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異世界転移・転生対策課  作者: 紫烏賊
case8 世界樹十全に枯らす
197/199

転移者の防御性能

 転移が完了し私達は空中に放り投げられる。眼下にはとてもきれいなお城のような建物が建っていてその周りを小さな影がチロチロと動いています。作戦目標のユグドラシルの本拠地ですね。

私が場所の確認をしているとそのお城で小さな爆発がいくつも起きました。

見れば私達以外にも転移が完了した方がいて、転移が完了した直後からすぐ下の転移者達に向かって攻撃を開始しています。ミサイルで攻撃している人、持っている銃から攻撃している人沢山の人達が攻撃している様は傍から見れば綺麗に見える事でしょう。


「すごい」

「ボーっとしてないで攻撃するわよ~」


 余りの光景に呆けていると両手にミニガンを持っているセラさんが後ろから声をかけて来ました。今回私達の部隊は私とセラさんの遠距離攻撃担当は後方で隊長達近距離組は前方で転移者を攻撃する二つに分けて攻撃をします。なので今回もセラさんと一緒に行動します。


「は、はい」

「落ち着いて今で通り、動いて行けば大丈夫よ~」

「フィナーレ起動」

『フィナーレ起動、ターゲットスコープオープン』


 腰部にマウントされているアームと一緒に私の正面にそこそこ大きなライフルが現れます。

私はライフルを掴み下方向に照準を合わせて引き金を引きます。銃口から青白い光が発射されて転移者の近くに着弾し爆発しました。

話によればこの拠点の周りには強力な結界や防御魔法が張られていたそうですが、フェーズ1の星間魔導縮照射器による攻撃でバリアは無くなったみたいです。流石の転移者もここから80光分も離れている宇宙空間に建設されているビーム砲台には気が付かなかったみたいです。しかも設計上は10発も連続で撃てます。


 それなら10発すべて撃って全滅させればいいと思うのですが、そうすると目標がどのくらい死んだか死体を数えることが出来ず、誰かが逃げた際に確認が取れず誰が生きているのか誰が死んでいるのか確認することが出来ないので確認が取れるように一人一人殺します。

スコープを覗いて視界内に入った転移者や転生者に照準を合わせて引き金を引きますが、流石にそれだけで転移者達が死ぬわけもなく防がれたり避けられたり殺せている人はいません。

むしろ反撃の方が激しく、私の周囲で爆発や炎や水、氷が飛び交っています。


「ミサイルポッド発射」

『ターゲットロック、ミサイルポッド発射します』


 私の背中にあるバックパックが展開し中から何重ものミサイルが飛び出し、眼下の転移者目掛けて無数に飛んでいきます。その他にも

まるでバケツでもひっくり返したかのようなミサイルと弾丸の雨に関わらず転移者の表情には余裕が見られます。この程度の攻撃は防げるという余裕でしょうか?


 とはいえ私達が使っているのはSランク装備、対転移者転生者用に作られた装備です。それなりに対策しています。例えば私が今撃ったミサイル、当たれば爆発しますがその範囲を魔法によって狭め一方にしか爆風が発生しない設計になっています。さらにミサイル内部は中性子爆弾、要は核兵器で、さらにその中でも生物に対する被害が一番大きい核爆発を引き起こす爆弾がこのミサイルに積み込まれています。殺せなくても次確実に殺すために被害の大きい爆弾を選んだそうです。

転移者の防御魔法の範囲はその人の知識量に依存します。

毒を知らなければ毒を受け、放射能の攻撃を知らなければ放射能に被曝します。しかしひとたび毒や放射能の存在を知れば、転移者の防御魔法は毒や放射線を弾くようになります。

しかし、彼らの世界に放射線何て物を取り扱う機会はありません。

大体が魔法で何とか出来る世界に化学は存在せず、また転移者達が広める化学も言って銃火器程度、核兵器の開発に取り掛かる人はいません。


 核を作るより銃火器と魔法の組み合わせで強力な武器を発明する程度です。彼らは良くも悪くも生ぬるいです。兵器を作るのなら一つの兵器で大量にメリットを生み出す兵器を作った方が良いのに、核兵器と魔法を組み合わせれば私達ももう少し苦戦するのに彼らは開発せずに全部中途半端で終わらせてしまいます。

だから、殺されるんです。ミサイルの一発が転移者の防御魔法に接触し転移者の方向にのみ爆発が発生して転移者の姿が見えなくなります。爆発は熱放射を伴い、一方方向に限定された爆発の威力は普通のよりも強力で致命的です。

煙が晴れ転移者の無事を確認しましたが表情は先ほどの物とは違います。

ビックリしていますね。ただ、防げたはいいけどあまり余裕がなさそうです。ではあと残りのミサイルも頑張って防いでください。おかわりもあります。別の部隊員さんがお穴痔ミサイルを撃って攻撃していますから、終わりはありません。

防げたとしてもすぐに被曝症状が出るのでその内防げなくなります。

魔法に慢心してファンタジーを信じすぎた彼らは科学によって殺されるんです。別にミサイルが切り札という訳でもありません。

私の装備はあくまで私の装備、隊長や他の皆さんは私とは違う装備をしています。


 私と同じ装備をしている人の役割は転移直後、ユグドラシルへミサイルによる飽和攻撃及びユグドラシル構成員への牽制、隊長達近接組が着地するまで攻撃を続けて敵の注意を引きます。

隊長達が着地する時までどれだけ殺すことが出来るのかが、重要な所です。隊長達が着地すればフレンドリーファイヤの危険があるためミサイルでの攻撃が出来なくなるので、それまでにミサイルを撃ち切る必要があります。とはいえ私は攻撃を指示するだけで照準等の制御関連はクルツが全部やってくれます。なので私はスコープを覗いてこちらに攻撃しようとしている人に向かって狙撃します。


 このライフル『フィナーレ』も対Sランク用装備です。聞くところによればあのドラゴンになった転移者を攻撃した時に使用したAランク用装備オーベルテューレの後継機、ハイエンドモデルだそうです。威力は2倍以上、でもサイズはコンパクトにさらにパーツの脱着によりとマガジン交換によりスナイパーライフル、サブマシンガン二丁、アサルトライフルの三形態に変えることがきます。


 そんなフィナーレですが、機能の充実を代償に射撃による反動軽減は最低限、片手撃ちなんてしたら確実に肩が外れます。他の人の武器にはビームを使用する武器があるそうですが、ビーム兵器は汎用性に優れてないそうで、切り替えも照射か単射の2モード、マシンガンのように連射は対応できていません。


 なので、私はフィナーレを選びました。ビーム兵器より殺傷力は減りますがまだ未熟な私としては一人で戦える武器よりも誰かのサポートが出来る武器の方が性に合っています。

そして、この武器でも転移者を殺せるチャンスがあるのでそれを狙って引き金を引きます。

とはいえ私の腕前では一人も殺すことが出来ずに大体が他の人の攻撃で死んでたり、そもそも殺せていなかったりします。


 しかし、元々私達は出来れば殺せればいい程度の考え、本番は地面について隊長達が行動を開始してから、そうまだ慌てなくていいです。

落下中な事を計算に入れるのを忘れて、狙いを外した言い訳を頭の中でしながら、気を取り直して次の得物を探していると、何かが横切りました。

…………アレ?なんか既視感を感じました。

何でしょうか?何となく嫌な予感がして先ほどの影を探します。

探しながら転移者に何度か攻撃すること数分、スコープ越しに見つけました。そして叫びます。


「なんで、もう隊長下にいるんですか?!」

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