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003 「戦争なんてものは、戦う意志があるか無いかだけで勝敗が決まる」

この島国は、先の世界大戦で負けたと言われている。

では、戦争に負けるというのはどのような状態を言うのだろうか。

例えば、大陸の西端で行われていた世界大戦を考えてみる。

黒十字の軍隊は、トリコロールの国に攻め入りその首都を陥落させ、支配下に置いた。

けれど、負けたのは黒十字の軍隊であると言われる。

つまり、首都を制圧され国家の機能を掌握されたとしても、それは戦争というもののプロセスに内在するひとつの局面でしかない。

言い換えると、戦争の勝ち負けを規定するものではないということだ。

海をへだてたところにある、あのユナイテッドステーツが負けたときはどうだったろう。

彼らはジャングルを焼き払い、ゲリラを殺しつづけた。

彼らは常に、ジャングルの奥地まで物理的に制圧していたに違いない。

彼らは、自分の領土を失うことは無かったし、自分たちの国土に攻撃を受けることも無かったが、それでも負けたといわれる。

おれは、こう思う。

戦争なんてものは、戦う意志があるか無いか。

その一点だけで、勝ち負けが決まる。

そして、その戦う意志を持つ主体がなんであるかはどうだろう。

国家元首か、それとも軍の司令官であるか。

どれも、違う。

では、戦場にいる兵士なのか。

それも違うように、思う。

その主体は、実は何ものであってもかまわないのではないかと、思う。

少なくとも、ひとりいればいいと思うのだ。

たったひとりであっても、戦う意志を持つものがどこかに残っていれば戦争は継続し、その誰かが残っている以上戦争に負けたとはいえない。

だからおれは、こう思う。

この島国での戦争は、まだ続いている。

なぜなら、おれに戦う意志があるからだ。

それは先の大戦から、引き継がれたもの。

おれがその意志を持ち、引き継がれたものを保持しつづける限り戦争に終わりは無い。

おれが引き継いだもの、それは兵器である。

それはあたかも、それ自身の意志において世界を焼き付くそうとしているかのように思う。

そして兵器の意志はまた、おれ自身の意志でもあった。

おれはきっと、この世界を焼き付くしたい、そう思っているのだ。


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