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氷の女王

時の流れなど感じていないかのような

安古いこのモーテルは中も狭い

下着もつけないままで

君はテレビを黙って見ている

やる気のない企画物が垂れ流れている

俺はベッドに座り煙草をくゆらせる

君を間に挟みながら

煙がテレビの光で浮かび上がる


男優のにやけた顔も

女優の作り笑顔も

すべてが画面の中で収まっている

しかしその半分は

君に遮られてしまっている


映画館のようだ

俺は観客で

画面の中の世界には一切干渉できない

君は演者でもなく

観客でもなく

喘ぐ女優とそれを見て興奮もしない俺の

その間に鎮座する影として存在する

エアコンの風で君の長い髪がゆれるが

その一本一本までもが

スクリーンから飛び出る光を遮る

淫らな映画は歪な形に切り取られる


君は依然として動かずに

すらりとした背骨を伸ばしたまま

テレビのほうを向き続けている

その姿には

さっきまであれほど熱く伝わってきた体温は

幻だったかのように今は感じられない

まるで氷のように

燃え上がるセックスをした後の君は居る


夜はまだ続く

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