表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

第1話「届いたフィルム」

 2015年8月、九州地方へ出向いたテレビ番組のクルーが音信不通となった。某県境の山中にて取材班4人のうち3人が遺体となって発見される。死因は頚部損傷による大量出血やショック等だ。しかし解剖の結果、その衝撃を受けるまでに皮膚が腐乱していた可能性があると言うのだから妙なお話だ。



挿絵(By みてみん)



「ゾンビにでもなったのかよ」



 某テレビ局の一室にて俺は届け物を片手に過去の週刊誌を読んでいた。口には煙草をくわえている。これは自他ともに認めるヘビースモーカーである俺のスタイルだ。




 ここ数年、民放各局のホラー番組は気味の悪さを自重するようになった。顔のよく知られたアイドルやタレントが怖がる顔をカメラに映し、今まで何度もみてきた心霊写真・心霊動画を地上波で流す。



 実はこうしたオカルトを蔑んだ考え方が俺は嫌いだ。



 念願の夏ホラーの特集を担当するディレクターとなって、様々な規制に「はい、わかりました」と頭を下げるのが……どうも嫌で仕方がなかった。




 そんな俺にワクワクする話が飛び込んできた。




 3年前に行方不明となった取材班の一人からスタジオ宛てに届き物が届いたのだ。届け主が木村華絵、遺体が見つからずに行方不明となった人間だ。



 ふざけているのだろうか? 随分と凝った悪戯だ。内容はビデオらしい。



挿絵(By みてみん)



「倉木さん、ソレ、いまから観るのですか?」



 後輩の清武が話しかけてきた。今年入社して俺の配下に入った新人だ。コイツもオカルトに興味があり、そうした番組制作に携わる俺の班の一員となっている。もっとも、俺ほどまでに詳しい感じでもなく、にわかのオカルト好きみたいだが。



「みてみなきゃあ、わからないだろ。もし使えそうなら使うさ」

「ワクワクしますね!」

「まぁな。ふざけて送ってきた物かもしれないが」



 俺は包装物を開けた。中にはビデオカメラに入っていたと思われるSDカードと封筒入りの手紙があった。手紙にはこう記してある。



『金田友樹、近藤卓也、河村剛士のご冥福を祈ります。私はこのフィルムの中にいます。でも、もうどこにもいません。どうか私を探さないでください』



 いよいよ悪ふざけもいいところだと感じた。



 まぁ、何にしてもビデオをみてみなければ真実はわからない。



 清武は手紙をみて目を輝かせてやがる。容貌も中身も変わった女だ。



 俺はやれやれといった顔をして、カードリーダーにSDカードを差し込んだ。



「お! さっそくみるのですね!」

「ちょっと黙っていろ」



 彼女の熱視線は手紙からモニターへと移り変わった――



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