とある貴族の事情 後編
そこから男の口から私が王都を追放された後のより詳細な内容が語られた。私がいなくなった王都では私が処理していた仕事がたまり始めてパニック状態だったそう。後任の育成をしていなかったわけでは無い、後任として育てていた息子も一緒に追放されてしまっただけだ。
一応休みをもらう際に代わりに仕事を代わってくれる人はいたが、アレも仕事の合間に無理して頑張ってくれていただけでアレをずっと行うのは無理がある。
そんなわけで、てんやわんやになっていた王宮に現れたのは例の少年ヨイ アカツキだ。王に何といったかは知りえないが私のいた席に座ると瞬く間に傾きかけていた国政を元に戻し画期的な政策を打ち出していると
一体どうやって?と思い男に尋ねると自分を快く思っていなかったり、政策に反対している貴族についている部下の不正やら、その帰属の後ろめたい部分を暴いて蹴落として没収した資産を使って国政を立て直した様だ。
…馬鹿じゃないか?誰だって後ろ暗い過去程度持っている。それがやむにやまれぬ状況だったのか暗躍しようと国という組織を動かす都合上、清廉潔白に運営するなど不可能だ。だからこそ一部暗い部分をあえて抱えたまま運営しているのだ。流石に国家転覆とか物騒極まりない計画していたら阻止するがな。
だが、ヨイが進めているのは暗い部分だけ消して明るい部分だけを残そうとしているだけだ。それにヨイがやっている方法は敵対している貴族にしか行っていない、自分の味方には行っていないので都合がいいにもほどがある。
外も中にも甘くてどうするんだ。
心の中でツッコミを入れながら話を聞いてゆく。政治に関して素人か?というか何で陛下は反対せずに承認してんだ。何でそんな政策承認しているんだ
話が全部終わる頃にはツッコミ疲れていたが一番聞きたかったことがまだある。
私の息子の事だ。
そのことを聞くと奴曰く息子は王都に入った後に衛兵に捕まり王城に捕まっているとのことだ。
一刻も早く助け出したいところだが私はこの王都を追い出された身、王城に行けば追い出されたはずのこの身がどうなるか等想像にたやすい。しかも最近の政治の動きを見るに陛下の近くにいたヨイという少年が国の中枢に深くかかわっているのはわかる。私や周りの貴族を容赦なく追放した彼が事情を話したところで素直に話を聞いてくれるだろうか?
多分聞いてはくれない。陛下に懇願しても彼がいる限り難しいだろう。
しかし、ここで息子を見捨てるという選択肢はない。一体どうしたら
「一つ提案がある」
奴はもったいぶったように一つ提案する。彼は追放された貴族たちをまとめ上げてレジスタンスを組織しているという。私にその一員になれと言ってきた。
正直乗り気ではない。私は今息子を人質に取られている。もし息子を使って脅されれば私は逆らうことが出来ない。
他にも様々な理由が出てくるが一旦断るか保留するとしよう。そう決めて口を開く。
「ああ、喜んで参加させてもらう」
しかし、実際に出た言葉は私の考えとは全く違う答えが出た。どうして?頭に疑問は浮かぶが体と言動は私の意図しない方向に進み始める。まるで見えざる手に動かされるようにあれよあれよという間に話は進み組織は膨らみ私が再び自分の意思で動くようになった時にはもう既に後には戻れない状態にまで進んでいた。
もう冗談じゃない程にまで規模が膨らんでいる。陛下へ宣戦布告もしてしまっている。あの時から今まで夢であって欲しいと願うが夢じゃないと現実が教えてくる。
もはや戦争は避けられない。それもデモを起こして政治的に追い出そうという話だったのにいつのまにか戦争をして殺すと言った物騒な物に変わっている。彼も分かっていたように宣戦布告に対して軍備を進めている。
私達の意思など関係なく、まるで彼に向かって都合良く進んでいる。
もう既に戦争開始日の前日であり部隊の編制、配置は終わらせている。もう止まらない。




