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陽・月誕生の章1
原始、世界は混沌であった
善と悪、光と闇、生と死
全てが混じり合い存在していた・・・
混沌はやがてその身を二つに分け
天空と大地が生まれた。
天空と大地は己達の子として
力を合わせて
太陽と月を生み出した。
「貴方はだあれ?」
母である大地に抱かれ、父である天空に見守られ
月は初めて瞳を開いた。
瞳に映る赤い紅の髪がゆれ目の前の太陽が答える。
「君は僕の半身」
輝く金の瞳が、月を見つめ
「・・・貴方は私の半分、共に輝く者、
生み育てる者、見守る者ね」
月も流れる銀の髪を母の胸に滑り落としながら
緑の瞳を細めて見つめ返し
心に浮かんだ答えを口に出した。
太陽に向かって手を伸ばすと、
月に向かって太陽も手を伸ばして来た。
その瞳を見ていると、彼が自分の半身だと強く
感じられてとても落ちついて
手を絡み合わせ互いの身体を抱き合った。
生まれてまもない二人にはまだまだ眠りが必要で
眠くて眠くてしょうがない・・・
互いの温もりを感じながら眠る
双子神を
父である天空と母である大地は優しく見つめていた。