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異世界転移・転生対策課  作者: 紫烏賊
三度目の休暇
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能力課と神様

「勇者!?それって、転生者とかじゃないんですか?」


 私は驚いて足を止めて聞いてしまいます。思い出すのは少し前の仕事の時に戦った勇者たち、彼らの内の一人とは戦ったことがあるので、勇者にはあまりいいイメージがありません。


「いえ、私も疑問に思ったので一応調査部に報告したんですけど、完全にその世界の住人の中から定期的に選ばれているそうなので関係ないですよ。魔王も転移者や転生者でもないそうです」


「そうですか・・・」


 私は勇者=転移者のイメージがあるので少しびっくりしてしまいましたが、少し考えれば仕事の対象ならナギさんは隊長に報告するでしょうから完全に私が早計でした。


「まぁ、アイビーさんの心配も分かりますが、流石に転生者だったりしたらこんなのんびりしてないですし、キチンと報告しますから大丈夫ですよ」


「そうですけど、勇者と聞いた時は少しドキッとしました」


「掴みとしてはいいのでは?と思ったので言ってみたのですけど、どうですか?」


 ナギさんがそう聞いてきました。少しドキリとしましたが、転生者ではない勇者にも興味がありますし、少し転生者や転移者行きそうな世界に興味が湧きます。


「結構気になりました」


 特に転移者じゃない勇者に会ってみたいです!


「それならいいんですけど、まずは隊長の見舞いに行きましょう」


 再び歩き出したナギさんの後をついていきます。


「そうですね。一応お見舞いの品も準備しておきました」


 そう言って持っているお菓子を掲げます。ナギさんが準備のために上に行っている間に、お土産を入れている戸棚を開けて未開封のお菓子の箱を一つ持持ち出して渡すことにしました。本当は新しいお土産を持っていきたかったのですけど、新しい物を買うためには異世界に行かなくてはならないので休暇が終わった後にもう一度見舞いに行く予定なの、でその時に新しいお土産を買って渡す予定です。


 そう思いながらふと、ナギさんの手元を見ると手作り感あふれる袋を持っていました


「ナギさん、それ」


「え?・・・ああ、これはアイビーさんと同じお見舞いの品です」


 そう言ってナギさんが袋を少し待ちあげます


「へえ、中身は何ですか?」


「手作りシュークリームです」


「手作り!」


 なるほど自分で作るという方法は思いつきませんでした。今度作ってみる事にしましょう


「少し前から自分で作ったりするのが趣味でして、既存のレシピに別々の世界から買ってきたものを使って料理を作るのが楽しくて、何もない日や仕事が終わった後に作っているんですよ。因みに隊長と私とアイビーさん、そしてユッカさんの分を持ってきました」


「私達と隊長の分は分かるんですけど、ユッカさんの分もあるんですか?」


「先ほど準備のついでに皆さんの部屋にシュークリームを渡しに行ったのですけど、バロックさんとセラさんはいたんですけどユッカさんは返事が無かったので隊長の下に行っているのではないかと考えたので持っていくことにしました」


「なるほど、でもそれってどこかの世界に行っていたりしませんか?」


 昨日お見舞いに行っていたので今日は行かないのでは?と思いました。


「それは無いですね」


 ナギさんはキッパリと否定して話しだします。


「ユッカさんは割とキッチリした性格なので、出かけるにしても必ず隊長の所にもう一度行ってから出かけます。」


「それでも、もしいなかったらどうします?」


「その場合はもう隊長に二個あげます。手作りなので今日中に食べて欲しいので、いなかっいのならもう知りません」


 ・・・ユッカさんだけ食べれないのは少し可愛そうなの気がするので、ユッカさんがいることを願っていると


「と、着きましたね。ここが能力課ですよ」


 そう言って立ち止まりました。扉の見た目は他の課とそんなに変わらない鉄製の扉です。扉の横にはプレートがあり、『異能力研究課』と書かれています


「あの何か名前が少し違いますけど?」


「いえ、ここで合っています。少し長いので皆省略して読んでいるだけです」


 そう言ってナギさんは扉を開けて中に入っていきました。私も続いて扉をくぐると中は人が沢山いました。

 少し記録課の受付に似ていましたが少し違うところもあります。その一つに受付に人の姿はなくて、代わりに機械らしきものがポツンと並んで置かれています。ナギさんはその内の一つに近づいて何か操作し始めました。その間、私はやることが無かったので、キョロキョロと周りを見回しています。

機械には他にも人がいて操作している人もいれば、近くの椅子に座って何かを待っている人もいます。

しかしその誰も能力課の人ではないことが何となくわかります。どうして能力課の人がいなんでしょうか?


そう思いながら辺りを見回していると


「お嬢さん、どうかされましたかな?」


 と背後から声をかけられました。驚いて振り返ると黒いトレンチコートに身を包んで、杖を持っている白髪の初老の男性がいました。


 突然声をかけられたことに驚いていると


「大丈夫ですか?」


 

 男性は心配そうに声をかけてきました。私は少し戸惑いながらも頑張って答えます。 


「え・・・と、私ここに初めて来たので、少し珍しくて・・・」


「ああ、なるほどそうでしたか。いえ、もしかして迷子になったのかと心配しまして声をかけさせていただきました。この課は広いので、稀に迷子になってしまう方がいらっしゃるんですよ」


 男性は少し安堵した顔をして言いました。


「そうなんですね。ありがとうございます・・・もしかして、この課の方ですか?」


「いえ、私は・・・そうですね、物見遊山といった所でしょうか。私の仕事は中々お休みが取れない仕事なので、こういった所に行くのも楽しみでしてね。こうして休みが取れるたびに色々な場所に行っているのですよ」


「ナギさん。お待たせしました、来ましょう・・・って、珍しい方がいますね」


 ナギさんが近づいてきたと思ったら、目を見開いて驚いていました


「おや、お久しぶりですねナギさん。いつ以来でしょうか?」


 男性も少し驚いた顔をしています。


「ナギさんお知り合いですか?」


「・・・まぁそうですね。まぁちょうどいいですし、ご紹介します。こちら神の一人であるクロリア様です」


「・・・え?」


神・・・様?


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