嫌でも誰も忘れることはなく
転生者を掴んでしばらく移動してクレーターの真上あたりに到着したのを確認した後に前方に放り投げる。転生者は数回転した後にピタリと空中で停止して、こちらを見る。
何か不満そうな顔をしながらそれでも口に笑みを浮かべながら何か言おうと転移者が口を開こうとしたので、それを遮るようにライフルを持ち上げて顔に照準を定めて弾幕を張る。
しかし何度も同じ手が通じるわけがなく転生者は上に飛んで回避して銃弾を回避する。流石に屋外だと簡単に避けられてしまうな。先ほどの戦闘の時は逃げ場が少ない屋内だからこそ、あそこまで追い詰められたのだが流石に屋外だと簡単に避けられてしまう。予想は出来たので特に動揺したりしない
「やれやれ、満足に話をさせてくれないのかい?」
私より少し上にいる転生者が余裕のありそうな声で話しかけてくる。
先ほどまで私とユッカを相手に戦って追い詰められていたのに、それを覚えてないふりをして話しかけてくる転移者に少し驚きながら答える。
「そうか。私としては挨拶代わりのつもりだったが、少し過激だったようだな」
ライフルを片手で突きつけながら刀に手をかけていつでも抜刀できる準備をして答える。奴の手に動きがあったら撃つ、隙があっても撃つ
「君の所はずいぶん物騒な所に住んでいるようだね。それに俺を殺すなんて冗談にしては面白くないことを言っているし」
まるで人を馬鹿にするような言動に少し苛立ちを覚えながらも隙を伺う
「ふざけてなどいない。貴様を殺すそれが私達の仕事だから、やるだけだ」
「仕事・・・ね。」
転生者はため息をついて、先ほどの表情とは打って変わって可哀想なものを見る目を私に向ける。
「ねえ、そんな悲しい仕事なんか辞めて、俺についてこない?」
何かと思ったら今まで何度も聞いたことのあるセリフにため息をつく。大体この後のセリフは君のように綺麗な女性が戦うなんて間違っているとか、勘違いした正義感を振り回してさも自分が正しい事を言っているような顔をしていて口説いてくるのだろう。
「君たちの仕事は・・・何だっけ?確か・・・交渉部の人が教えてくれたよ。人を殺して回る人たちってね」
私の気持ちなど考えもしていないのだろう、奴は話を続ける。
「それがどうした」
交渉部が戻ったと言う報告は来ていない。私は交渉部など関わりたくないし、あいつらの事なんて知りたくもないからそれ以上調べもしていないが多分死んだのだろう。
「嫌じゃないのか?」
その言葉に少し反応する。どういうことだ?疑問が顔に出ていたのだろう
「図星かな?」
違うのだが、奴はそう言って確信したようにうなずいて、全てを見て知っているような顔をして続ける。
「人を殺すのは嫌なものだ。俺は今でも人を殺す時には、いくばくかの罪悪感がよぎっている。それを数えきれない程続けている君たちの辛さなど俺には分からない、けれど辛いことをやり続ける必要はないんだ」
「・・・・」
私は言葉を失って、ライフルを震えながら降ろす。
奴は腕をこちらに伸ばして笑顔を見せる。
「そんなことは止めて俺と一緒にいた方が何倍も楽しいと思うんだ。その辛さを少しでも俺といれば忘れられると思うんだ」
笑顔で提案する彼に私はライフルのトリガーを引いて答える。
「貴様が知ったような口をきくな」
空気も雰囲気も読めない阿呆目掛けてトリガーを引き続ける
「誰が助けて欲しいなんて言った。誰が貴様と行きたいなんて言った。その言葉は人を助ける自分が恰好いいだけの自己中の発言だ」
空気も雰囲気も人の気持ちも読むことのできないのに知ったような口をきく阿呆に向かって叫ぶ
忘れる?彼らを?忘れるものか、忘れてたまるものか
彼らの事は言動から最期の瞬間まで忘れたことなど一瞬でもありはしない。
私は彼らが殺される事に同情はしない。その過程、生きざまや未練に同情することはあったとしても
嗚呼・・・これからこの人が殺されるなんて可哀想だ。等と同情しないと決めたのだ。
同情なんてしたら彼らの人生を否定するようなものだ。敵に同情されるなど屈辱以外の何物でもない、謝っても困るだけだ。人を殺すのが苦しい事など分かっている。最初に人を殺す時から今まで慣れたことなどあるものか。けれどこの苦しみも必要な物だ。誰かに分ける事も、ましてや忘れるなんてとんでもない。慣れることも人を殺すのは生き物でなくてはならない。命の無い機械に殺させてはいけない。悪人でない限りはキチンと殺さなければいけない。
しかし皆はじめは善人であり、最初からの悪人だった人などはいなかった。実際力や行為はともかく、転移者や転生者の行動はこの国、この世界を良くしたいという行動に基づいている人が多い。婚約者が多い転生者や転移者もいるが、それも裏を返せば投げ出したりせずに覚悟を決めたと言うことなのだろう。
実際に彼らと婚約した女性はほぼ平等に愛されている。途中で投げ出すなんてことはない。この前の帝国の転生者の婚約者の様子を見ればどれだけ愛されていたのかをある程度理解することが出来る。一部例外もあるがそれでも転移や転生さえしなければ良い人生を送れたであろう人達ばかりだ。その彼らを殺したことを私は忘れずキチンと背負って生きている。
嫌だと?嫌に決まっているじゃないか。逃げたいし投げ出したい、でもそうしたところで、彼らを殺したことが消えるわけでもないし、忘れたとしてもいつか不意に思い出して疲れるだけだ。実際に疲れるし
そんなことになるくらいなら向かい合った方が数倍マシだ。その方が気持ちもブレないし同情もしない。
それを知らずに能天気な事をほざいている奴を許すことなどできやしない。
「たかが、数人殺した程度で分かったような口をきくな。何人殺したのか知らないのに忘れさせるなんて言ってんじゃない」
知らなかった、で許されるわけもない。人の感傷に塩を塗って挙句にいいことをしたと言っているようなものだ。
「貴様は彼らの人生を軽んじて嘲笑った。忘れられるほど軽い存在だと言ったのだ」
刀を抜いて抜刀して、右手に刀、左手にライフルを持って転生者に接近する
「元々決まっていることだが改めて言うことにしよう。ウルト=オウルガスト貴様を殺す」
今までと同じく同情もなく、ただ殺意のみで殺す。それだけだ。
うまくまとめることが出来ませんでした。
格好良くまとめることができるようになりたい・・・・・




