僕の人生
僕の親友は必死に僕へ手を伸ばしてきている。
そんな君に僕はこういった。
「君が幸せならそれでいいよ」
何もできない。そんな自分に嫌気がさしていた。
どんなに手を伸ばしても、栄光を掴むことはできない。思い通りにいかない。
僕の人生は僕のものであって、俺のものではなかった。
やりたいと思っても体がうまく動かない。社会は許してくれない。
やる気が一切わいてこない。
そんな出来損ないの僕にも親友と呼べる男がいた。
彼はなんでもできた。
運動もできる。頭もいい。
才色兼備とは彼のことだろう。
彼は僕の自慢の友達だった。
彼のためなら努力を惜しまない。
彼に嫌われったっていい。それは彼のためだから。
仕事終わり、疲れているのか。
前を歩く君は足を引きずっている。
「大丈夫?肩を貸そうか」
差し伸べた僕の手を無視する
頑張り屋なんだ。
僕は関心し、歩いてきた道を眺める。
僕たちの道はこれでもかというほど濡れていた。
それは険しく厳しい道のりだったのだと教えてくれる。
「君はよく頑張ってるよ」
優しく、重みのある言葉とともに彼の背中を撫でた。
彼の肩は小刻みに震えていた。
足を止め、彼は受付の人に声をかける。
「助けてください」
僕ですら一目惚れしそうなほどの看護師は血相をかえて、彼を抱きかかえた。
そして今にも倒れそうな彼を支え、二人三脚で歩いていく。
その光景を見ると僕は達成感に満たされた。
目頭が熱くなってきた。
案の定彼は頑張りすぎて入院してしまった。
しばらくの間、彼はとても暗かった。
お見舞いに行っても彼は僕と面会してくれない。
そんな日々が続いたが時間が解決してくれた。
彼が彼女にご飯を食べさせてもらっている。
そんな仲睦まじい姿を瞼に焼き付ける。
僕は二人の恋を応援した。
しかし、二人は僕に気付かない。
僕は君の影だ。君の人生を幸せにするために俺は生まれてきたんだ。