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第8話「芋虫」

更新が遅れると言ったな。アレは嘘だ。


会話文と地の文のバランスは大丈夫でしょうか? 感想にてご意見など仰って頂けると捗ります。

「それじゃあよろしくおねがいしますね」


 ダインが去った後、ハルカはエルステッドに改めて言った。


「はっ、はい」

「もしかして緊張していますか?」

「はい、少々・・・」

「そうですよね。見ず知らずの人と同じ屋根の下にいるのは女の子にとっては嫌なことですよね」

「そうじゃないんです」


 エルステッドは首を振る。「ただあまりに、その・・・お綺麗だったので」


「私が綺麗、ですか?」


 ハルカが呆気に取られた様な表情で尋ねた。


「はい、それはもちろん」

「まさか。産まれてこの方そのようなことを言われたことは・・・」


 ハルカは両手で自分の顔に触れて呟いた。「ああ、そうだった」


 そして一瞬複雑そうな顔をした。


「『ああ、そうだった』とは一体何のことですか?」

「い、いえ何でもありませんよ。こちらよろしいですか?」


 ハルカがベッドの横にある椅子に視線を移した。


「どうぞ。あ、ごめんなさい。ずっと立たせたままにしてしまって」


 ハルカが姿勢良く椅子に座った。

 椅子のきしむ音がした。


「別に構いませんよ」


 ハルカは興味なさげに呟く。

 

「あの、敬語はお止めください。わたし、ただの村娘ですし、年下です。それにハルカ様のような方に敬語を使われると居心地が・・・」

「あ、ごめんね。僕の性分みたいなもので、つい敬語で話してしまうんだよ。・・・・・・これでいいかな?」

「ボク?」

「あ、違う違う。私。でこれで良い?」

「はい大丈夫です」


エルステッドは微笑した。そんな彼女の顔立ちはどこか影を感じさせる。


「聞きたいことがあるんだけど良い?」

「はい。どうぞ」

「アメリカ、ブラジル、日本、中国、南アフリカ、ロシア、フランス。この中で聞いたことある言葉ある?」

「ごめんなさい。聞いたことないです」


 エルステッドは伏し目がちに答えた。


「そうだよねぇ。気にしなくていいよ。薄々感付いてたから・・・」


 沈黙を恐れたハルカは続ける。「君のお兄ちゃんの・・・ダイン君。彼から色々聞いたよ。良いお兄ちゃんだね」


「はい。兄にはとても感謝しています。少し鈍い所はありますが、もちろん大切な家族です」

「家族と言えばお父さんとお母さんは?」

「死にました。森で魔物に・・・」

「・・・ごめんね。こんな事聞いちゃって」

「確かに父や母はもういませんが、ご近所さんやファマス様に気を配ってもらっているので私はもう大丈夫です」

「ファマス様って、あの団長さんのことだよね」

「はい。騎士団には原則、騎士の家系か貴族でなければ入団できないのですが、ファマス様は見ず知らずの私たちのために兄の入団を工面して頂きました。ファマス様は私たちのような村人にも目を配ってくださる優しい方です。まさしく第4騎士団団長に相応しい方です」


 エルステッドはしみじみと幸せそうな顔でそう言った。


「素敵な人だよね。エルステッドちゃんが好きになるのも分かるよ」

「すっ、好きなんて一言も言ってません」


 エルステッドが首をぶんぶん横に振り、手をばたばたさせて否定した。


「え、じゃあ嫌いなの?」

「い、いやそういうことではなく!・・・ってあ」


 左右に振っていた手が枕元の台にドン、と当たり、その拍子に積んでいた本の山が音を立て床に散らばった。

 ハルカは字が読めないので分からなかったが、散らばった本は、神話、薬草学、魔法学、魔法工学、小説

、絵本と多岐にわたる。


「あららー。本って結構高いんじゃない?」


 ハルカはそう言うと立ち上がって落ちた本を拾おうとするが、


「ハルカ様は座ったままで結構ですので。私が拾いますから」

「いいよ、私もやるよ」

「いえ、落としたのは私ですから」

 

 と言われ仕方なく拾うのを止めた。

 エルステッドはそんなハルカの様子を見た後、深呼吸をして呼吸を整えた。


「よいしょっ。んっ」


 呼吸を整えたエルステッドは床に足を着けベッドから降りた――――――訳ではなく、手を使って足を折り畳んだ。

 そして床に両手を着き、下半身だけベッドの上にある状態で這う様にして本を拾い始めた。

 ハルカがその様子を呆然と眺めている間、エルステッドは本を一冊また一冊と台の上に積み直していく。

 

 そして最後の一冊の絵本を台の上に置こうと左手を上げた時。


「きゃっ」


 可愛らしい悲鳴をあげエルステッドの体がどてん、と床に落ちた。


「だ、大丈夫?」


 ただ呆然と事を見守っていたハルカだったがベッドから落ちたエルステッドを見て慌てて彼女の元でひざをついた。


「大丈夫・・・です。少しびっくりしただけ」


 そう言ってエルステッドは絵本を一旦ベッドの上に置く。

 そして手だけを使い必死にベッドに登ろうとしている。その様はまるで芋虫のようだった。


「んっーーーーーーーーーー」


 エルステッドのそんな様子に耐え切れなくなったハルカは彼女の腰と足を抱え込んだ。


「ハルカ様!? な、何を」

「良い? せーの、で持ち上げるからね。行くよ。せーの」


 ハルカはエルステッドの下半身を浮かせると、その瞬間にエルステッドは手を使いベッドに這い登った。

 エルステッドの顔を見ると血の気が引いているようだ。


「ごめんなさい! それにこんなみっともない姿まで・・・」

「えぇと。別に気にしなくていいんだけど。・・・足、怪我してるの?」


 エルステッドは拳を作り俯いている。


「怪我しているわけじゃないんですけど、その・・・・・・私、足が動かないんです」


 エルステッドは自らの足を力なくった。






次こそ書きだめ始めるので更新遅れます。

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