024 「戦うことを宿命として、この世に生まれてきた」
そうして旧帝国軍は実験の果て、最終本土決戦兵器鉄人号の開発に成功する。
けれど、その特攻兵器が実戦投入可能となった時期は、戦況を覆すには遅すぎた。
特攻兵器研究所は、空爆をうけ焼け落ちる。
金田博士は、研究の成果のほとんど消し去った。
バギュームが敵の手に落ちることを、恐れたためだ。
ゴジラサウルスの死体も、跡形無く焼き尽くされる。
しかし、ひとりの研究所員がラゴス島の脱出に成功した。
金田博士の同僚である、敷島博士だ。
彼は、バギュームのサンプルと鉄人型兵器を生成するためのイオン結晶の結晶構造体、コアブロックを手にしてラゴス島を後にする。
敷島博士は東京湾の地下に造られた要塞研究所に、たどり着く。
そこに、ラゴス島で死んだ金田博士の息子も参画し、研究は続けられた。
東京への空襲が続く中、兵器は進化していく。
反応弾が二発、炸裂したころにようやく最終本土決戦兵器黒竜号が完成した。
しかし、その黒竜号が実戦投入される前に、終戦を迎える。
再び、鉄人号と黒竜号の研究成果は、焼き尽くされた。
全ては、地下の闇で灰と化したはずである。
だが、それらは消えていなかった。
金田博士の息子は、密かにその研究を受け継いだ。
そして、さらにその息子へも受け継がれていく。
おれは、その地下研究所で生まれた。
おれは、生まれた時から兵器だ。
戦うことを宿命として、この世に生まれてきた。
おれは、まず空を支配することにする。
おれがこの世に生を受けたとき、おれはジェット戦闘機橘花の姿を持っていた。
おれは、まずおれ自身を進化させることを目指す。
その結果、ステルス機能やスラスト・ベクタリングを身につけていった。
また、地上を支配する兵器である黒竜号の進化も進める。
それら研究の成果は、イオン結晶の結晶構造体コアブロックに記録していた。
しかしおれが戦いをはじめる前に、おれの存在が敵に探知される。
おれは気がつくと、狩られる側となっていた。




