表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/22

5

 教室に戻ると、既に花見たちも入っていた。彼女は、俺に気づく様子もなくお喋りに夢中になっている。そのことに少しがっかりしながら、自分の席に着くと、間もなくチャイムがなった。しばらくして、担任の先生が入ってきた。


 2分後に先生は教室をあとにした。SHRの内容は至極薄っぺらいものだったが、それは毎日のことだった。扉がしまったのを合図にして、生徒たちはまた立ち上がり、1限目の授業開始までの時間、各々動き始める。


 先程トイレは済ませてしまったし、何をするでもなく席に座っていると、誰かに名を呼ばれた。座ったまま仰ぎ見ると、長い髪の女子生徒が机の前に立っていた。


「今度の文化祭の担当、決めてないの、あなただけだから、今決めてくれる?」 彼女はボールペンと1枚の紙を机の上に置いた。「これ、締め切りが今日の昼休みまでなの」


「うん、わかった」


 彼女が言う担当とは、店舗担当かステージ担当のどちらかのことだ。


 俺はすぐに()()名前を探していた。


「人数はだいたい半分ずつくらいだから、どちらでもやりたい方で良いよ」


「それじゃあ、ステージで」


「よし、決まりね。はぁ~、実行委員もなかなか骨が折れるなあ」


「お疲れ」


「じゃ、それでよろしくね」


 蝉川高校の文化祭は毎年だいたい7月の初週に3日間行われる。


 全学年各クラスが教室を利用して何かしらの店舗を開く。生徒たちはもちろん外部の人間も自由に見物できる。種類は様々で、スタンダードな飲食店からバブル期を彷彿とさせるクラブや、お化け屋敷なんかもある。

 それと、並行して体育館ではステージを利用した演し物が行われる。こちらも演出は各クラスの自由で、限度を守ればどのようなショーを行っても良い。時代劇や童話の舞台をしたり、ダンスを発表したり。幕間には吹奏楽部やバンドの演奏が入る。

 それぞれ生徒会や教師陣が審査をし、最終的に最も優れたクラスが決定されるのだ。


 俺が彼女を初めて見たのは、去年の文化祭のときだった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