守護者の章3<挿絵あり>
安らぐこの時間
この場所・・・・
どんなに血に染まっていても
貴方達の心は澄み切っている。
人間は不思議な生命だった・・・。
そして、その中でもその親子は不思議だった。
「シル!・・・シぃル!」
一休みしているうちにルー王子が起きてしまったのか
月を探している。
「ルー王子・・・・私はここです。」
「すまぬな・・・ルーの奴そなたをとても
気に入っているらしい・・・」
ルーに居場所を教える月にルー王子の父王
カルフォスがため息と共にそう言う。
「シル!・・・ちちうえ!!」
共に一休みしていた月と父王を見つけて嬉しそうに
駆けて来るルーに微笑を浮かべながら
仕方が無いですねという風に瞳を合わせる。
「ちちうえ!・・・も・・やっつけたの?」
戦乱の世、自国の国民の暮らしの為に
度々戦いにでなければならない父に
ルー王子は、無邪気にそう尋ね膝に乗る。
「・・あ・・ああ!・・・もうルーの傍に居れるよ。」
「わーい!・・あのねぼくもね、わるいやつが来たから
やっつけたんだよ!」
ルー王子の言葉に辛そうな表情を浮かべそっと
抱き締める父王と
意味も分からずに
微笑み返すルー王子を
月は、哀しそうな瞳で見つめていた。
「大丈夫だよ、シル。・・・・もうすぐで争いも終わるさ
戦わなくても良いように・・・戦で苦しむ者も無くなる・・」
父王は、戦いの辛さ哀しさを知る瞳を月に向ける。
「ルーも、もう、手を血に染める事も無くなる・・・」
高い戦闘力を持つ父王譲りの・・・いやもしかしたら
父以上の能力を持つルー王子が
敵対者の送った暗殺者の命を、
場合によってはそれ以外のも
奪い、その手を血に染めるのに
父王は哀しく思っていた。
「お前を愛しているよ・・・・ルー・・・
可愛い私の息子・・・。」
「ちちうえ~」
どんなに手を血に染めていても
2人の心は澄んで、
愛情に溢れていた・・・。