争いの大地の章1
父上・・・とても大好きな
僕の父上・・
愛してくれた父上・・・
どうして
どうして・・・・
愛しいあの子の嘆きが聞こえる
お願い・・・
お願いそんなに哀しまないで
「ルー・・・かわいいルー」
父上はそう言って僕を撫ぜてくれた。
「父上・・」
ルーは、月が去ってから数年
言葉もはっきりと話せるようになり
ずいぶん感情が豊かに
落ち着いてきていた。
「王・・・いつまでも小国のままでは・・・
王の力にルー王子の才能が加われば
この地域どころではなく世界の国々とだって
覇権を争うことが出来ます!
我が国民の為を思って・・・」
「しかし・・・私は・・・この国を守るだけでは
駄目なのか・・・?」
今日も父上と将軍が言い争っている。
この国を守るだけでも
争いは起こる
覇権を争うのだって
争いは起こる
戦なんて起きなければ良いのに
父上が居て・・
シルが戻ってきてそれからは
3人でずっと暮らすんだ・・
戦いなんてしないで・・・
そうなったらいいのに・・・
もしそんな暮らしが出来るというのなら
神も居るのかもしれないな。
ところで、
いつになったらシルは帰ってくるのかな・・・?
ルーは、そんなことを思っていた。
「まったく・・・・王にも困ったものだ・・・
甘いことを言って・・・
王者らしく無い・・・・・」
「ルー王子のあの強さがあれば
この国を第一の大国にすることも夢では無いだろうに・・・」
父、カルフォス王は優しい人だった
私よりよほど彼こそが女神に愛される人として
相応しかっただろう・・
「いっそのこと・・・・ルー王子を王にするか・・?」
「そのようなことしてみろ!あの王子は
恐ろしい狂王子だぞ!」
「まだ王子は幼い・・・
狂った王子などに分かるものか・・・
それにどういった訳かこの頃の王子は扱いやすく
なっている・・・」
許さない!
許さない!
父を愛していた分それを奪った奴らを
憎んだ。
なにもかも許せない・・
大切なものを奪った
蛆虫ども・・・・
汚らしい
権力に群がることしか
覇権を唱えることしか
考えていない
者どもが
そんなことで父を奪ったのだ
私は・・・父という枷が
愛する愛されると言う事を失った
私は、血に染まった
狂気の道へと歩みを進めてしまった。