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異世界転移・転生対策課  作者: 紫烏賊
case8 世界樹十全に枯らす
198/199

反抗

 転移が終わると重力に従って落下が始まる。頭が下を向いている状態で自分の装備を見る。流石に大仕事なだけあっていつもの恰好に追加装備のカリュブデスにそれを制御するAIを搭載したゴーグル、その他諸々と中々に多い。特にカリュブデスは私の体の各所にくっついている全16基の自動迎撃装置だ。普段は防具の代わりとして私の体を守りつつ充電しているが、本当の機能は自立飛行による迎撃と攻撃その両方がカリュブデスの本当の使い方だ。カリュブデスは電池式のバッテリーの他に一定の範囲内の魔力を吸い取る性質もある。早い話がファンネルだ。私の思考を読み取りそれに沿った行動をしてくれる便利な装備だ。それが全部で16機、個別の識別番号を憶えるのも充電時間も憶えなくてはいけなかった。


 別の装備だがアイビーは覚えるのに苦労していた。私としては一度使ったことある物だから思い出すだけだと思っていた。実際のところは久しぶり過ぎてほとんど覚えていなかったので地獄を見た。


 本当に覚えられているのか不安だから起動したくはないが、仲間の攻撃が始まるからそろそろ起動したほうがいいか。流石に起動せずに転移者達と戦えるかと言えば無理だ。


 とはいえ、私はのんびり仲間と一緒に落下するつもりは微塵もない。頭を下に特に手を広げずに落下を続ける。普通であるならあの高さから落下して無事なわけもないが、今の私は全身がそれなりに強力な装備を付けている。あの高さから落下しても無傷で行動できる程度には丈夫に作られている。


 とはいえ、何か傷跡を残して着地したい。何かないかとズームで探していると私の大体真下に転移者がいるのが見えた。丁度いいあそこに着地しよう。少しを広げたりして微調整をしながら転移者に直撃するように場所を合わせる。目下の転移者も慌てて魔法を撃っているが何分真上というのは逆に狙いにくいもの、移動、再び目視で発見、迎撃をもう一度繰り返すのは何分面倒だ。しかも我々は太陽を背に降下している。逆光の中一度見失うと見つけるのは転移者でも難しいだろう。それでも数撃てば当たる物で転移者の魔力量に物を言わせた弾幕に当たりそうになるが腕についているカリュブデスの一基をそのまま盾にして降下を続ける。


 地面と垂直な形で落下を続けている現在、ゴーグルなしでは目が開けられない程まで加速した勢いを殺さないように気を付けながら着地の直前に膝を抱えて半回転し、そのまま落下の勢いがついたまま転移者目掛けて足を延ばしてドロップキックをする。


胴体着陸(パンケーキ)だ、食らうがいい」


 転移者の張ったバリアと私のドロップキックが激突する。とはいえ落下の勢いは直撃した瞬間だけが最大威力であり、それが防がれてしまえば勢いは消えてしまう。そうなる前に跳躍し距離を取って着陸する。ざっと見回して周囲にいる転移者は10人ほど、全員がこちらを向いている。うん、厳しい。だが殺す。


「クレイ、8機起動」

『イエスマム、カリュブデス起動、分離します』


 私の装備に搭載されているAIクレイが操作し私に付いている中から背部から2機 両肩 両肘 くるぶしから計8機が離れ私の周囲を旋回しながら待機する。カリュブデスは便利ではあるがバッテリーで動く都合上一定時間ごとに充電のために私の所にも戻らなければならない。なので全16機中のうち半分を起動させて充電が少なくなってきたら戻して、残りの8機を代わりに起動させている。

こうすることで16機が全部充電切れで使用不能になるという失態は起きない。


「最大消費で攻撃開始」

『攻撃開始します』


 クレイの制御により私の周りを浮いていたカリュブデスが周囲の転移者達へ一斉に飛来する。当然向こうは防ごうと武器を構えたり、魔法でバリアを張ったり、避けようとしたりしている。

