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067 「世界の終わりの序曲」

真紅の稲妻が、地上から天空へ向かって無数に立ち昇っていった。

黒い津波となったゴジラサウルスたちは、紅い光に全身を包まれている。

天と地が、逆転したかのようにも思えた。

大地を覆う黒雲が、天上に向けて無数の雷を放っている。

それは、黙示録の光景であった。

地獄の門が開かれ、地の底に住まう魔神が歓喜の咆哮をあげる。

世界の終わりの序曲が、壮大なる交響楽となり怪物たちの口から迸った。

トレーラー・トラックは、再度12式地対艦誘導弾の照準を合わせる。

近づく何十頭ものゴジラサウルスへ向けて、ミサイルが放たれた。

轟音と爆炎が、漆黒の巨龍たちを包んだ。

怒り狂う紅蓮の焔を踏みにじるように、ゴジラサウルスたちは前進していく。

そして、幾本もの光の矢が、地上を蹂躙する。

ゴジラサウルスの発したプラズマ放射が、地上をなぎ払った。

暴風に晒された木の葉となって、10式戦車が吹き飛ばされ破壊される。

ゴジラサウルスたちは、既に何かを破壊している意識はないようだ。

暴走状態となった黒竜たちは、ハリケーンが地上を破壊するのと同じような無慈悲さを持って、この島国の軍隊を蹴散らしていく。

トレーラー・トラックは後退しようとしたがそれは間に合わず、鋼鉄の津波に踏み潰されていった。

湾岸エリアは、地獄の光景を出現させている。

わたしは、ヘリを後退させていく。

その怪物たちを止める手立ては、全くないように思えた。

既にひとの造り出した兵器というレベルを、越えている。

火山の噴火や、隕石の落下と同じレベルの猛威を奮っていた。

地上から吹き上がってくる暴風に、ヘリは幾度も揺さぶられる。

わたしは、なんとかヘリを立て直しながら距離をとっていく。

レーダーに、反応があった。

スミスが、苦笑しながら呟く。

「どうやら、横田からF35が出撃したようだ」

わたしは、レーダーを確認する。

16機は、いるようだ。

大盤振る舞いといってもいいだろうが、目の前にいる地獄の暴竜たちの前ではあまり意味はないだろう。

レーダーに反応しているところを見ると、ステルス性能を無視して対艦ミサイルを装備しているるようだ。

おそらくは、ハープーンであろう。

上空から迫る戦闘機を無視して、漆黒の津波は湾岸エリアを地獄に変え、さらに街へ向かって突き進んでゆく。

焔と黒煙が、龍たちを包む。

そして真紅の稲妻が、空を紅く染めていった。


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