三人での空中降下
今回から会話と会話の間に一行挟んで見ました。
そこを少し意識してみてみてもらえればうれしいです!
「「私達の好きな施設を作りたい?」」
「ああ、そうなんだ」
俺が二人に提案した話しはこうだ。
二人がもと居た場所で使っていた施設、または使いたかった施設。または環境等をこの空中庭園に作ってしまおうというもの話しだ。
この空中庭園は、直径約100メートルの巨大な半球のような形状をしている。
その上にポツンと一軒家に豆腐型建築物があるだけというのは寂しい。この名ばかり空中庭園で優位いつ庭園と呼べる場所もなくはないが、そこだって少しの屋根に数人が座って談笑できる程度の椅子とテーブルしかない。
これだけ広いのならそれなりに大きなものだって作れるし、何ならみんなの好きなものを作りたい。
そう考えての今回の提案だった。
「でも急に作りたい施設って言われてもあんまり思い浮かばないわね」
「うん。そもそも私は村だと家から滅多に出なかったし……」
確かにノーラの話を聞く限り、彼女は村ではあまり活発な生活はしていなかったようだ。
「ならやってみたかったことはなにかないかな。今まで気になっていたけど矢ていなかったこととか」
「やってみたかったこと……あっ」
何かが思い当ったらしく、ノーラが反応を見せる。
「で、でもこれは、その、あまりにも現実味が薄いというかなんというか」
そう言って口を閉じて俯いてしまう。
しかし、その様子を見たエフィルがノーラに言った。
「あのね、こんな巨大な塊浮かせてるに現実味が薄いとかそんなこと言ってもしょうがないと思わない?とりあえず言ってみればいいのよ」
その言葉にノーラはぽかんとした顔をしていた。
まるでエフィルが何を言っているのかわからないと言いたいような表情だ。
「え?わ、私なにか変なこと言ったかしら」
「いや、どうだろう。特別変なところはなかったと思うけど」
「あ、あの、巨大な塊?を浮かせてるってどういう――」
ノーラの発言にハッと気が付いた。
よくよく考えてみれば、まだノーラに外からこの空中庭園の様子を見せていない。
「そうか、ノーラはまだここがどこかわからないんだった。完全に忘れていたよ」
「え?それじゃあシグレがどんな人なのかも伝えてないの?」
「それどころじゃなかったからね。それも忘れてたよ」
「なら私の言ったことが理解できないのも納得できるわ……」
「あ、あの、二人とも何の話を――??」
ノーラの頭の上のハテナマークがどんどん増えていることに気が付き、慌ててノーラに話を戻す。
「ごめんごめん、それじゃあ今から少し外に出ようか。もうそろそろ完全に月も登り切るだろうしね」
そう言って席を立ちあがる。エフィル、ノーラもそれに続いて立ち上がり、家の外に出た。
家の扉を開けると、空には大きな満月が出ていた。
美しい満月に照らされ、今日は絶好のフライト日和だと確信する。
「エフィルはどうする?」
「私も一緒に連れて行ってくれるの?そもそもどうやって見せるのかもまだ聞いてないけれど」
「当たり前じゃないか。それと、方法は後のお楽しみかな」
そのまましばらく歩いて空中庭園の端までやってくる。
完全に大地だと思っていたノーラは驚いて目を見開いていた。
「こ、ここって、まさか――」
「そうだよ、空の上だ」
「本当に浮いて――ええええ!!?」
「ちょっ、ちょっと!!?」
まさに不意を打つ、という言葉を体現したようにエフィルとノーラの手を握る。
そのまま魔術で自分を含めた三人で宙に浮き、陸地の外に思いっきり飛び出す。
「うそうそうそちょっとしぐれぇえええええ!!?」
「きゃぁあああっ!!?」
二人の甲高い悲鳴を聞きながら、遥か彼方の地面に向けて落下していく。
雲をすり抜け、夜の闇をかき分けて風を受ける。
隣の二人はいまだに目から涙をこぼしながら悲鳴を上げている。
流石にそろそろかわいそうか。
魔術を行使して体を浮遊させる。
三人の体がゆっくりと減速していき、最終的にふわふわと空に浮かんだ。
「とっ、止まったぁ……」
「あっ、あうぅ、あうあうっ、あああ……」
エフィルの方は大丈夫そうだがノーラの方が少し――いや、だいぶまずそうだ。
白目をむきながらよだれを垂らしている。
少なくとも女の子がしていい顔じゃない。
「少しやりすぎたかな……。ノーラ、ノーラ。起きてくれ」
ノーラの頬をぺちぺちと軽くたたく。
するとそれに反応するようにビクンビクンと痙攣した後に「ふえっ!?」と声を上げて意識を取り戻した。
「おはようノーラ」
「お、おはようございます?」
疑問形の挨拶をもらって苦笑いをする。
「ごめんよ、少しやりすぎたかな」
「そうよ!心臓口から飛び出るかと思ったんだから!」
「あれ?私は、ここはどこ?」
エフィルは激怒、ノーラは現状を把握できてないらしい。
今回は反省しなくては。
最近感情が戻ってきたと思ったが、いまいち暴走気味な気がする。
自制しなくては。
「二人とも。あれを見てくれ」
空中に漂った状態で上を見上げると、今まで巨大な影に遮られていた月の光が姿を現した。
月光が"ソレ"を縁取り、もとよりありえない光景だがさらに神秘的な雰囲気を出している。
ノーラは目を見開き、この光景に衝撃を受けている様だった。
「あれが俺たちの家、空中庭園だ」
「す、すごい……!!」
月夜に浮かぶ空中庭園は、まるで要塞のような禍々しさと共に、神殿のような神々しさを放っていた。
きっと初めて見たものなら誰だって驚くだろう。
実際ノーラも驚いてくれたようだし、これで俺たちの拠点が空に浮いていることもわかってくれたはずだ。
とりあえず当初の目的は果たせたようだ。
「それじゃあ帰ってさっきの話の続きをしようか」
転移魔術を発動させて自宅前まで移動する。
エフィルとノーラは地面に足が付いていることを何度も確認し、安堵の表情を浮かべていた。
しかし、ここでノーラがあることに気が付く。
「あれ?これでも最初から転移で下に降りていたら飛び降りる必要はなかったんじゃ――――」
「さぁ、家の中に入ろうか!」
「ちょっと!?シグレ!!待ちなさい!」
「待ってよシグレ!!」
二人のとめる声を背に受けながらも、玄関のドアを大げさに開けて帰宅した。
今回から少し書き方を変えてみたんですが、前とどっちが見やすいですかね?
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