side転移者
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「はぁ…はぁ…くそったれ!!」
逃げた先に会った部屋の一つに入って身を潜めアイテムボックスからポーションを取り出して傷口に中身をかける。するとかけられた部位の肉がグジュグジュと蠢いて傷口を塞いでいき、次第に傷が小さくなり消えた。
「復活直後は攻撃が効かないのがお約束だろ。それなのにあいつら問答無用で撃ってきやがって、クソゲーじゃねぇか」
しかも、あいつら俺のダンジョンを攻略する時にまっとうに攻略せずに水攻めしてきやがって。おかげで丹精込めて作ったトラップの類が台無しになっちまったし、飼っていた魔獣も軒並み全滅しちまった。
その後は、勿論全力で抵抗したが殺されちまった。だが、この前メニューから買っておいた復活のペンダントのお陰で復活できた。場所は最悪だけどな。
「さて、無双ゲーだと思ったらステルスゲーが始まったわけだが、ここはどこだ?」
逃げている最中にも思ったが、明らかに俺がいた世界の文化とはまるで違う。どちらかというとアレだ。青いネコ型のロボットが作られそうな感じの未来感がある建物っぽい感じだ。命が狙われていなければ、隅々まで見て回りたかった。扉とか未来感があって少しワクワクしたんだけどなぁ。
…さて、現実逃避はここまでにして、まずは現状の確認だ。俺は死んで復活して逃げて適当な部屋に逃げてから、魔術式光学迷彩で身を隠している。敵は何か知らないが俺を殺しにかかっている様だ。神様がどうのこうの言っていたが、結局の所俺に死ねっつてると分かった直後に殺しちまった。誰が、好き好んで自分から死にに行くかよ。それもあんな夢みたいな世界に生きていたら誰だって拒否するに決まってる。まぁ結局、一回は殺されちまったけどな。次にここが何処なのか何だが…。俺は右腕を振ってメニュー画面を開く、これがダンジョンマスターになった時にコアから貰った能力だ。コアから生み出された魔力を使って魔獣を配下に従えるアイテムの作成や、ダンジョンの拡張、ダンジョンの位置情報、ダンジョンのマップ生成機能もある便利なやつだ。さっき使った蘇生アイテムもこのメニューから作った物だ。物が物だけに結構な消費だったので、もう一個は作れなさそうだ。
まずはマップ機能を開いてここからダンジョンまでの位置情報を見ようと思ったが距離が書かれているはずの項目がエラーとなっている。今までこんな表示は見たことが無い。よくわからないがとにかく外に出られれば何とかなるだろう。次にアイテム生成機能を使って何か適当なアイテムを作ってみる。
「…できたな」
どうやら、この機能は問題ない様だ。というかあいつらダンジョンコア破壊していないようだな。ありがたいかぎりだ。
さて、コアが無事ならやれることが増えるたが、まずはステルスゲーの基本だ。アイテムボックスからあるものを取り出し、地面に置いて背中にあるスイッチを押す。
「いってこい」
すると、それは動き出すのと同時に周囲と同化するように消えて行った。俺はメニューに目線を戻していくつか操作をしてある画面を呼び出す。
さっき放ったのは潜入専用ゴーレムの『カメラオン』だ。カメレオンをモチーフにしたあれは、周囲に溶け込みながらカメラとマイクを使って情報収集を行い俺のメニューに画像と音声を送る。普段はダンジョン内に沢山放って侵入者の監視と追跡を行わせているのだが、今は手元に残ったこいつしかない。
まずは、ここが何処なのかを知って脱出の手がかりを探さないとな。カメラオンは扉にある隙間から器用に出て壁を這いながら俺に情報を送ってくれる。
しばらく俺が行ってない通路を進んでいると先に男たちの話し声が聞こえてきた。
『見つかったか?』
『いや、まだだ』
『あの転移者どこ行きやがった』
『追っている途中で目の前から姿が消えたと言っていたから、透明化できるものを使っているんだろう。面倒な』
『上からの指示は変わらないんだろ?』
『ああ、見つけ次第ぶっ殺せだ』
男達の会話を聞きながら、俺は少し焦る。もう、透明化の事がばれているのか、あっちの世界にいた奴らは転移だとか言って結構騙せたんだけどな。そう思いながら見ていると奥からもう一人男が走ってきた。
『おーい、サーモグラフィーカメラを貰って来たぞ』
男は手に持っていたゴーグルのような物を誇らしげに掲げた。…サーモグラフィカメラってあれだよな、温度が分かる奴だよな。…光学迷彩でバレるだろうか?分からないが注意しておこう。そのまま、何かぽろっと重要な情報を言わないかと思って盗み聞きを続ける。
『でかした!…一個だけか?』
『仕方ないだろ急に必要になったから生産が追い付いてないんだよ』
『わかったよ…で?誰が着ける』
『そこは隊長だろ』
『いや、ここは前で戦うそっちが着ければいいじゃないか』
何か知らんが押し付け合いが始まった。
『いやいや、敵の姿が見えなければ指示なんて出せないじゃないですか。ここは真っ先に妨害呪文をかけてもらう為に隊長がつけてください』
『いや、転移者が不意打ち噛まして来たら、一番目で体張るお前が一番危険だろ?後ろなんかより前が心配だからお前が着けるんだ』
そう言ってお互いが相手に付けるための親切心からの押し付け合いは終わらない。
『ん?おや、お取込み中か?』
そう言ってまた追加で刀のような物を持った女性が来た。
『おや、シェフさんじゃないか!久しぶりだな』
男の一人が女性に親しげに近づいて肩を叩いた。
『そちらも相変わらずで何よりだ。あと私の名前はシェフレラだ』
『いや、これは俺なりの愛称というか…だってシェフレラって言いにくいじゃないか』
『否定は出来ないのが悲しいところだが…それでこの先は調べたのか?』
『いや、まだだが…調べるのか?見た所サーモグラフィカメラ持っていないようだが、危険じゃないか』
『心配には及ばない。キチンと対策済みだ』
『そうか、少し不安だが、あんたが言うなら大丈夫だろう。ここは俺達が見張っとくから安心していってきな』
『感謝する。行くぞ』
そう言って刀を持った女性が他の人達を引き連れて通路に入っていく。何をするのか知らんが見えないのなら不意打ちで一撃だ。
そう思って待ち構える事数十分カメラオンの映像から部屋に近づいてくるのが分かる。一度メニューを切って身構える。少しするとコツコツと廊下を歩く音が聞こえてきて扉の前でピタッと止まった。扉の前に立って、いつでも扉が開いてもいいように構える扉を開けた瞬間襲い掛かって不意打ちで2,3人殺して、すぐに逃げる。
扉の前に立っているのは確かなのに中々扉が開かない。…?もしかしてバレた?そう思った直後に扉が少し開いて何か小さな物体を部屋に投げ込まれた。え?投げ込んだ直後に空いていた扉は閉まった。
え?どういうこと?そう思ったが投げ込んだ物体から赤い煙が出てきた。思わず口を布で塞いで後退りする。煙から独特な匂いがするのに気が付いてあることに気が付いて投げ込まれた物体の側面を見る。物体の側面は赤く塗られていて、白い縁で書かれた文字でこう書かれていた。
『創造課改良型バルサン』




