合国も見当たらない地域なのだ。日向の〈ホデリ王〉が頑張っているが、日向から北の地は、ようやく〈宇佐〉が一番近い所にある国と言うことになる。

「ほらほら‥皆様。お話に夢中になると、何か湿っぽくなって行くようですわ‥、イワナガヒ、タキツビメ‥[壁に立ち並んでいる女性達に向かって]皆様にお酒を注いで下さいな。お食事も急いでぬ‥!」

 タギリビメが、場の雰囲気の換え時と判断し、妹達や使用人に矢継ぎ早に指示した。

「ところで‥お父上のお隣に座っているお方は‥?先ほど、ワタツミ様がヒコミコ様とおっしゃって居たのですが‥、」

「タギリビメ‥そのお方‥

」と、三人の男性が同時に発言しょうとした。[勿論、アズミは隣に座っているので、手振りで居ること、「このお方は」と言ったに違いない]

「ええ‥!?」

 タギリビメは、この男の素性を自分しか知らなかったのか‥と戸惑い、まず妹のサヨリビメに目を向けた。

「お姉さま‥十三年前に〈宇美の里〉で会っていたなんて、もう覚えて無いわね‥、」

 サヨリビメは、二タッとしてヒコミコの顔を見るよう姉を促した。

 タギリビメは、ヒコミコの顔を見ながら

「ええ‥?あの時に一緒だった男の子は二人だったけど‥一人は〈ハコクニ様(宇美の里の校長)〉のお子と‥ああ~~あ思い出したわ。確かやんちゃなお子が居たわ‥、ええ‥?あの時の子がこのお人なの‥、

!?」

 もう一人で会話しているように、思い出そうとしては、はっきり脳裏に浮かばず、影がおぼろげに写し出されるとびっくりしたりで、周りの者達は、その慌てぶりに、声を殺して笑う羽目となった。

「お姉様‥彼は、私達の班に同行されたのよ‥、」

「そうだったの‥!本当にご立派に成られて‥、」

 少し落ち着いたのか、じっとヒコミコを見て笑顔で目礼した。

 ヒコミコもすくっと立って

「その節は、ご面倒お掛けしました‥、」

と挨拶した。

「いいえ~~私は‥、」と言いかけた時

「彼はね。オオヒルメ様のお孫さんで‥」

「ええ‥!そうなの!?」

 女性群が色めき立ったが、サヨリビメは無視して

「お父様は、現〈伊都国王〉のニニギ様よ」

「ええ~~!?」

 どよめきが大きくなる

「そして、ご祖父様は〈奴国王〉のアシナカツ様なの‥、」

 奴国王は、宗像国の首長でもある。

「ええ‥、!?」

 イワナガヒは、腰を抜かさんばかりに、椅子から転げ落ちそうになった。

 横に居たタキツビメが、慌てて椅子を押さえたので難を逃れたが

「お姉様‥!一体、どうなさつたの‥、!!」

 タキツビメは、何事が起こったのかびっくりしてイワナガヒの身体を支えた。

「浜辺で‥貴女の‥貴女の

‥、」と言いかけ、泣きそうになり、黙って俯いてしまった。

「ああ~~あの時泳いで居たのは、貴女でしたか‥!

 とヒコミコが、理解したようにタキツビメに声をかけた。

「まあ~~見てらしたの‥

恥ずかしわ‥!」

とまんざらでもなさそうに、上目遣いで、ヒコミコを軽く睨んだ。

 その言動を見、イワナガヒは[何だ。タキツビメはわざと見せて居たのね。私、バカみたい。一人で大騒ぎして‥、]

 すっと立って

「皆様、申し訳ありません

と詫びた。

「あははは‥そうかそうか‥それはイワナガヒには耐えられんことじやろうが、タキツビメは、天真爛漫に出来とるからのう‥、

と訳の分からぬ説明に、皆はどっと笑った。

「そう言うことなんじゃタギリビメ。この方は将来、この筑紫(北九州)を束ねて行かねばならんお人じゃ。この地(宗像)も〈奴国〉の一部で首長のアシナカツ王様の指示で動いているようなものなんじゃ」

 その話を聞いて、タギリビメはもう一度ヒコミコを見直した。

「それだけではございませんよ、タギリビメ様‥、」

 オオナムチが拍車をかける。

「ええ‥!まだ有るの!?

タギリビメは、ヒルメが女王に成っただけでも驚きだったのだが、あの十三年前に、一緒に「宇美の里」を旅立った四人の子達が皆、立派に成ってこの列島(日本)を支えて行く何て‥、その時に自分が立ち合っていた驚きが、嬉しい悲鳴となった。






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