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ナンシヨウメ(六年前ヒルメらと共に旅立った)のヒルメへの文の報告

第19部本文に入る前に[小生が〈投稿規定の無視〉(当初重要視していなかったか‥?)をした為、順次各部の移動という羽目に陥りました]読みづらくなって申し訳ありません。

1、第18部が5部に、5

 部が6部に、後順次づ

 れる。

2、16部が12部に、12部が11部に

という変更と成りました

 以後細心の注意を払って執筆します。


本文

「イクツヒコネ様、フゲキ様達は金海(釜山近辺の港町)に避難された方がよろしいかと‥、」

 慶州の倭族の長アキツヒコ(ナギの息子スサの義弟)は、ナンシヨウメ達フゲキに弁韓の安全地に移動するよう勧めた。

 辰韓が慶州に近い弁韓の村々に兵を駐屯させ、弁韓の兵を退がさせているのだ。弁韓の首都国〈カヤ〉では、まさかの辰韓の遣り口に、手も出せないでいた。

 イクツヒコネ、ナンシヨウメ他三名のフゲキ達は、

この六年間、からの国のあちこちの村々や国を訪ね、いろいろな知識や技術を学び取り、列島内(日本国内)での活用を帰国後に役立てようと行脚していた。

 フゲキ達の思惑とは別に、倭族は半島の一角(弁韓)に倭人の国づくりを策していたのだ。

 アキツヒコは

「私達もすぐ〈カヤ〉に赴き、各国から集結している倭族に合流する算段です。フゲキ様達は、事が落ち着くまで金海で様子を伺って下さい。金海は、もう倭人が掌握しているで安心です


「分かりました。早速、準備にかかります。トヨタマジ、アワナギ、ツラナギ、ナンシヨウメソナタ達も早く必要な物だけを荷造りして旅の準備をして下さい‥、」

 イクツヒコネは、落ち着いているが、やはりこの地が戦場になると聞くと、愚図している訳にはいかぬ。連れの者達への口調も厳しさがまじる。

「承知しました‥、!」

 皆もそれに合わせるが、慌てぶりは押し隠せない。

 近年、辰韓が弁韓の地を漁り出し、じわじわと支配地を広めていることは、フゲキ達も承知していたが、

倭人には関係なく、韓人達だけの争いと見ていた。しかし、そうではないらしい。アキツヒコの動きや口ぶりから見て、倭人も関与していそうだ。

「どうだろうね、皆さん。そろそろ帰国の潮時かも知れないね‥、」

 イクツヒコネは、一気に疲れが出たように語りかけた。

「ヒコネ様‥!そんな弱気をおっしゃって。金海からだったらいつでも国に戻れるわ‥でも‥もう私達の行き先が閉じられたら、無理してこの半島でのかつどを続ける必要が無くなった。ということですわね‥?」

 トヨタマジも、イクツヒコネの決断を待つしかなかった。

 イワナギもツラナギも、同調の顔つきで頷いた。

「ヒコネ様、そして皆様、長きのご指導ありがとうございました。私も皆様と同行して帰るべきなのですが、今少し勉強したきことがございます。何とぞ暫く猶予を頂きませんか‥、!

 ナンシヨウメは、もう帰国が決定したかのように、必死でいのこりを願った。

「あら‥?ナンシヨウメ。

私は、一番早くに貴方が帰りを待ち望んでいると思っていたわ。愛しいヒルメさんに、早く逢いたいんでしょう?」

 トヨタマジは、冷やかしも交えて、不思議そうにナンシヨウメの顔を覗き込んだ。

「イヤだなあ‥、トヨタマジ様。私は何もそんな‥」

「あら‥?そんなに‥ってどうしたの。顔を真っ赤にして‥、!」

 六年間前の遠賀川での四人(ヒルメ、オオゲツ、ヒコミコ、ナンシヨウメ)の別れを見守っていた付き添いのフゲキ達の中でも、自分達に同行して行くことになつたナンシヨウメを、じっとトヨタマジは観察していたのだ。

 真面目で律儀な男の子だが、いつかその殻を打ち破る時を楽しみにしていた自分を懐かしく思いだした。彼ら四人とも、それぞれ十才でも、才に勝れているのは一目で分かったが、特にヒルメという女子は、年上の私達が太刀打ち出来そうも無い雰囲気を醸し出していた。何だろうと当時は不思議に思っただけだったが、ナンシヨウメが年に一度は、そのヒルメにふみを送っていたのが分かり、その内容を知ってびっくりしたことがあった。

