無駄だった心配
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『了解しました。少ししたら動き出します』
「頼む。ではな」
私は通信を切って前を向く、本当なら屋根をピョンピョン跳んで目的地に行きたいところだが、合流した途端に先ほどの攻撃を放たれるなんてことにならないために、あまり目立たない様に向かわないといけないからな。今は我慢しておくとしよう
外周部に沿って移動してみたが、攻撃地点に近づくにつれて温度が下がって霜も多くなってきている。
そういえば先ほど私とナギが連絡してからそこそこ時間が経過したが特に誰かに出会ったり攻撃を受けたりはしていない。もし逆探知や盗聴が出来たのなら私かナギに攻撃が行われてもおかしくないのだが私の方にもナギ達の方にもあの攻撃が来る様子もない。もしかして盗聴や逆探知は無いのだろうか。それなら私も安心してアイビーかユッカに連絡を入れられるのだが・・・
少し不安もあるがユッカに連絡を入れてみるか・・・その前に一応向こうも確認しておこう
インカムを操作してナギに繋ぐ
『はい、ナギです』
「シェフレラだ。そちらに敵は来ていないか?」
『今はバロックさんに手伝ってもらって裏路地に入口を探していますが特に誰かが来たり先ほどの攻撃ような物も来ていません』
「そうか・・・であるならば、盗聴はまだわからないが逆探知の恐れは無いのかもしれないな」
しかし本当に盗聴されているなら先ほどナギに伝えた作戦を阻止にかかるはずなので、盗聴もされていないかもしれないな。まだ確証は持てないから教えられないが。
「ありがとうナギ。引き続き作業を続行してくれ」
『了解しました』
ナギとの通信が終了した後一旦立ち止まって路地の壁に身を隠しながらユッカに繋ぐ
『ユッカっス。誰っスか?』
ユッカの声に混じってどこかに移動している音がする
「私だ」
『隊長!大丈夫なんスか?』
バルブを回す音がする。水でも出そうとしているのだろうか?
「少なくとも逆探知の心配はない。盗聴の可能性も低い」
『そうっスか』
ガンガンと何かを叩いているが本当に何しているのだろう
「ユッカ先ほどの攻撃の事だが」
『俺達に向けてっスね』
「俺達と言うことはアイビーもいるのか?あと何をしているんだ?」
『いや、アイビーちゃんがさっきの攻撃で意識を失ったんスよ。幸い命が危ないって状態じゃなかったんで、おぶって別の場所に移動してから揺さぶって起こそうとしたんスけど、起きなかったんで水をかけて起こそうかと思って水を汲もうとしてたんス』
「そうか」
アイビーの意識が無くなったと聞いて少しヒヤリとしたが、命に別条がないのならよかった。
「水なら手持ちにある。元々そっちに行こうとしていたから近くにいるはずだが・・・」
盗聴や逆探知の可能性が低いにしても万が一の可能性があるからあまり詳しい居場所を教えるわけにはいかない
『そうっスね。それにさっきアイビーちゃんを背負って裏口から逃げた時に、後ろから家に入ってくる音がしたんスよ』
「それは危なかったな。尾行などの心配は考えなくていいんだな?」
『隊長、俺がどんだけこの仕事をやっているのか知っているじゃないっスか。そのあたりは流石に気を付けるっスよ。それに今攻められていないということはうまく行っているって事っスよ』
「そうか、そうだよな。すまん、少し心配しただけだ」
『やっぱり隊長は昔から心配性っスね。とりあえずこっちは何とか起こすので隊長は別の事をしてくださいっス』
「分かっている。そっちは任せたぞ」
通信を切って深呼吸して感傷的になってしまっている自分をもう一度落ち着かせる。
さて今のユッカとの会話で少し攻略のヒントがもらえた。向こうは上空から監視していると言うことだ。使い魔や遠くを見る魔法などの可能性も考えていたが思ったよりシンプルだったな。しかし、それならば、もしかしたらナギ達のやっている事が有効になるかもしれないな。
多分だが転移者は城で待機し監視からの報告を受けて魔法を使用しているのだろう。
しかしそれならば何故私は監視に引っ掛からなかったのだろうか。目立たないように路地を進んで隠れながら移動していたとは言え、一切監視に見つからずにここまで移動できたのであれば監視網、抜け穴が多すぎないか?私も上を注意していたわけではないが上を動くものがあったなら気が付くはずだ。つまり監視網には規則性があってそれが分かればいいのだが・・・
えっと・・・私はこの都市の外周部を移動していた・・・つまり外周部にはいないもしくは数が少ないと言うことだろう。
なら必然的に監視は城の近くを重点的に行っているのだろう
そして転移者の戦い方としては遠距離からの広範囲殲滅、さらに狙いは自分だと分かっている。ならば広範囲に数をばらまいて私達を探すよりも自分が一か所にとどまって監視を自分の近くに限定して発見率を上げて発見次第報告からの魔法でドーンと撃って終わり!が転生者の作戦と言うことだろう。
転生者という名の広域殲滅兵器を有効に使った作戦であり、普通の軍隊なら詰みというやつだ。
しかし、それでも攻略法があるわけでもないがもう少し話を聞きたいな
そう思っているとインカムから通信が入った
『隊長、アイビーです』
「よかった。目が覚めたのだな」
通信してきたのはアイビーだった。どうやら無事目を覚ましたようで安心した。
『はい、隊長にもご心配をおかけしました』
「ちょうどいい、少し話を聞きたいと思っていたのだ。ユッカにもつなごう」
私はインカムを操作してユッカにも回線をつなぐ
『はいはい、ユッカっスよ。どうしたんスか?』
「もう少し話を聞きたくてな。具体的には監視に見つかった時の話を詳しく聞かせて欲しい」
『あの時の話っスか。確か二人でお城を目指している最中に見つかったんすよ』
『そうですね。確か三人組が私達の目前と言いますか上と言いますか。とにかく私達の目の前に現れて誰かと話しているようでしたけど、私達のインカムみたいな通信機の類を持っている様子はありませんでした』
「なら多分念話とかの魔法を使ったのだろう。通信機の類は無かったんだな」
『そうっス』
「そうかなら私の心配は全くの無駄という訳かもしれないな」
もし通信機を持っているとしても魔法で会話できるのなら使う意味がないから、開発されていないのではないだろうか?
この世界には通話のできる魔法があるなら、わざわざ通信機を作る必要性が低い
一応記録課でも調べはしたが転生者だと2,3日で作ったりするからあまり信用できないから注意していたが、これなら盗聴の心配もなさそうだな。
それならば、通信を控える必要もないな・・・
「・・・よし。これからそちらに合流するから場所を教えて欲しい」
『大丈夫っスか』
「大丈夫だ。それにこの後の事を考えると合流していた方がいい」
会って話した方がいいからな。




