涙が出るのは
涙が出るのは
大きなものを 受け止めきれないから
だから 生まれたばかりの 赤ちゃんは
この世界に触れて 自らの命に触れて
抱きかかえる母に 守られて
父の 喜びに泣く姿を見て
ありったけの力で 泣くんだ
存在が 受け止めきれないから 泣くんだ
すべて 移りゆくもののなかで
変わらないものを 見つけて欲しい
それはきっと
木漏れ日の隙間に ある
忘れた記憶が 覚えている
つないだ手の中に 握られている
だから命が 泣いているんだ
心の底から あのときの産声のように
大切に 守られてきた 命が
太古から 今に 至るまで