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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ビッチ姉妹物語~俺の陸戦艇物語スピンオフ~

作者: 犬尾剣聖




 ある砂海の一画に多数の岩山が突き出た場所があった。


 そのほぼ中央の辺りで焚火たきびと思われる煙がうす暗くなった空に立ち昇って行く。


 現在、陽は沈んでおりそれに代わって明るい月が砂海を照らしている。


 焚火の周りでは10人のゴブリン達が酒を飲みながら騒いでいる。

彼らは焼けた肉を美味しそうにかぶり付き談笑していた。


 すぐ横の洞穴から突如1人の大柄なゴブリンが出現すると、騒いでいたゴブリン達はシンと静まり返る。


 他のゴブリンの種類とは明らかに違うその大柄な種族は、ゴブリンの上位種であるホブゴブリンであった。


 肌の色は緑ではなく灰色をしている。

 ゴブリンが身長130ほどなのに対して、ホブゴブリンは2mを超す巨漢。


 身なりもゴブリン達に比べると豪勢な服を着ている。


 ホブゴブリンは騒いでいたゴブリンを一瞥いちべつすると、焚火の近くまで来てドカッと座り込む。


 するとゴブリンの1人がすぐに酒瓶を手に、ホブゴブリンに近寄る。


 しかしホブゴブリンはその太い右手でそのゴブリンを振り払う。


 「バシッ」と音を発してゴブリンと酒瓶が宙を舞う。


 吹っ飛ばされたゴブリンに向かってホブゴブリンが叫ぶ。


「ばかやろうがっ、女に注がせろ!」


「へ、へい。すいやせんっ」


 殴られた左頬を赤く腫らしながら、慌ててゴブリンは近くのおりへ走り寄る。


 金属のガラクタの様な物で作られたそのおりの中には、2人の若い人間の女性がとらわれていた。


 ゴブリンはその内の1人をおりから引っ張り出すと、ホブゴブリンのところまで髪の毛を掴んで引きずっていく。


 女は泣きながら必死で懇願こんがんするのだが、彼らは誰1人として全く聞く耳を持とうとしない。


 ホブゴブリンは酒瓶を女に渡すと、ひとことだけ告げる。


「酒を注げ」


 女は震える手で酒瓶を持つと、恐る恐るホブゴブリンが持つコップに酒を注ごうとする。


 しかしあまりの恐怖から震えが止まらずコップから酒をこぼしてしまう。


「はああぁ? ふざけてんじゃねえぞっコラァ!」


 ホブゴブリンが凄い形相で怒鳴り、太い右手を女に向かって振るった。


 華奢きゃしゃな体系だった女はいとも簡単に5mほど宙を飛び、岩に顔面から激突してズルリと岩を顔で撫でると動かなくなった。


「ああ、またやっちまったか。夜の楽しみがなくなっちまうな」


 ホブゴブリンはそんなことをぼやくと、部下のゴブリンに対してもう一人の女を連れて来るように指示する。


 再びゴブリンがおりまで近寄り、扉を開けようと手を伸ばす。


 しかしまるで固まってしまったようにゴブリンは手を伸ばしたまま動かない。


 しびれを切らしたホブゴブリンがたまらず怒鳴りつける。


「何をモタモタしてやがんだよ!」


 ホブゴブリンがおりの前にいるゴブリンを見つめる。


「た、たすけ――ヒィィィィッ!」


 その瞬間、ゴブリンは鮮血を撒き散らす股間を抑えてしゃがみこむ。そして何者かによってよってその場で首を掻っ切られ、首がなくなったゴブリンが崩れ落ちる。


「クソゴブリンども、そこを動くんじゃないですわよ」


 女性の声が聞こえたのはおりの反対側の岩陰からだった。


 声の主は銃剣の付いたライフル銃を構えながらゴブリン達の前に姿を現した。


 そしておりの方からも刃渡り30㎝ほどの小剣と手榴弾を持った女性が現れた。


 肌の色は茶色というよりも小麦色に近い肌をしており、髪の毛は茶色をしている。

