怒る太陽の章2
月・・・月・・・僕を一人にしないで・・
僕から離れないで・・
・・・・ニンゲンガ・・・ワルイ・・・
ツキヲ マドワス ニンゲンガ・・・
太陽の耳にそよ風のように無意識に
入ってくる声。
「月は・・・僕の半身なのに・・・」
ツキヲ マドワス
イノチヲ ホロボセ・・・
「でも・・月は生命をとても大切にしてる・・」
ツキヲ マドワス
カルフォスヲ コロセ・・
ツキヲ ウバッテユク・・カルフォスヲ・・
「カルフォスはあんなに穢れに満ちて居るのに!」
ツキノ ヒトミニ ウツルモノ
ミンナミンナ・・・・ツキヲ ウバッテユク
「でも・・・月は僕をけして忘れはしない・・・」
イノチガ・・ツキヲ マドワシテ・・・ウバッテ・・
イズレハ・・ボクノ ソンザイ ワスレル・・・
「月・・・・月・・・苦しいよぉ」
父と母に与えられた
月と太陽の場所で
太陽はたった一人寂しさに震える。
「月・・・どうして僕の傍に居てくれないの?
僕のこと嫌いになったの?」
後から後から涙が零れて
太陽の涙が灼熱の炎となって地上を苦しめる。
「僕のこと忘れて・・・・僕以外の他の奴らを
愛するんだ・・・僕を憎んで・・・他の奴らを愛する・・
戻ってこなくなる・・・二度と帰ってこなくなるんだ・・・」
太陽は月のように他の者を見ることが出来ませんでした。
太陽は、深く激しく只一人を見つめることしか
知らなかったのです。
生まれた時から二人だった太陽にとって
たった一人はとても寂しくて
けれど周りのたくさんの生命を愛することは出来なくて
消え逝く生命達の嘆きを聞きながらも
涙を止めることも
生命達に心動かされることも無くひたすら泣き続けました。
ホロボシテシマエ・・・
泣きながら何処か近くで誰かがそう言っているのが
聞こえました。
「誰・・・?誰なの?」
問いかけるけれどまだその声は遠くて
聞こえにくくて
でも少しずつ少しずつ近づいてくる声に
太陽は、首を傾げながら
やっぱり月のことを考えていました。
「月・・・月・・・僕を一人にしないで・・
僕から離れないで・・」
太陽が願うことは自分で穢れに満ちていると言っていた
カルフォスと同じことでした。
『・・・二人に加護を与えましょう・・月の加護を・・・・』
月が、カルフォスの子供達に加護を与えているのが
聞こえる。
ハナレナイヨウニ・・・・
ダレモミナイヨウニ・・・ホロボセバ イイ・・
一瞬はっきりと聞こえたその声に
太陽はその声の存在を探しました。
「太陽!・・・・何てことをするのです!」
けれど声の存在を見つけるより先に
太陽の大好きな大好きな存在が
目の前に再び現われました・・・・・・




