遺体処理
一週間に一回PVが50以上になる日があるので
一体何があったの!?
と叫んでます
いつもは10とか20ぐらいなので・・・
浮遊感が止まったので目を開くと、天井が小さく見えるほどの高さがある大きな部屋にいました。
少なくとも私達が使った転移課の部屋ではなさそうです。
「よし、皆無事に帰還することが出来たな」
そう言って隊長が周りを見た。
「ここは大部屋っスね、巨大なものがある場合はここに転移されるっス。今回はドラゴンがいるので、ここに転移したんっスね」
ユッカさんがそう言ったのを聞いて思い出す。そうだ、ドラゴンがいるんだった。私は後ろのドラゴンを見る。
血がまだ流れ続けている首と、あたりに漂う血生臭さで気分が悪くなる。まだこの光景に慣れてない自分に不甲斐なく思いながら、目をそらして口を抑える
「大丈夫か?アイビー?」
隊長が心配そうな顔をしながら背中をさすってくれる。
「・・・大丈夫です。ありがとうございます」
「いや、今すぐに慣れる必要はないし慣れる物でもない、少しづつ慣れてくれれば問題ない」
「いえ、大丈夫です。それで隊長、あのドラゴンはどうするのですか?」
「ん?そうか、アイビーにはまだ教えていなかったな。ユッカ、リフトを持ってきてくれ」
ユッカさんに指示を出した後に隊長が説明を始めました。
「神によって転移した転移者は、体に神の力が混ざっていてそのまま元の世界に戻すと色々問題がある」
隊長が説明しながらドラゴンが見えなくなる位置に歩いてくれました。
「遺体を元の世界に戻すのは私達もどうかと思うし、一番の問題は神の力だ。あの力はそのままにしておくと不味い、具体的には神の力が無差別に解き放たれて、捨てた土地の生物や植物が異常進化して世界そのものの生態系が完全に崩壊して、世界が完全崩壊する」
「・・・すごいですね」
「ああ、この力が下手な所に出ないように、私達が処理している」
「でもそんな力をどう処理するのですか?」
「それはこの後見せよう。リフトが来たようだ」
隊長は部屋の扉を見る。
扉は部屋に合わせて大きくなっていおり、自動扉のようで勝手に扉が開いた。
扉の向こうには機械仕掛けの何かが見えた。下の部分は左右それぞれ8つ計16の車輪がついている。
上の部分は人型になっていますが、腕が8本あります。バロックさんの持っている人形に似た奴がありましたね。確かガ〇タンクでしたっけ?
『皆さん、お待たせしたっス』
多分乗り物なでしょう。ユッカさんの声が聞こえます。
「これが、巨大物体運搬専用機材『エルドルブ』だ」
「・・・なんでこんな姿をしているのですが」
「創造課の一人に設計を任せたらこうなった様だ、実際16の車輪は物体の重さを分散させているし、あの8本の腕は人の可動範囲と同じぐらい動かせて強度もそれなりにあるので見た目に寄らず結構便利だぞ」
隊長は手を振ってユッカさんに合図すると、ロボットがドラゴンを掴んで運び始めました。
「ついてこいアイビー、これから処理できるところに運ぶ」
「はい」
「ナギ達はすまないが、床を掃除してから来てくれ」
「分かっています。隊長」
「そうか、では行くぞアイビー」
そう言って隊長はドラゴンを抱えたエルドルブについていく
・・・私は掃除に参加した方がいいのではないでしょうか?
先輩に掃除させて私が行ってしまうのは悪い気がします。
「気にしないで行ってくださいアイビーさん、新人の仕事は勉強することです」
「そうよ~気にしないで行ってきてくださ~い」
「ええ、雑用は私達の仕事です」
ナギさん達が私の気持ちを汲み取って、気を使ってくれました。
「ありがとうございます。ナギさんセラさんバロックさん」
私は頭を下げてお礼を言いました。
「ほら、隊長が行ってしまいます。早く言った方がいいですよ」
「はい」
私は振り向いて隊長を追いかけました。
「ここは・・・」
「ここが処理場だ」
隊長についていき、到着した場所は創造課の一区画でした。
ぽっかりと何も機材が設置されていない部屋に一つだけ浮かんでいる物があります。『ソ』です。
「『ソ』しかありませんけど?」
「そうだ『ソ』に入れるんだ」
隊長はエルドルブに乗っているユッカさんに合図を送ってドラゴンを『ソ』の中に入れ始めました。
「神の力は我々では取り除くことができない。他の神に頼んでも、蘇生した時に力を組み込んで蘇生するから糸が何重にも絡み合ったようになって取り除くことが不可能なのだ」
「だからと言って放置もできないし、他の処理も問題がある。そこで『ソ』だ。私達は『ソ』で生まれ神も『ソ』から生み出された『ソ』は全てを生み出し、そして全てを吸収することのできる物。この中に入れると全て分解されて『ソ』の一部になる。それが処理の方法だ」
「それで『ソ』は怒らないのでしょうか?」
人にゴミ箱みたいな扱いをされて、不快にならないのでしょうか?