 2人共そっくりな姿に加えて、顔立ちや声まで区別がつかないほど似ている。

 その姿から双子のダークエルフのようである。


 姿を現した2人に対してホブゴブリンは、驚いた様子も見せずに尋ねる。


「てめえら、ここに何しに来やがった」


 ライフル銃を構えたままダークエルフが口を開く。


「あらあら、まあまあ。ずいぶんと上から目線でものを言うのね。この遅漏チンカスのクソ虫早漏野郎のくせにね。私達はちょっと食事をもらいに立ち寄っただけですわ」


 その言葉にすぐにもう一人の小剣を握ったダークエルフが口をはさむ。


「ソニア姉さま、遅漏と早漏が被っていますわよ。それはおかしいですわ。でも腐れ包茎の癖に美味しそうな物食べていやがりますわね」


お腹が相当空いているらしく、焚き火で焼く肉を見つめる。


その時ゴブリンの1人が脇に置いてあったナイフに手を伸ばす。


 しかしソニアはすぐさまライフル銃をそのゴブリンに向けて引き金を引いた。


「ひい~、俺の息子がぁぁぁあ」


 銃弾は股間に命中したらしく、ゴブリンは股の間を押さえて苦しんでいる。


「あらレベッカ、確かに被ってますわね。それじゃあチンカス野郎だけにしとくわね」


 しかしソニアは何事もなかったように、ボルト操作で次弾装填をしながら話を続ける。

 次弾の装填でライフル銃から排莢はいきょうされた空薬莢からやっきょうが、別のゴブリンの股間の前に落ちて止まる。


「あら、ソニア姉さま見てくださいよ。空薬莢からやっきょうが腐れチン○の先っぽのところで止まりましたわよ。次はこいつってことかしら」


 それを聞いた途端、そのゴブリンは立ち上がって走り出す。


 その背中に向かって冗談を言いながらソニアがライフル銃を向ける。


「あらまあ、そんな未熟なもんブラブラとさせて、誰が動いて良いといったのかしら」


 ソニアは逃げだしたゴブリンの尻に狙いを定めて引き金を引く。

 弾丸は走っていたゴブリンに命中して派手に転倒させた。


「ソニア姉さま、見てくださいよ。あの腐れチン○のゴブリンの尻を」


「ふふふふ、ケツの穴が増えましたわね」


 その瞬間、ゴブリン達の恐怖が頂点に達した。このままではここにいる全員が大切・・なものを失うと。


 1人のゴブリンが逃げ出しにかかると、他のゴブリンも一斉に逃走を始める。


 そんな逃走を試みるゴブリン達を一人、また一人と尻や股間に弾丸を撃ち込んで行く。


 5発撃ったところでライフル銃に装填していた弾が切れる。


 それを見たホブゴブリンが大声を上げながらソニアに襲い掛かった。


「弾切れだ! 全員で襲い掛かれ!!」


 ホブゴブリンのその声に、一旦は逃げ出したゴブリン達が足を止めて振り返る。


 振り返った時のその光景は、ちょうどホブゴブリンの左手の一振りで、ソニアが吹き飛ばされる姿だった。


 それを見たゴブリン4人は形勢逆転とばかりに再び焚火の近くまで戻ってくる。そしてもう一人のダークエルフであるレベッカに襲い掛かる体制を取った。


 ゴブリン達はポケットからナイフを取り出して、レベッカを取り囲むようにして威嚇いかくする。


「さんざんバカにしてくれたじゃねえの。今度は俺達4人でお前のバカにしたこいつ(・・・)でいたぶってやるからよっ、ふへへへへ」

 

 ゴブリンの1人が自分の股間を指差して、いやらしい笑い声を浴びせる。


また別のゴブリンがレベッカに舐めるような視線を送りながら口を開く。


「こいつビッチなくせになかなか良い身体してやがるな。クッソしゃぶりつきてぇ!」


「まったくクソ忌々(いまいま)しい短小野郎達だわね。私の身体はお前らでは一生買えないわよ。ただその私に立ち向かって来る勇気だけは褒めて上げますわ。ご褒美にお前たち4人とも一生おむつが必要な体にしてあげるわね」


