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異世界転移・転生対策課  作者: 紫烏賊
case5 異物混入
141/199

作戦

評価ありがとうございます!

 出てきた魔獣たちは迷わず私達目掛けて襲い掛かってくる。あるものは自慢の牙で、またあるものは魔法を操っている。面倒だがこいつらを処理してから向かわないといけないようだな。


 口を大きく開けながら近づいてきた狼の魔獣の顎に後ろに回りながら蹴りを入れて閉じさせる。顎下に刀を突き差して脳天まで貫通させて引き抜く。頭と顎から何かをぶちまけながら狼が倒れる。


「隊長、何かやばくないっスか?」


 いつの間にか近寄っていたユッカが、蛇腹剣を振りまわして魔獣を近寄らせないように牽制してくれている。


「やばいが、他の皆はどうした?」


「アイビーちゃんとセラちゃんは向こうで待機中っス。ついでにバロックも合流してるんで向こうは大丈夫だと思うっス。後、ナギちゃんは他の人達と協力して負傷者を後ろに下げたり下がるまでの護衛をしてるっス」


「なら、今フリーなのはユッカだけということか」


「そうっス見るからに頭やばそうな転移者っスから俺が援護するっスよ」


 アイビーが少し心配だったが、バロックも合流しているようだし魔獣も転移者の近くにいる部隊を全滅させるまで奥にはいかなそうだから私達が負けなければいいだけだ。


「殺してもいいのは楽だが、正直面倒やなぁ!」


 見るとナワニがハルバードを振り回しながら数体の魔獣を屠っている。こういう時に大物を持っている奴は数を処理出来て便利だな。私の場合どうしても一体しか相手に出来ないから時間がかかってしまう。だがこっちの方が小回りが利いたりして便利だから、あまり気にしないでおこう。


「殺してもいいのは楽だが、こう数で来られると面倒やな」


 基本的に私達は仕事で転移者や転生者以外の生き物、たとえば転移者の近くにいる女性などを殺すことは禁じられている。だが、ここに来た場合は無力化の後に元の世界に送り返す事をできるほど暇ではないし、返そうとする途中も命の危険があるので基本的にはここで処理している。この魔獣の場合は厳密にいえば核から作られた存在であり生き物ではないので殺しても構わないので気にせず殺している。


 他の部隊も鉈やチェーンソー、斧を振り回して魔獣を殺しているので、血やら中身があちこちに散乱して今までよりもバイオレンスな光景になっている。アイビーが見たら気分が悪くなりそうだ。私も少し嫌だ。


「オラァ!しねぇ!」


 一方転移者は手に何も持たずに無詠唱で、魔法名も言わずに魔法を放ってくる。先ほど使っていた渦潮や機雷が威力を増して襲い掛かっているのが見える。しかも敵味方関係なく襲い掛かってくるため魔獣と戦っている最中の部隊員を魔獣ごと飲み込んだりしているから質が悪い。さらに魔獣のせいで転移者を攻撃している。部隊がいなくなっている。


 そのせいで余計に転移者の攻撃が激しくなっている。爆発のたびに床が少し揺れて天井から埃が落ちてくる。


「ありゃあ早く殺さないと、ここが崩壊するで」


 ナワニの言う通り銃やら爆発やらで、床や天井がボロボロになっている。今にも崩れてしまいそうだ。


「それはそうだが、どうする?」


 辺りを見れば魔獣と色んな魔法が飛び交っている。転移者は絶えず手から魔獣を生み出して狂ったように笑っている。完全に悪役の顔だ。いや、悪なのだから当然と言えば当然なので間違ってはいない。どちらにしても、今突撃しても攻め切れるか不安なのは確かだ。


「隊長、ビーム出さないっスか?あれ使えばいいんじゃないっスか?」


 ユッカが思い出したように提案をする。アレか、余り使いたくないのだが…技名言わないといけないし。

そんな私の思いとは裏腹に、ユッカの言葉にナワニが目を輝かせた。


「え?姐さんビーム出せんの?!もしかして目から出んのか?こう光のエネルギーを貯めてビーって出せんか?!」


「おいこらナワニ、私はZじゃない!出るのは刀からだ!それにあれはチャージに時間かかるしチャージ中は動けないから無理だぞ」


「でも、魔獣なら俺とナワニ君で何とか出来るっスよ」


「魔法は防げないじゃないか。魔法跳んで来たら、壁になったとしてもあの大きさだと防げずに私に当たるだろ」


 特にあの渦潮は私達では防げない。水だと蒸発させるか霧散させる以外に手が無いのが面倒な所だ。魔法でもあの大きさを消すにはそれなりの労力が必要になるし、向こうの手数におされる未来しか見えない。


「ナワニ君、何かいいアイデアないっスかね?」


「そう言ってもワイ、一番前で暴れるだけの隊長で難しい事は他のに任せてるからあまりええアイデアは浮かばないで。一回部下に全部任せるのもアカン思て何回か口出ししたら逆に怒られたかんな」


「言うだけなら出来るだろ?いいから言ってみてくれ」


 そう言うとナワニが少し躊躇った後に一つのアイデアを口にした。


「…それ、いいじゃないか」


「そうっスね。ただ、絶対怒られますよね?」


 確かにナワニの提案を実行したら上が確実に怒る。あと上が何の部屋に繋がっているかにもよるな。空き部屋ならいいのだが、どちらにしてもナワニの提案が殺せそうなのは確かだから気にしないでおこう。


「別に構わん、ただ問題はどうやるかだが…」


「それなんよ。ワイら近距離から中距離までしかカバーできない武器やから誰かにやってもらうのがええんやけど、一人二人じゃなくて十数人で一斉にやらなアカンからどうやるかなんよな」


「…いや、方法はあるな」


「本当っすか?」


「連絡はしてみるが、どちらにしても時間がかかるのは間違いない。その間の足止めは私達でやるぞ。いいな?」


「上等や」「良いっスよ」


 二人の言葉に私は頷いてユッカに指示を出す。


「ユッカはナギに繋いで話を通して協力してもらえ、責任がどうのこうの言ってくる奴がいたら私が責任を取ると言って黙らせておけ」


「了解っス」


「ナワニは…私と一緒で良いか」


「ええで、ワイ難しい事考えると頭痛くなるから細かいのはそっちに任せるであと責任はワイの名前も出してな。一応発案者やし」


「よし、なら…作戦名どうする?」


「天丼でいいんじゃないっスか?」


 冗談のつもりで聞いた私が馬鹿だった。却下したいが時間もかけられないから不本意ながら採用しよう。


「……これより天丼を開始する。なるべく全員死なないように」


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