 道教(老子の教え)や天竺の教え(てんじく、仏教)を聞き、中国や韓の国の王の民に対する接し方を、ナンシヨウメに問うて来ていたのだ。確かに三、四年前のことだから、ナンシヨウメもそうだが、彼女はまだ十三、四才だったはず。ナンシヨウメは手に負え無くなり、たまりかねて私達に相談しに来たのだった。

 私達も孔子(儒教)の教えや道教のことは、詳しくは知らなくても、ある程度理解していたが、天竺(釈迦しゃか)の教えなど聞いたことも無い。それでもイクツヒコネ様は、あちこちに尋ね、ナンシヨウメに教えていた記憶がある[何と空恐ろしい女子だ]。

又、最近では‥?‥、列島(日本)内で、四~五年前から数ヶ所で戦が起こっていて、そのあおりで韓の国々にも波紋が生じるだろうと予測して来た。正に最近の辰韓の無謀さは、その煽りなのだろうか。そしてヒルメは、馬韓の国の一つ十済ジユツチエが鍵を握るだろうとまで言ってきた。[‥、もう~~どういう女子何だろう]

 トヨタマジは、ナンシヨウメの居残りの理由が何となく分かってきたように思った。

「ヒルメの問いに答えて上げたい為だね」

 イクツヒコネが、穏やかに尋ねた。

「はい、申し訳ありません。金海には、倭人の友が居りますので、彼らの案内で晋州(しんしゆう、慶尚南道)に行ってみたいと思っております」

「ほほう‥、晋州へね。何か気がかりでもあるのかね

‥?」

「いえ、私もはっきりとは

‥?ただヒルメから、十済

(伯済ペクチエ、百済くだら、と国が大きくなるにつれ国名を変えていく)の今ある、国の拠点の地、仁川インチョンは、公孫氏(こうそんし、漢王朝、リヨウ東半島近辺の大守)の勢いが迫って来るので、いずれ国の拠点を別の場所に遷すはずだと。遷すなら全州(チヨンス、慶尚北道)辺りだろうと‥、」

「ええ~~全州だと‥!?」

 余りに無謀な十済の思惑に驚くのと同時にヒルメの情勢分析が、大胆な発想を生み出したことに驚いたのだ。 

「うう~~ん何という女性だ‥、!」

 イクツヒコネは、呻くように呟いた。

今まで、見たことも無いイクツヒコネの困惑ぶりに、四人とも何事が起こったのか案じた。

 仁川から全州となると、馬韓の宗主国扶余プヨ国を通り過ぎて、南へ回ることになる。全州は扶余国の支配地だ。扶余国が黙っていまい。そんな危険なことを、十済がするはずが無い‥、と思うのだが、確かに全州は、弁韓の晋州に一番近い場所だ。まさか、弁韓を十済が反対の西から攻めようというのか‥?いや

、それはあるまい。では何ゆえに全州なのだ‥?

「いずれにしても、そんな情報を、どうしてヒルメ様がご存知なのじゃ!‥?」

 今度は、誰に問うことも無しに、声を落として呟いた。

 イクツヒコネは、驚きと同時に危険を感じた。自分達一行が、宇美の里から旅立って一年後に出雲の王が代わった。現在の出雲のナギ王は、倭人集団のリ-ダ-でもある。ヒルメは、そのナギ王の孫なのだ。迂闊に帰国するなど、下手な行動を起こしては大変なことになりそうだ。

「うう~~ん‥、」

又、イクツヒコネは、腕を組んで考え込んでしまった。

 トヨタマジ達は、イクツヒコネのヒルメに対する敬語と警戒に唖然として見守っていた。


「ヒルメ‥!どうしたの

‥?」

 オオヒルメは、ヒルメが急に厠へ急ぎ走ったので、

びっくりして呼び掛けた。

「叔母様‥何でもありませんわ。何か食い合わせが悪かったのかしら‥?」

「いえ、ヒルメ。そうでは無いでしょう。貴女は、お子を身ごもっているのではないの‥?」

「‥、‥」

「何も隠すことではないわ。一体誰方の方のお子なの‥?」

「‥‥、」

「ヒルメ‥、貴女が黙っていると、その殿方に迷惑がかかるのよ。誰も名乗りを上げなくなってしまうわ」

「叔母様‥、それは分かっているわ‥でも、私はお子が欲しかったの‥、」

「ええ‥?貴女はその殿方とは関係なく、子供が欲しい為にねんごろになったの

‥!?」

「いえ、そうでは無いわ。そのかたは好きよ。でも、

嫁としてご一緒させてもらう訳にはいかないの‥、」

「何故‥?誰方のことん言ってるの。まさかホホデミ様では‥!?」

「‥、」

「そうなのね‥、それでホホデミ様は何と‥?」

「‥‥、」

「貴女は、大王の孫よ。貴女の知識と、際立つ霊感や心霊からの呼び掛けに応えられるかは、これから先、私達倭族の行く末を、それに仲間のフゲキ達の将来を、貴女の生き方一つで決まって行くように私は思っているわ。父(ナギ王)は

