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ヒコミコ(ヒルメ達と旅立つた)、父ニニギ、祖母オオヒルメ(天照大神)に厳格に育てながらも、大都市奴国、伊都国に入城

久しぶりの和気あいあいの座が収まった頃ホホデミが

「ミナカミヌシ様、三年前に周防のイクサク王(中国秦王朝の末裔、ミナカミヌシと同族)に会った時は、宇佐の状況をご報告したぐらいで別れたのですが、内海(瀬戸内海)を回って三年後に、宇佐に戻る前にもう一度お寄りした時、イクサク王は少し憂鬱そうなお顔でした」

 心配そうに報告した。

「ほほう‥?何かあつたかと‥、」

「はい。戦が始まるやも知れん、とおっしゃっていました」

「どことどこの闘いなのじゃ」

「いや、それがはっきりせぬと‥、」

「よく分からんと‥、!」

 ミナカミヌシは、腕を組んで目をつぶり、じっと考え込んでしまった。

 座に緊張が走った。タマヨリの顔は、又元の青白さに戻ってしまった。

祖父様(おじいさま)でしようね」

 ヒルメが、ニコッと笑ってミナカミヌシに聞かれもせぬうち答えた。

「ううん‥、ナギ殿じゃと‥、!何の為に、して相手は誰じゃ‥?」

目を大きく開いて、教え子のひ孫に噛みついてきた。それほどショックであつたのであろう。自分らしくない態度に気が付いて

「いや、済まぬ。ヒメミコに噛みついても仕方ないわな」と、笑って謝った。

「して,どうしてそう思うのじゃ」

「ええ、今までのひおじいさまの教えや、父や母の言動をみて見ますとそう感じたのです」

「ほほう、ヒメミコ様は予言もなさいますか‥、」と、ホホデミが感心したようにヒルメの愛称で問うた。

「いえ、予言ではありません。今、この列島をみて見ますと、小さな村、大きな村が自々(おのおの)独立して生計を立てています。今の状態ですと、飢饉にに遇えば、小さな村は一変に離散するか、他の村の食料を襲って奪う羽目に陥ってしまい、挙げ句は捕らえられて奴婢(ぬひ、奴隷扱い)にされてしまいます。今では、かなり大きな村、国が各地にありますが、まだ微々たる数です。これからは、大きな村、小さな村が協力し合うって、大きな国づくりをしていかなければなりません。全ての民が、いずれかのその大きな国の一員となっていくでしょう。同盟関係だけでなく、もっと大きな国づくりを目指し、大きな力となって協力し合っていけば、少々の飢饉にがあっても持ちこたえるでしよう。民も安定します。[そうすれば、いろんなや民族を束ねていく力が必要となっていくでしょう]又、(から)の国や漢の国(中国)から攻められても、一丸となって対抗することが出来るでしょう。

叔父様は、それを読みとって仕掛けたのではないかと思っているのです」

「うふん‥、む、確かにそなたの言う通りじゃと思うが‥、何故今で、ナギ殿なのじゃ‥?」

 ミナカミヌシも、ヒルメが言った通りの国づくりは、いずれ作っていかなければならないとは思っていたが、もっともっと先のことだと考えていた。何も戦まで起こして、今、国をまとめようとすることもないと思うのだが‥、!」

「それとも、出雲で何かあつたのか‥?」

 ホホデミが心配そうに呟いた。

「いえ。そういうことではないと思いますわ」

では、どういうことなのだ。一同はじっとヒルメを見た。

 ヒルメは又、ニコッと笑い一同を見た。

「私にも良く分かりませんわ。でも祖父様が、出雲国の王になったと聞いた時、いずれ戦を始めるかも知れない、とは思っていました

「ええ‥!?」

一同、愕然とした。

ナギ様に、そんな戦闘的な要素があったのだろうか。皆、それぞれ不安な面持ちであつた。

「考えても致し方ない。三日後に日向(ひむか、宮城県)へ向かうので、皆さん、旅支度にかかるようにして下さい。ナキワサメ様、もう二、三日ご厄介になりますので、宜しくお願いします」と、ホホデミはきっぱり言った。

このような話は長引かせてはいけない‥、と。遅れて部屋に入り、自分達の後ろに座っていたナキワサメに滞留の依頼をした。

ナキワサメは、こっくり頷いた。


 中国では漢王朝が衰退し、各豪族の争いに明け暮れており、韓国では、馬・辰・弁の三韓がそれぞれに新たな指導者が現れ、国号を変えて盤石な体制に持って行こうと、混乱している状況であつた。

