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異世界転移・転生対策課  作者: 紫烏賊
case7 マッチポンプな救世主
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いきなり戦場

 青い空、緑の大地、そしてそれを台無しにする雄叫びと叫び声、金属と金属がぶつかり合う音が聞こえます。眼前には二つの軍勢が戦っています。

今回の仕事では状況的に転移者に敵対している軍勢を助け予定なので、現在戦闘真っ最中の場所に転移することになりました。なるべく戦場の近くに転移するように隊長が指示をしてすぐに戦闘に遭遇するかもしれないが頑張ってほしいとも言っていました。それを了承したのは私達ですが、それでも目を開けると目の前が戦場だとビックリします。


 ひらけた平原に兵隊が集まってお互いにぶつかり合う。近くに森が無いので数と数のぶつかり合い、でも多分転移者側っぽい兵隊が押していますね。おそろいの鎧に大きな盾と細い剣を持った一団が装備も年齢もバラバラの一団を押しているように見えます。バラバラの一団の方が数は多いのに押されていますね。


 取り合えず何か統一感のある鎧を着こんでいる人たち目掛けて発砲します。今回持ってきた銃には試作弾頭を使用しているそうで弾の前に部分に電撃を発生させる部分がついているようで人に当たればそれなりに強力な電流が流れるように作られています。

室長がとあるテレビ番組の特撮で使用されているのを参考に作られたようで、使用武器も似たような感じの武器を使っていたそうなのであまり手間がかからなかったと話していたのを憶えています。


「グエ!」「な、何だお前ら!!」


 命中した人は体をぶるぶると震わせて剣や盾を落として倒れ込みます。威力は十分の様ですが何発も撃ち込むと命を落とす威力になるので使用している武器はハンドガンです。それでも一人一人スタンガンやテザーガンでやっていたころに比べると格段に楽です。返事はせずに黙々と撃ち続けます。その方が怖いって隊長も言っていました。


「ひとまずこのあたりの安全を確保してください」


 現在隊長とユッカさんは別行動中なので代わりに指揮を執っているナギさんが指示を出してます。ただ、別れる前の隊長からなるべく目立つように言われているのでバロックさんがスタングレネードを色んな所に投げつけて後方の弓兵部隊や魔法兵部隊に混乱を起こしています。

そして重機関銃を地面に置いたセラさんがこれまたハンドガンでちまちま人数を削っています。

ナギさんは転移者に敵対している人たちに、その場の勢いで指揮権を勝ち取って指示を出しています。こうして手助けをすることでよくわからないがこの人たちは味方かもしれないと一部の人達に証言してもらうことが出来て両軍から狙われる事態は回避できます。


 因みに別行動中の隊長は転移者に敵対している陣営と交渉中です。いきなり現れて敵ではないと言っても怪しさ満点ですので私達が行動して結果を示すんです。

そんなこんなで目の前に接近してくる敵を撃ち続けると敵の勢いが弱くなっていきます。なんか恐れているように私達に近づいてきません。


「まぁ、この世界の人達銃なんて見たことないので怖がるのも無理ないですね。しかし、今が好機であるのも事実です。各員前進、敵の勢いを完全に殺してください」


 ナギさんの指示通りに私達が前進すると後ろにいた人たちが付いて来て動けなくなっている人たちの捕縛と装備を剥がし始めました。

そう言えばこの人たちの持ってる武器が隊長の持っている刀と似ているような気がします。それにしては作りが雑ですね。隊長の刀みたいに見ほれるほどの美しさが足りません。多分急造品でしょう、簡単に折れますしね。というか、銃口向けると及び腰になって逃げ始めるのでとても狙いにくいです。まぁ、全滅させようにも残弾的に難しいので逃げてくれるとありがたいめんもあります


「皆さん何やってんですか!!僕に続いて突撃してください!!」


 そうやって銃で脅しながら進んでいると何やら奥の方が騒がしいです。ポーチからスコープを取り出して覗くと後ろの方で頭一つ抜けて、いえ馬に乗って高くなっているだけの鎧を着こんだ少年が指示を出しています。何で歩兵ばっかの部隊で馬に乗ってるんでしょう?狙われ放題じゃないですか。


「あの、あの人撃ってもいいですか?」


「別にいいと思いますよ~、ただし人は殺しちゃ駄目ですよ~」


 言われなくても転移者以外の人、特に現地人は殺しちゃだめだと決まっています。なので私が狙うのは彼が乗っている馬です。

近くで気絶している兵士の盾を地面に突き刺さして、背負っているドラグノフを支えて構えます。スコープを覗いて視界内に映る兵隊は全員無視して馬だけに当たるようになる瞬間を待って撃ちます。

放たれた弾丸は綺麗に馬の胴体にめり込んで倒れました。少年も落馬したようで周りがざわついているのがスコープ越しに見えます。


「命中しました」


「了解しました。とりあえず、これ以上進むと孤立しちゃいますからナギさんが来るまでここで敵を迎撃してましょう」


「わかりました~、けど向こうは逃げ腰ですから余り無駄弾を打つ必要もないかと~」


 腰にある左右のポーチから続いている給弾ベルトから繋がっている二丁の改造ブローニングを下げてセラさんが周り見ます。先ほどのドラグノフの銃声にビビったのか、はたまたその後の後方にいた指揮官らしき人が乗っていた馬が倒れたのを知ったのか、こちらに向かってくる敵兵はいなくなりました。というか逃げだしました。


 今回は消音器を付けてないので撃つたびに特大の銃声が聞こえるようになっています。特にセラさんのブローニングは本来持って撃つ用途では無いので、重量威力そして銃声その全てが大きく戦場に響き渡っていてもおかしくはありません。実際、私達が着た直後と比べると戦場の音が小さくなっていると思います。いえ、私達の銃声が大きかったので勘違いしているだけかもしれません。

追いかけようとすると、ずっとスタングレネードを投げていたバロックさんに止められます。離れすぎると危険なので一旦ナギさんの所に戻ることにすると言われたので後方を警戒しながら少しずつ下がって後ろに下がります。


 あとはナギさん達がうまく話を付けてくれたなら何も問題ないのですが……。少し下がったところで兵隊さんナギさんと一緒に私達の方に歩いてきているのでどうやら問題なさそうです。


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