そしてその行動は私達の予想範囲内だ。


 バリアを張った転移者の元へ向かった数基はバリア接触前にバリアが消失し無防備に手を突き出していた転移者の胴体を横に両断した。


 カリュブデスの元ネタはとある世界に存在していた化け物の名前だ。奴は食事をする際にあらゆるものを海水ごと飲み干しその後吐き出していた。この装備はそれに倣い攻撃力を上昇させる際に周囲の魔力を全て取り込み、取り込んだ魔力をストックし費用に応じて攻撃力の上昇に使われる。


 流石に神から力を貰った転移者から全ての魔力を奪えるわけでは無いが、それでも転移者が現在使用している魔法の分は奪うことが出来る。自分の魔法を過信している転移者にならそんな単純な手で十分だ。強大な力を持つ彼らも元は戦闘のプロでも万物の天才でも神でもない。力さえなければただの一般人だ。一瞬空白が出来たとしてもそれに対応しきれるかと言えば無理だ。


 さらに彼らは無駄に長く異世界での生活を経験しているその分の驕り、自分の力に酔いしれている。そんな彼らを一瞬だけ一般人に戻し殺す装備、それが私のカリュブデス。いかに魔法で体や感覚を強化しても一瞬魔力を消し去り一瞬の空白を作り殺す。単純明快ながらもこれがよく効く。

そして武器を使う転移者は私自身で対処、避ける転移者はカリュブデスの能力で無力化した後に上空の仲間による弾幕で殺す。

周りを見渡して転移者の中でも私と似たような日本刀を持った転移者へと距離を詰め刀を振るう。それなりに鋭いはずの攻撃を転移者は何ともないように弾く。


 うん、面倒だ。


 魔力を消しても根底にある神の力は消すことが出来ない。カリュブデスはあくまで魔力だけを消す装備であって神の力は消せない。

魔力を使わない転移者には結局の所私達の技量で殺すしかない。


「フッ!!」

 鍔迫り合いから転移者が力任せに刀を押し返して距離が離れる。


「貴方達がマナカさんの言っていた敵ですか」

「…………」


 マナカ?………………確か記録課からの資料であった転移者、前ユグドラシルの創始者の一人だったはず、前回のユグドラシル殲滅作戦の時には遺体は未確認だったが生き残っていたか。いやまぁ私はそんな奴いたのかと今更思い出していたがな。


「だんまりとはつれないですね」

「いや、少し思い出していただけだ。そちらを無下にする気はなかった」


 少しガッカリした転移者の様子を見て武器を下げる。話をしながらもクレイは私の思考を読み取って上空にカリュブデスを配置し始める。


「ああ、よかった話が出来るのですね。でしたらお願いですが手を引いてくれたりしませんか?」

「無理だな。今回は外来種、在来種問わず皆殺しだ。大人しく抵抗されずに殺されて欲しい」

「何という外道な。まるで悪役ですね」

「人殺しが正義の味方な訳が無かろう。強いていうなら世界の味方だ」


 世界が悲鳴を上げ汚染されるというのなら助けよう。私達は理由のない生き物を助けない。生き物が暮らす世界を守るために殺すのだ。


「なるほど、しかしいくら世界が拒もうと貴方達が私達をどうこうできる理由にはならない」

「する。いや、だから今こうして、どうこうしようとしているのだよ」

「させませんよ」

「出来ると?魔法対策なら完璧だ。貴様ら転移者程度で私達をどうにかできると思うな」

実際の所、魔法対策のみではないがこういって油断が誘えるかもしれないと思っての発言だ。こう言っておくことでこちらの弱点を探ってくれるとありがたい。

「ええ、私達では難しい。何せあなた達は私達の天敵、私たち以上に私達転移者の事を知っている」


 そうだ。私達はお前たちを殺すために作られ仕事は全てお前たちを探し出し殺すことに特化している。この装備もお前たちを対策している切り札だ。生半可な転移者では何もできずに殺される。


「そこまで知っていて諦めないのか」

「なにせ私達は私達だけでは無いのですから」

「どういう――――」『緊急連絡、緊急連絡』


 そこまで口を開いた私を遮るかのように通信が入る。口を閉ざして転移者に注意しながら続きを聞く。


『市民が武装蜂起し味方部隊に甚大な被害が発生中、なお市民の一部に異常な能力の発現を確認』


 そう来たか


リアル事情で更新がしばらく不定期になります。

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