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スサ・ヒコミコ伊都国王オシホミミとの信頼関係は遺憾‥?先ざきの三人の運命を呪う限りか‥?

ただ‥、曹操や〈留リ備、りゆうび〉という武将達が、〈黄巾の乱〉を鎮めていると‥、馬韓に居住する倭人達からの知らせが入っている状況です。そんな中で、賊を鎮圧する無名の武将達が喝采を浴びていることは、これから先、民衆の後押しでもっと力をつけて来るのではないかとの見通しです」

「うう~~うん‥、」と又、スサは考え込んだ。

 慶州(辰韓の首都)の辰韓がそんな動き(弁韓の村むらを吸収しようとしている)をしていれば、又従兄

(祖父トコタチの妹の孫)も工作しにくかろう。[弁韓を倭族が制する]という父ナギの思惑を,どのような手立てで食い込んで行けばいいか‥、」

 スサが考え込んだいるので、少し間をおいて

「ところでスサ殿。先ほど言っておられた、私への頼み事とは‥?」

 オシホミミが気がついたように尋ねた。

「おうおう~~申し訳ない。言いそびれてしまったわ。いや、今出雲国の出先である筑紫の拠点がある宇美の里が、遠賀川の上流にあるのはご存知でしょう。それを,この近くに移そうかと場所を物色していたのですが、大宰府近辺に手頃な場所を見つけましたので,オシホミミ殿にも一度見ていただこうかと、お願いに上がったのです」

 スサは話を変えた。この件の了解を得ておかなければ、本題に入りにくい。

「出雲国の出先をこちらにですか‥、狙いは筑後川で

すか‥?」

 オシホミミも愚鈍では無い。出雲でナギが王になった時の会議を小耳に挟んでいる。

馬韓の勢力が、肥後(熊本県南部)から八代経由で日向(宮城県)に及んでいるのを見過ごす筈がない。娘のオオヒルメから嘆願を受け入れ、有明の海に入る道筋を求めているのだ。

「いやいや、なかなかの見識ですな、王様‥!」

 スサが始めてオシホミミ王と呼んで。

「さすれば話は早い。近日中に、動いてくれますまいか‥、」

 宇美の里のハコクニを呼ばねばならない。

「ああ‥叔父上。今息子のヒコミコが、館内にフゲキ達と居るようですので、呼んで来ましようか」

 ようやく、ニニギが自分の出番がきたように発言した。

「ヒコミコ‥!おおう‥そうじゃなあ‥此処にまだ居ったのじゃ。ニニギ殿、合わせてくれ。大きくなったろうに‥、!」

「はあ‥もう十三才も過ぎたかと‥?これ、館内にいるフゲキ達を案内してくれぬか」

 部屋の入り口近くにいる二人の家人に,ニニギは頼んだ。


「スサ叔父様‥!お久しぶりです」

八年前、オシホミミが伊都国王に就任した際、帰りにスサは宇美の里に寄っていた。

つづいて、横にいたオシホミミに向かい

「王様、お目どうりありがとうございます。ニニギの息子のヒコミコです」

「おうおうおう、よく挨拶できとる。なんのなんの、スサ殿の身内とあっては、放っておく訳にはいくまい。まあ~ゆっくりなされ。そこに居られるフゲキ様達も、遠慮なくご休憩なされよ」

「ははあ‥、有り難きお言葉。それでは、甘えて暫くご厄介になります」

 ミナトベの謝礼に合わせて、三人のフゲキ様も深々と頭を下げた。

「では、私はご遠慮して,自分の部屋に戻ります。積もる話もあられよう。スサ殿、後ほどその件はご相談致しましよう」

「いやいや、とんだ世帯になって,ご厄介になります」と、スサも又、丁重に

礼を言った。

[この部屋に通すよう、家人に指示していたオシホミミ]が、退座した後

「それで、スサ叔父様が何故此方に‥?」

「いやいや、オシホミミ王にご機嫌伺いじゃ」

「いや、そうじゃないでしょう。出雲国では大蛇を退治したとか噂に聞いております」

「ばかもん‥!オロチなど居る訳ないじゃろうが」

「はあ~ははははあ‥いや冗談ですよ。スサ叔父さんの武勇伝は有名ですから

‥、」

 スサは祖母オオヒルメの弟だから、ヒコミコにすれば孫に当たるのだが、親しみと甘えで、叔父と呼んでいる。

「馬鹿なことを言ってないで‥奴国では母上に会ったのか」

 ニニギがヒコミコを軽くたしなめた。

「ええ。母上はお元気でしたよ。でも祖父様(母コノハナサクヤの父)が、父上のことを薄情者だと怒ってらしたよ」

「何を言っとる‥、!いいから少し黙ってなさい。そんなことよりミナトベ殿と少しお話したいのじゃ」

 ニニギは、義父のオオヤマツのことをヒコミコが持ち出したので,苦笑いしながらヒコミコを制した。

 昔、コノハナサクヤとの婚儀の時、サクヤの妹のウマシメまで寄越して,ついでに嫁に貰ってくれと言って来たので,妹は追い返した。そのことで、義父とは未だに折り合いがついていない。当時は、同時に二人の嫁を貰うことは、そんなに突飛なことではなかったが、ニニギにとって姉のサクヤとの差が酷すぎたので,咄嗟にウマシメを拒否してしまったのだった。

「ミナトベ殿、母のオオヒルメから、何か連絡が入りましたか‥?」

「はい。当初、私達が予定していた前原(まいばる、福岡近辺)から吉野ヶ里の行程を,オオヒルメ様からのご指示があって,前原から奴国に戻り、伊都に行くようにとのことで、今この伊都に在る状態です。吉野ヶ里から先の行程は、スサ様が、伊都国に来られるから、その指示を仰ぐようにと」

 スサはその言葉を待っていたように

「それはそれは、ご苦労様なことで申し訳無い。実は、宇美の里をこの伊都国から近い所に移す予定なのです」

「ええ‥?何故です‥!」

 ヒコミコが、びっくりしてスサの顔を見た。

「これヒコミコ。それは祖父ナギ様のご指示じゃ。何かお考えがあってのこと故、叔父様を困らすでない

 ニニギがヒコミコを叱咤した。

「でも~‥?」

ヒコミコは、不満げに父を見て口を尖らせた。

「いや、そうではない。前原の近辺を流れる那珂川上流は、肥後(ひご、熊本県)へ抜ける筑後川がそれほど遠くはない位置なのじゃ。今の遠賀川(北九州)にある宇美の里では便利が悪いので、移そうということになったのじゃ」

 ヒコミコは叔父がちゃんと説明してくれたので喜んで

「そうですね。吉野ヶ里からは有明の海にも近く、私達がこれから行く八代(熊本)にも便が良くなります

‥、そんなに重要なのですか。あっちの地域は‥?」

「そうじゃなあ‥あちらの方からは、中華の人達と直接行き来できるし‥、まぁ少し難儀じゃがな。潮の流れといい‥、互いに対岸に行くのには、今の船の大きさでは、よっぽど恵まれた天候と条件に遭わん限り無理なんじゃ。しかし、それでも昔から、良く行き来している地域じゃ。又、朝鮮海を挟んで、列島から交易するには便利な所なのじゃ。あの有明の海は‥、!」



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