 この時期に、この列島の主導権を倭族が握る仕掛けを、今起こさねばならないというナギの戦略まで、ヒルメには思い及ばなかった

 ヒルメにとって今、感じている不安は、共に歩んでいる出雲国と倭族とが疎遠に陥り、いがみ合うのではないか‥?と‥最近、脳裏に浮かばない霊感が働き、蘇って来たかのように、頭をよぎっていることであつた。


 筑紫の奴国、伊都国という今列島の最大の都市というべき二国に、四年間滞在し、背振山の南(佐賀県)に位置する吉野ヶ里に着いたのは、ヒルメ達と別れてもう五年も経っていた。

 ヒコミコが、五年前に筑紫の奴国に入った時には、この強大な国に目を見張らんばかりであつた。自分が生まれた国であるが、幼い時に宇美の里に引き取られたので、故郷という実感はない。

奴国王はヒコミコの祖父であり、母コノハナサクヤは、年に一度は宇美の里には顔を出していた。物心がつかぬうちにヒコミコを宇美の里に預けたのは、父ニニギの思惑からであつた。

 片田舎の宇美の里から一歩も出ていなかったせいか、奴国に着いた頃は、あっちこっちの探求で遠出しては、迷子になるのが常であつた。又、見るもの全てが物珍しく、その中でも、物と物との交換は、市という場所で行っており、いろんな物を交換していた。

 (かさ)がある物、小さな物も関係なく、青銅で作った棒のような物を何本か置き、物の価値をその棒の大きさで決めていた。

 ヒコミコにとって、非常に興味深いシステムに映った。

 そして、二年後にはそう遠くない最大の都市伊都国(福岡)へ行った時は、いろんな人種、民族の人達が、往来を行き来しているのが不思議で仕方なかった。

こんないろんな人達が居て、よく一緒に住めるものだ‥?と。

 役所の館には、一般の人は近づけなかったが、折しもヒコミコの父のニニギとヒルメの伯父のスサが、オシホミミ王に会いに来ていると聞いて、フゲキ達と一緒に館内の入館を許してもらった。

 

 「何ですと‥?五ヶ所で同時に戦が始まったですと‥!?」

「いやいや、まだ小競り合い程度ですよ」

 スサは、オシホミミが驚いているのをなだめるように言った。

「しかし、今まだと言われているのですから、これから戦がひどくなって行くのに、戦力的に如何なものかと‥、それは必要でしょうう。どうなのです、それだけ広げて勝算でもあるのですか‥?」

「いいえ、此方から攻めるのではありません。自分達の権利を主張するだけです」

「しかし、相手が納得せず譲歩しなければ‥、」

「どういう手段で来るかによって違いますが‥、此方からは決して攻撃は仕掛けません」

「それでは、今より条件が悪くなるか、追い出されるかしませんか‥?」

「勿論、そうなれば各地域の状況によって、出方を考えねばなりませんが、表立っての動きは避けるようにします。それよりオシホミミ殿に一つお願いがあってお伺いしたのですが」

「ほほう、スサ殿が私に

‥?」

 スサはまだオシホミミには、仕掛けた五つの地域の場所は言ってない。

但し、倭族が列島の主導権を握って、将来一つの国づくりを目指して行かねば、韓国や中華(中国)に強力な国家ができ上がると、その支配者は此方に目を付けて来るに違いない。このままでは、この列島は彼等の餌食となり、各地域の同盟は簡単に破壊されるだろう。その為、それに対抗し得る国づくりを今始めねば手遅れになる。という父ナギの思惑をオシホミミに伝えただけにとどまった。

[筑紫(宗像)から越(こし、新潟)にかけての海路と陸路の確保。内海(瀬戸内海)の海路と陸路沿いの確保。吉野ヶ里(佐賀)から八代(やつしろ、熊本南部)にかけての地域の陸路を確保。葛城(奈良)での辰韓倭族による台頭を強力なものにする。不弥(ふみ、北九州市)から日向~土佐~紀州(きしよう、和歌山)~熊野(三重県)までの大海(太平洋)側での海路の確保]に仕掛けているという内訳は、オシホミミにはまだ話していない。

 列島の行く末をどのように考えているか。今の情勢をどこまで把握しているか。彼の見識と器を計る為でもあるが、六つめの仕掛ける地域がこの筑紫だからでもある。

「もう、七~八年になりますか‥、オシホミミ殿にお会いするのは」

「ええ‥!?」

急に話がそれたので、オシホミミは戸惑った。

「あの頃は、お盛んでいつも女子を五、六人侍らしておられたが、今でも相変わらずですか‥、」

「いやいや滅相もない。当時に比べれば可愛いもんです」

オシホミミは、思わず話に乗せられ、微笑んでしまった。


 


 

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