「『ソ』に意思があるようだが自主的に行動したことはほとんどないし今まで特に何の干渉もない、だから大丈夫だろう」
「ただし、問題もある一旦『ソ』に取り込まれ始めると、脱出は絶対に不可能になる。転移による魔法も、魂だけ抜けて他の人にとりつくことも出来なくなる」
そう言いながら隊長はドラゴンを見つめている。エルドルブに尻尾を掴まれて上からゆっくりと『ソ』に入っている
「まぁ厄介な転移者を安全に処理できるから、助かっているけどな」
隊長と一緒にドラゴンの姿を見ていると
「ん、先着がいたようだ」
そう言って見知らぬ人が、ポリタンクを持ってこちらに向かって歩いてきました。
ロングコートに身を包んだ筋肉質の男性です。
見た目は40代前半と言ったところでしょうか?私達の中でも一番筋肉のあるバロックさんよりも筋肉があるように感じます
「 ガスティか、どうやら無事に神を殺すことが出来たようだな」
「ああ、他の奴らは世界の維持をしている」
ポリタンクを持った彼はそう言った後に私を見た。
「そうか・・・ああ、この子は新人のアイビーだ」
隊長は彼の視線に気が付いて、私を紹介した。
「は、初めましてナンバー301655772 アイビーです」
「対神部 第8315殺神隊ナンバー117828564 ガスティだ」
「ちょうどいい、対神部の仕事について教えよう。手伝っていただいても?」
「・・・問題ない、そちらの物が入りきるまで暇だしな」
ガスティさんはポリタンク持ったまま説明を始めた。
「俺達、対神部の主な仕事は神の殺害と殺害した神が管理していた世界の維持だ」
「詳しく内容を話すと神の殺害は私達の仕事の対象である転移者・転生者を送り出した神が対象なのだ」
隊長が詳しく教えてくれる。
「世界の維持については神を殺すと、その神が管理していた世界が放置されてしまい滅ぶ可能性がある。それを防ぐためにしばらくの間は神の代わりに管理していた世界を維持しているということだ」
「ん、管理されない世界は言わば何の世話もされずに放置した犬猫のような物、そのままにしておくと滅びる物、だから我々が世界を一時的に維持している」
「あの、世界を維持している理由は分かりました。ではその世界はその後どうされるのですか?」
今の話ではその先ずっとガスティさん達が維持し続けるということです。
「その後は管理に余裕がありそうな神と交渉して少しずつ渡していく。それでも残った世界は新しく作られる神に渡す」
ガスティさんはポリタンクを持った手を変えながら説明を続けました。
「新神にいきなり新しい世界を渡すのではなく、すでにある程度成長している世界を渡すことによってある程度管理について慣れて欲しいという思いがある」
「そういうことだ、む?どうやら終わったようだぞ」
隊長は『ソ』を見た。
ドラゴンの姿はなく、エルドルブがこちらに手を振っていた。
「ん、ではこちらも仕事を終えよう」
ガスティさんはポリタンクを持ち上げて『ソ』の中へ入れました
「では、仲間も待っているので先に戻らせてもらう」
そう言ってガスティさんは背を向けて歩き出しました。
「ああ、またな・・・ではアイビー私達も戻ってナギ達の手伝いをするとしよう。ユッカ私達を運んでくれ」
隊長はエルドルブの手の一つに乗りました。
「あ、待ってください。私も」
「別にアイビーだけを置いていくとか意地悪はしないぞ」
隊長はそう言って手を伸ばしてくれたので、その手を掴んでエルドルブの手のひらに乗りました。
「ではユッカ出発進行だ」
隊長の掛け声とともにエルドルブは動き出しました。
誤字の指摘ありがとうございます




