021 「とても奇妙な研究からもたらされる、奇妙な発見」
バギュームの発見は、とても奇妙な研究からもたらされている。
南海の孤島にある特攻兵器研究所では、ある動物の研究を行っていた。
その動物は生物学的元素転換を行い、海水から酸素を生み出すのではないかと想定されていたらしい。
その動物は、現在は学術名ゴジラサウルスとして知られている。
ゴジラサウルス、そいつはジュラ期より深海で生き延び続けてきた、最後の恐竜であった。
ゴジラサウルスは、最大の肉食恐竜として知られるスピノサウルスの亜種である。
その姿や大きさはスピノサウルスとよく似ているが、スピノサウルスは一枚の大きな背びれがあるのに対し、ゴジラサウルスは4枚の背びれを二列に、つまり計8枚の背びれを持っていた。
体長は15メートルほどであり、後足で歩くことも出来るが泳ぐのも得意だ。
ゴジラサウルスは、普段はマリアナ海溝の底で眠っている。
そして、およそ100年に一度の割合で特攻兵器研究所のあるラゴス島付近まで、浮上してくるのだ。
ゴジラサウルスは、ラゴス島の近くで漁を行う漁師たちの間では、伝説の存在である。
金田博士は、そのゴジラサウルスこそ千島博士が唱える生物学的元素転換で海水から水や酸素を造り出し、深海でも生き延びていると考えた。
博士はその生物学的元素転換を応用して、深海で活動できる兵器を造ろうと目論んでいたのだ。
そして旧帝国軍は、伝説を子細に研究して浮上ポイントと時期を特定し、ゴジラサウルスの捕獲に成功する。
捕らえてみると、ゴジラサウルスは想像以上に途方もない存在であった。
ゴジラサウルスの血液中に存在するバクテリア、バギュームはゴジラサウルスの体表を金属に変成し深海の圧力に耐えうる存在へと変化させていたのだ。
金田博士はゴジラサウルスの血液から、バギュームを取り出すことに成功する。
そしてさらに、バギュームにイオン結晶を結合させることで、血液から造り出される金属の質や形態をかなり精密にコントロール可能であることを発見した。
いうなれば、イオン結晶の結晶構造体をプログラミング言語として、バギュームを3Gプリンタとして使うことができるのだ。
そうした研究がある程度の成果をみせはじめたころ、帝国軍の戦況はかなり悪化していた。
既にラゴス島付近も、戦略拠点として確保できなくなっている。
ラゴス島が空爆にさらされるのも、時間の問題であった。
そんな中で金田博士は、特攻兵器の開発を指示される。
当時帝国軍が開発していた双発ジェット戦闘機、橘花。
それをバギュームを使ってひとの血液から生成し、爆弾を積んだ特攻兵器として利用する。
そんな計画が、進められていった。
金田博士は、バギュームを使えば常温核融合が可能であることも発見している。
それは、血液を燃料としてエンジンを駆動することを可能とした。