 言い終わるか終らないのうちにレベッカは、1人目のゴブリンの股間を切り割いた。


「ふぎゃああっ! 俺の大事な、大事なところがぁぁぁ!!」


 続いてレベッカは2人目のゴブリンに襲い掛かる。


 襲い掛かられたゴブリンは、動揺した様子でナイフを闇雲やみくもに振るう。


「そんなんで私を切れるとでも思ったのかしら?」


 レベッカがナイフを持つ手を手首ごとすっぱりと切り落とし、そのままそのゴブリンの股間を下から真上へ切り上げる。


「がぁぁぁぁああ!」


 ゴブリンが悲鳴を上げる。


「どうかしら、2つに分けてあげましたけど?」


「ひいぃぃ、化け物だぁ」


 残った2人のゴブリンが背を向けて逃げ出す。


 その背中を向けたゴブリンに持っていた小剣を投げつける。


 小剣はクルクルと回転しながら飛んでいき、逃げるゴブリンの背中に突き立った。


 「あら、外してしまった。私としたことが……」


 生き残った最後のゴブリンは後ろを振り返りつつも逃走する。


「しょうがないわね」


 そう言うと、レベッカは先ほど切り落としたナイフを持った手首を拾い上げる。


 そしてその手首ごと逃げるゴブリンの背中に投げつけた。


 『ドスッ』とナイフが刺さる音が聞こえ、ゴブリンの悲鳴が木霊こだまする。


 手首付きのナイフはゴブリンの尻に突き刺さったのだ。


 尻に突き刺さった手首付きのナイフを取ろうと、うつ伏せになった状態でもがくゴブリン。


 それを見てレベッカが笑いながら罵倒する。


「ふふふふ、まるでファックしてるようですわね」







 一方ソニアは、ホブゴブリンと死闘を繰り広げていた。


 最初にもらってしまった一撃が深くダメージとして残ってしまい、防戦一方となってしまっている。


「へっ、口ほどにもねえな。弾がなけりゃあ何もできねえくせに、でけえ口叩くんじゃねえぜ」


 ソニアは弾がなくなったライフルで戦っているのだが、銃の先には銃剣と呼ばれる小剣が取り付けてある。

 その剣を武器になんとか防戦している。


 先ほど喰らった一撃により、口からは血が垂れている。おそらく内臓に損傷を与えられたか、肋骨辺りが折れているのかもしれない。


 反対側ではレベッカが戦いの真っ最中であり、加勢を頼むこともできない。


 逃げることもできないこんな状況でも、ソニアは悪態をつくのだけは忘れない。


「この短小が何を言ってくれるのかしら。このカビ生え租チン野郎にこの私が負ける訳がないじゃないの」


「てっめぇ、俺は短小でも租チンでもねえし、カビも生えてねえっつうの」


「あああらどうかしら、それならば見せてくださるかしら?」


「こいっつう!」


 ホブゴブリンのご太い腕がソニアの顔面を捉えようとする。


 するとソニアは重いライフル銃を相手の顔面に向かって投げつける。ホブゴブリンは咄嗟にそのライフル銃を振り払う。

 その隙にソニアはホブゴブリンの股下をスライディングの要領ですり抜ける。


 一刻の間を置いてホブゴブリンが叫び声を上げる。


「ううがああああ! てめえ何をしやがった!」


 ホブゴブリンの股間はいつの間にか切り割かれて血だらけになっていた。


「あらあら、凄いことになってるわね。何もライフル銃だけが手持ちの武器だなんていってないわよね」


 ソニアの手には血だらけになったナイフが握られていた。


「股下には太い血管があるから注意してね」


 ホブゴブリンは股間を抑えたまま、ガクっと両膝を落とす。


 その頃になってレベッカの方の戦闘も終わり、両膝を付いたホブゴブリンのところにダークエルフ姉妹が集まる。


「さあ、どうしましょうかこの短小野郎は。レベッカ、何か案はあるかしら?」


「そうですね、あのおりの中の女に聞いてみたらどうでしょう」


「それはいい考えですわね」


 レベッカがおりから中にいた女を解放すると、即座に女は答える。


つぶしちゃってっ!」


 それを聞いたレベッカは笑顔でホブゴブリンに近寄る。


 そして血だらけになったズボンの股間の中に何か(・・)を突っ込んだ。


「な、な、なにを入れやがった……」


「ホブゴブリンのくせに意外といい物もってるのね。短小とか言って悪かったわ。でももうそれは必要なくなるわ」


 その数秒後、股間の中に入れた手榴弾が爆発した。


「これで2日ぶりの食事がやっととれるわね、レベッカ」


「はい、ソニア姉さま。ドワーフ共の追撃も振り切ったようですし、ゆっくりと食事にしましょう」


「あ、あの、助けていただきましてありがとうございます。もしかしてあなた方は逃亡奴隷ですか? あの、その首輪が……」


「あらあら、ドワーフ奴隷の首輪がつけっぱなしでしたわね。でも私達の逃亡奴隷の罪はここ人族領内では無効ですから」


「私の家に来ていただければその首輪を外すことができますよ。お礼もしたいですし、いかがでしょうか。人族領内ですねので安全ですよ」




 こうしてビッチ姉妹は人族領内での活動拠点を得る事になった。

 そしてここから彼女らの伝説が始まるのであった。




読んで頂きありがとうございました。


本編であります「俺の陸戦艇物語~武器ヲタおっさんの冒険譚」もぜひ読んでいただけたらと思います。

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よろしくお願いします。

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