、いつも貴女の成長を見守って入らしたわ‥、だけど‥、貴方が、母親としての道を歩むのは、貴女の心一つだから、私には何も言えないわ‥、」

「それは、叔母様の経験からのお話しで‥?」

「そうよ。子を産むと、霊感が薄れるのよ。いろいろな[人の道]のことを考えてしまうのだわ。でも貴方には、そのような道を歩んで欲しく無いの‥、!」

「ホホデミ様とは、女と男としての関係が欲しかったの‥、」

「ホホデミ様を愛しているの‥?」

「はい。でも、彼を独り占めにしようと思っていませんわ‥、」

「なぜ‥?」

「彼には、タギリビメ様がいます。私は、二人は愛し合っていると思っておりますわ」

「それでも、彼のお子が欲しかったの‥?」

「はい。私は女子おなごとして生まれた限り

‥好きな方のお子を授かって‥、それから自分のやるべきことを全うしたいと思っておりましたから‥、」

「それは、そうだけれど、神様は、そう簡単に両方とも認めてくれるとは思わないわ‥、」

「そうでしようね‥でも、私は、それをやり遂げる決心でおりますから‥、!」

 オオヒルメは、実際、巫女とは何ぞやという疑問にぶつかって、ヒルメを訝し(いぶかし)げに見つめた。


 丁度その頃、八代では一触即発の事態が待ち構えていたのだつた。 

 ワタツミ率いる十三隻の船団が、砂浜に乗り上げ、荷の陸揚げをしている最中に、バラバラツと三十名余りの馬韓兵が、弓矢を構えて近付いて来たのだ。

 咄嗟にワタツミは、ヨンギジヨンが、もう既に八代に戻って来ていたのだと思った。

 ワタツミは、後ろを振り向いて手で円を描く仕草で合図した。盾を取って円陣を組み防御体制を取れ、と。兵士達は、すかさず走り回り円陣を組んだ。

 しかし、その間矢は飛んで来なかった。ワタツミは訝りながらも剣と盾を構えて、敵の動きに注意を払った。

「倭人の方々と見受けるが、陣を率いておられるのは何方かな‥?私は、馬韓扶余プヨ国のチヤンドクと申す。一歩前に出て貰えまいか。折り入って相談したいことが有ります」

「その前に、弓矢の構えを解いて下さらぬか」

 副将のヨンソンが一歩前に出て大声で申し入れた。

 チヤンドクは、大きく両手を挙げて後ろを振り返り手を下げた。

 すぐ横からワタツミが剣と盾を置いて、チヤンドクの方に向かって歩き出した。ヨンソンが、後ろから追いて行こうとしたが、差し止めた。

 それと呼応して、チヤンドクもワタツミに向かって歩き出した。

「ヨンギジヨン殿ではございませんなんだか‥、!私は出雲国のワタツミと申す

「ほほう‥、出雲国出の倭人の方ですな」

「左様です‥、」

「この八代には、船団を率いてどのようなご用意で‥?まさか、八代を西海域の根拠地として準備に来なすったか‥、!」

「いや、そうではござらぬ。お手前こそ、ヨンギジヨンの二の舞を踏む積もりで、来なすった訳ではありますまい‥、」

「いやぁ~~これは痛いところを突かれましたわい。それで、私がヨンギジヨンであれば、どうなすったかな?」

「当然、いつ線を交える覚悟でしたよ‥、」

「勝算はあると‥?」

「やって見なければ判りますまい。しかし、我々が防御体制を取っている間に、攻撃が無かったのは如何なる考えからなのかな?それで私は、ヨンギジヨンでは無いと判断したのだが‥、ところで、チヤンドク殿は、私達がこの地に来ることを予測されていた訳ではありますまい」

「確かに。西都原から生き延びたヨンギジヨンの話を吟味すると、我々馬韓としては、攻撃よりも和解重大と判断して、この八代に参った次第なのじゃ」

「すると、目的は西都原を取り戻すという考えは失せた‥と‥?」

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