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第7話「そして彼女はいま」

挿絵(By みてみん)


 私が姿なき亡霊となってどれだけの年月が過ぎただろうか。



 結界と呼ばれる空間は教会より半径500キロの範囲らしい。それだけあれば、衣食住どれも苦労はしないが、生憎私は空腹にならないし、服が色焦ることもない。



 私の地元である東京まで何とか還れないか試したことはあるが、新幹線の通る街まで行ったときに私の体は半身が消失した。そしてそれには多大な痛みを伴うものであった。



 私は亡霊になったのだ。その現実と向き合うしかなかった。



 黒木氏の描いた絵画は私たちが死んだ事件の後に回収された。彼が残した手帳もそうだ。おそらくは彼の家族のもとに渡ったと思うが、どうだか。



 彼は亡霊となったのちに寂しくなると言ったが、いまの私には感情という感情なんてものが存在しない。彼が寂しくなったのは、彼が直接家族と会っていたからだろう。今の私には家族などと出会う機会すら望めないのだ。




 しかし、そんな私だからこそできることがあるのではないか。それが黒木氏のやった行動の物真似であった。



 まだ感情のある私、その私を家族や友人にみて欲しい。



 ビデオカメラは無事届いたようだ。私がカメラと手紙を届けて以降はここを訪ねる人も増えてきた。しかし誰も気づいてはないことがあった。



 それはこの教会に地下の隠し扉があることだ。



 地下には錬金術を記した書物が多く内蔵してあり、私が余暇を過ごすのに役立てている。



 しかしその地下室を見つけた女が現れた。



 女は見るからに不思議な女であった。ここに住みだして、猪を狩っては喰っていた。何が目的なのかわからなかったが、彼女は熱心に禁術の本を読んでいた。



 まさか禁術の実践をしようとしているのか……



 しかし彼女は悪魔の餌食となった。悪魔となった彼女は私が昇天させた。



 よもやあんな出来事と遭遇するとは、亡霊となってもわからないものである。



 あの件に巻き込まれた彼はあれから見ない。さぞトラウマとなったのであろう。




 私は1冊の本を読み終えた。



 そして想いに耽った。




 私は望んで亡霊となったワケではない。



 悪魔の餌食となりたくなかったのだ。



 しかしそんな私も悪魔の餌食となりかけた。



 誰でもなりえるのだ。



 人間が生き続ける世界があるかぎり悪魔が生まれないことはない。



 フィルムに残らない真実。今日も誰かが誰かを騙しているのだろう。



∀・)最後まで読了いただき、ありがとうございました!!割烹にて「ボク流REC.」と謳いましたが、一応はボクなりに色々アレンジしています。目指すとこはホラーのエンターテイメントであり、ホラー好きさんに楽しんで貰えたり、怖がってもらえたら何より光栄です。ボクですがカリスマ怪談朗読Youtuberのヤミツキテレビ様を招いた「ヤミツキ×なろうコン」というイベントを開催しています。宜しければ是非是非チェックしてみください。イデッチでした☆

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、誰でも悪になり得るのですね……。 詳しい描写で思わず想像してしまい身震いしました。 そして最後の終わりもブルブルとなりました。 やはり人間は怖いということですかね?
[良い点] 読みやすい中にも詳しい描写が想像力を掻き立てられます。 [一言] ホラーものとか官能ものとか、 本来、視覚に訴えるものを文字で表現するのって難しいんですよね。 今作品は、読み手にわかりや…
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