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異世界転移・転生対策課  作者: 紫烏賊
case6 幸せな未来を壊せ
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川の中で

 バシャバシャと音を立ててお互いに川の中に入ります。でもちょっと近いので離れてもらうためにお腹に前蹴りを入れて離れてもらおうとしますが足が水に絡まってお互いに体勢が崩れて尻もちをつきます。水の中って結構動きにくいんですね。思ったよりも水が足を引っ張って地上よりも動きにくいです。でもこれなら遠距離武器が最強です。


 グロックをイサナさんに向けます。イサナさんも頑張って起き上がってポッケから種を取り出しますが、川の中に種を撒いてしまえば流されてしまうので種を撒こうとする手が止まりました。木で壁を作ろうにも成長が一瞬でないのでその間に当たってしまいます。

水中に入った程度で銃が撃てなくなるとかはないので安心してイサナさんに銃口を向けて引き金を引きます。


 銃弾がイサナさんに当たりはしますが動いたりして頭に当たりません。エイム力が欲しいです。

そうこうしている内にマガジンが空になってしまったので、空になったマガジンを投げ捨てて次のマガジンを押し込みます。


 そして、再びイサナさんの方を見た時に私の右肩に鋭い痛みを感じました。見ると私の右肩に植物が刺さっていました。


 このやたら細長くそれでいて特徴的な葉っぱの形…竹ですね。まさか竹の種を持っているとは予想外です。そして竹を成長させて刺突武器に利用するとは驚きました。


 ビックリしつつも竹を掴んでどかして引き抜きます。引き抜いた場所から血が零れて川に流れて行きますが気にせずにイサナさんを見ると、イサナさんは第二第三の竹を生やして攻撃してきます。撃って壊そうにも竹って地味に頑丈ですし、成長し続けているのに同じような所を撃てないので難しいですね。


 しかも遠距離武器が無いと高を括って川の中に入りましたので水に邪魔されて攻撃を避けにくいんですよね。この川地味にひざぐらいの深さがあるので動きにくいですし、何より竹の葉が邪魔で撃てません。


「いっっったいですよ!このくらいじゃ死なないですけど痛いんですよ!」


 思わず愚痴をこぼしながらグレネードを投げます。投げたグレネードはクルクルと回転しながらイサナさんの位置から川上に2メートルくらいの位置に落ちました。

イサナさんは自分の近くに落ちなかったのに安心してこちらに目線を向けます。多分爆発せずに水中に落ちたので安心しているのでしょう。でも、手榴弾は水中でも爆発します。それもある意味空中で爆発するよりも強力です。


 手榴弾の起爆までの時間は大体3~5秒程度、知らなくても数を投げていればなんとなくわかります。


 そして‥‥。少しくぐもった爆発音が聞こえイサナさんの体がバランスを崩して川の中にもう一度入り込みます。グレネードは水中で爆発すると爆発のエネルギーが水を押して直接イサナさんの足に叩き込まれます。それも減衰することなくダイレクトで足に当たります。もし水中に全身が入っていれば頭蓋や、内臓が圧迫され最悪破裂して死亡、良くてひび割れ済むところですが、今回の状況ではイサナさんの膝までしか水が無いのでイサナんさんは足を粉砕される程度で済むことになります。


 足が使えなければ移動は出来ません。つまり撃ち放題です。私は警戒しながらゆっくりとイサナさんに近づきます。残弾はまだありますが万が一の場合を考えてリロードをします。

よく見ればイサナさんのいるあたりの水が赤く濁っているので少なからず負傷しているみたいです。でも油断はできません、もしかしたら水中から竹が生えてくる可能性やツタが拘束してくるかもしれないので慎重に歩みを進めます。


 でも水上にイサナさんが出てきませんね。足がやられているので起き上がれなくて溺れているのでしょうか?


 それならそれで仕事が終わるのですが、何かしっくりきません。

そう考えていると川の中から木が三本ぐらい生えてきました。太さ大きさ共に立派な木ですね。おかげでイサナさんの姿が見えなくなってしまいました。


 でも大丈夫、私はここで秘密兵器の火炎瓶を取り出します。手っ取り早く自然を破壊するには燃やすのが一番です。いくら木を盾にしようとしても燃えれば無意味になります。

待っていてください、今燃やして‥‥火が無いです。火炎瓶に火をつける道具がありません。いえ、持ってはいるんですけど、マッチなので先ほど水に浸かった時に使い物にならなくなってしまいました。

チャッカマンとかライターにしておけばよかったです。何で火炎瓶にはキャップをしておいてマッチの方の対策をしていないのか、転移前の私を叱りたいです。


 何か火になるものは‥‥グロックがあります。

…確か銃口の近くは弾丸を発射する時に爆炎が少し出たはずです。それを使えば

私は左手でグロックを持って、右手で火炎瓶の火をつける所が銃口に当たるように持ちます。そして引き金を引き、弾を数発撃つと何とか火炎瓶に火をつけることに成功しました。

少し感動ものです。でも、ずっと感動もしてられないので急いで木の上あたりを狙って火炎瓶を投げつけます。


 火炎瓶はクルクルと回りながら飛んでいき木の上の枝に着地しました。

…あれ?資料で見た火炎瓶ってもっとブワーって燃え広がるイメージがあるのですが、広がりませんね。枝や葉っぱに引火して燃えてきてはいますが火の回りが遅いです。なるほど、あの枝と葉っぱがクッションの役割をしてしまい瓶が割れなかったんですね。でも分かれば何とかなります。

グロックを瓶に向けて発砲します。最初の数発は外れてしまいましたが、何とか命中して瓶の中身が幹を伝って下まで降りて行きます。すると火もそれを追っていき、あっという間に木の全体に燃え広がっていき最終的にパチパチと音を立てながら全体が燃えています。


 どうにか火をつけられたので少しホッとした後に煙を吸わないように風上から木の後ろに回り込みます。

後ろに回るとパチパチと燃える近くに力なくもたれかかっている人影が見えました。


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