怒る太陽の章4
哀しいよ・・・寂しいよ
離れないで・・
「・・・・ハハッ・・・・ねえ・・月
僕よりも大切なものなんて許さないよ・・・・」
クスクスと笑いながら太陽は地上の憎い者達を見下ろした。
「僕から月を取る汚らしい・・・
憎い奴らのことなんて・・・・消えてしまえば良いよね?」
瞳を閉じると今まで憎くはありながらも
その生命達が燃えてしまわないようにと加減していた
身を包んでいる灼熱の光を強くした。
哀しい・・・よ・・・・
傍に居て月・・・・
太陽は、泣きながら生命達を次々と蒸発させていった。
灼熱の光を浴びた地上ではほんの一瞬の間に
池を、川を、湖を消し
そこに生きる生命達の身体から水を消し
あらゆる生命がなすすべも無く蒸発していった。
(やめて・・・・やめて下さい・・・
お父様・・・・・・!)
留めに入ろうとする星と雲とを涙を零しながら微笑んで
地上に落とす。
他の者を大切って言わないで・・
僕だけを見て・・・・ずっと僕だけを・・・
泣いて泣いて・・・・灼熱の光を
涙を止められない。
「やめて~!!!」
不意に太陽の力が無効化される。
涙で滲む瞳を正面に向けると憎悪を抱くほど愛しい
太陽の月だった。
太陽と同じように泣いて、泣いて、
癒しの涙を止まることなく流し続ける
月の姿だった。
「月・・・月・・・僕の物にならないなら・・
死んでしまったら良い・・」
(違う!!私は、月が居たら何もいらない
昔のように二人だけで居れるのなら・・!)
「僕は、全てを消す・・・全て滅びてしまえば良い」
(月が僕を見つめていてくれるのなら
僕だけを見てくれるのなら・・僕を一番に思ってくれるのなら・・
本当は構わないのに・・・!)
美しい赤い闇の主・・・魔王によって
憎しみを植え付け煽られた太陽はもう滅ぼすことしか
考えることが出来なくなっていた。
「憎い・・・・・全てが憎い・・・
月、お前も憎い・・・・!・・・・滅びろ!」
(大好きなとても大好きな僕の月
・・・愛してる・・・)
「ああああああああ!!!!」
見下ろす地上にはほんの先ほどまで
かろうじて生きていた生命が消え去っていた。
そして天上でも星々が雲が・・・消えていた。
「ああ・・あ・・ああ・・愛しい子・・・・私の・・
子供達・・・・子供達が・・・!」
まだ残っている生命を消すために
虫の息でいる生命達に止めを刺す為に
太陽は泣き笑いの表情で
更なる力を解放しようとする。
「太陽!・・・・・太陽!・・・私達の子・・
どうして・・・どうして・・・?
・・・やめて・・・どうか・・」
太陽が愛しい子供を殺した
そして、全ての子が滅ぼされてしまう・・・
「太陽・・・たい・・よ・・!っく・・
・・・眠りなさい・・」
(彼を・・・・太陽を止めなければならない・・)
月は、太陽に向かい手を伸ばした。
「・・・私の・・・中で・・・・・
・・太陽よ・・・眠りなさい!・・・」




