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番外編(王子ルー2)ルー<カルフォス>の幼い時

「ああうう!ち・・ち・・・」


王宮が、ざわめいていた。




幼い王子ルーは、


そう言う時は、大体いつも父親であるカルフォスが、


帰ってくるのだと知っていた。




「ち・・ち・・・!?」


いつも傍に居てくれないけれど、


大好きな父を探して、ルーは王宮を駆け回る。


空気がざわめいている所へ、


人のたくさん集まっている所へと


ルーは、向かって行く。




「ちーち・・・ぃ!!」


父親であるカルフォスを見つけた


嬉しさで人ごみの中から駆け出して、


ルーは、動きを止めた。




「・・・・・・初めまして・・・ルー王子・・」


星空に輝く月の光が居た。


青ざめて、ルーの父親であるカルフォスに


横抱きにされていたが、


ルーには、そう思えた。


大きく目を見開いて


ちょっとだけぼんやりと見上げる幼い王子に


その少女は、にっこりと微笑みかけた。




「気分が悪くなったようだ・・休ませてやってくれ」


大好きな父親、カルフォスの声も


その時ルーは、半分ぼんやり聞いていた。


優しい微笑みに、声に、真っ直ぐにルーを見つめる瞳に、


少女の全てに、その瞬間、


ルーは、強く引き付けられていた。














少女シルは、ルーの傍に居てくれた。


その間も、ルーの命が危険に晒される事は


幾度と無くあったが、


何故か何度も、奇跡的に一命を取り留めた。


カルフォスは、幸運と守護の女神かも知れないな、


と、シルの頭を何度も撫ぜて又、涙を零した。




ルーは、苦しい時、傷ついた時に何度も


そっと触れて、抱きしめてくれる


シルが、大好きで、大好きでたまらなくなった。


少しでも離れて居たくなくて、


親鳥の後を付き歩く雛鳥のように


付いてまわった。


微笑んで欲しくて、でもどうして良いのか分からなくて


何度もシルを困らせながらも


星の光を、月の光を、陽の光を、


水のせせらぎを、風のささやきを、


シルと一緒に喜んだ。




ずっと傍に居て欲しかった。


父と、シルと一緒に居る時が


一番嬉しくて、大好きだった。












しかし、シルは、去っていった。



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