ナギ出雲国王になる
【前書き】挿入
卑弥呼17歳で出雲国の女王になり、祖父ナギの「倭人国設立」の夢を現実化する為に、多種多様の集まりであるこの列島の(日本)国々を統一して一民族の国家として『連合国』の設立に、少々荒療治も手伝いながら、造り上げていく物語であります
但馬(京都府)にいる長男のアメノホヒ、越前にいるオオナムチ、宇美の里のハコクニを出雲に戻るよう使いを出した。
一ヶ月後、出雲村の斐伊川流域の河口付近の神門の地に王族の重鎮達か集まった。
周囲は高所式の建物がいくつも並び、その中でも一番大きな集会所での会議であつた。
ナギが
「集まってもらったのは、先にタカムスヒ王が王を退き、私に後事を依頼された為に来てもらった」と言って、遠方よりの旅の足労をもうしでた。
主座にタカムスヒが座り、左の列にナギ、ナミ、オオヒルメ、ツクヨミ、スサ、ナムチ、ニニギと列をなし、右の列に、アメノホヒ、オオナムチ、ヤツか、ハコクニ、カグツチ、オオヤマツ、ワタツミが鎮座している。
ホヒが父に
「父上-何故に王をご辞退されると‥?」
「どこか身体が良く無くなりましたか~?」と続けてオオナムチが心配そうに尋ねた。
「‥、いや、そうでは無い‥、25年ほど前になるか。ナギ殿とナミを娶らせた時、最初の子にヒルコを授かった。その子が三才の時、この地が暴風に見舞われ、海は大しけとなった。そして彼のヒルコが、荒れる海原にさらわれて行方不明となったのじゃが、数年前にヒルコが陸奥(青森)に現れたという報告書があったという報告があった」とタカムスヒが沈痛な表情で語った。
「ええ~!兄じゃが生きておったと‥!?」
スサとナムチが驚きの声を放った。
「そうじゃ‥、それは確かな情報で、本人もナギとナミの息子だと言っておったそうじゃ」
「ええ‥!そんな事が今となって!?」オオヒルメは驚きと疑いの目で父のナギに目を向けた。
オオヒルメとツクヨミは、ナギがナミと結ばれる前の別の母の娘たちだ。
ヒルコは、二人から見れば腹違いの弟ということになる。
「それで、ヒルコ様が見つかったことが、どうして大叔父上が王を退くことになるのですか‥?」ニニギが訝った。
ニニギはオオヒルメの子であり、タカムスヒの〈メイ〉の孫でもある。
「それが‥‥、ヒルコ様は波にさらわれたのでは無く、人にさらわれたのじゃ」
タカムスヒの叔母[韓人の夫]の子であるカグツチが答えた。
その時、目も虚ろに涙を流さんばかりにじっとタカムスヒを見ていたナミが、カグツチの言葉にさっと顔色を変え、憎しみの目でチラっとカグツチの横顔を睨んだ。 あの時貴方は私をだましたのだわ。いかにもヒルコが葦の舟に乗っていたように私を追い詰めたのだ。貴方が首謀者ではないかと私は疑っているのよ。みてらつしやい、きっと化けの皮を剥がいてやるわよ
その殺気にナギがチラっとナミを見やった。その気配にナミは悟われまいと持っていた布で、そっと目頭を押さえた。
カグツチは、ナミの鋭い視線を感じ、次の言葉が出ず目を伏せた。
「そうなんじゃ、波では無く人なんじゃ。それがこともあろうに、ワシの縁者のハニヤマとワクムスヒが連れ去ったというのだから‥‥全く申し面目ない」
「何故、ハニヤマとワクムスヒはヒル様はを連れ出したのですか?何も彼らの得にも成らないし、この里を離れて、もし発覚すれば、罪人として一生送らねばならないという代償を背負ってまで‥、おまけに縁者までが?どうしてそれを隠し、手助けするような真似をして!!」とハコクニは、なんとも解せない思いで呟いた。下手をすると倭人達との衝突で出雲の国の大事に至らねばよいがと案じた。
「父上様、彼等とは上手くいってなかったの。?可愛いい三つの子を連れ去って行くなんて‥!?」ツクヨミが父を責めるように尋ねた。
次の瞬間、ナミが
「ワアア~~!?」と、嘆きの沙汰を思わせるような声をあげた。
重い空気の中で、全員が‥、改めてその事の重大さに身を震わせた。
一瞬シ-ンと静まり返えった。
間をおいてナギが口火を切った。
「ナミにとっては、口惜しさもひとしおであろう‥、!だが、もう過去のことをいつまでも引きづってはいかん。どうじゃなナミ‥、二人でヒルコを探しに行くまいか‥‥」と優しく声をかけた。
ナミにとっては、ヒルコの消息が発覚して以来、罪の意識と自分の愚かさに気が滅入って、食事も喉に通らない日が続いていた。
「いえナギ様。ヒルコが私たちの子であると名乗っている以上、いずれかはこの出雲に戻って来るでしょう。今彼が、各地を巡っている様は、出雲の教えを全うしようと頑張っているからだと思います。ハニヤマとワクムスヒがどのような事情でヒルコを連れ去ったかはよく分かりませんが、今、彼のやっていることは、彼等がその教えを小さい時から学ばせた結果だと思います。それよりもナギ様‥‥、父が貴方様を王に推挙なさっているのですから、父としてはこの出雲の国を貴方に守って欲しいとの願いでの表れです。貴方がこの厭わしい出来事を、貴方なりの処理しなければ、出雲国の将来はありません。私も少々調べたいこともあるので、ヒルコを探しに行くというのは、後日にしてもいいではありませんか‥‥」
そこには悲劇のヒロインではないヒロインがいた。