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ぼくと神様

作者: 風鈴花
掲載日:2015/01/15

「ねえねえ、神様っているのかな?」とぼくはいつものように公園のベンチに座って、隣に座っている彼女にたずねる。

 そうすると彼女はいつものように、

「なにいっているの。いるに決まっているじゃない」とこたえる。

「どうして?」とぼくはもういちどきく。

「決まっているじゃない、いるからいるのよ」と彼女はあきれたように言う。

「そっか、神様っているんだね」とそうしていつものように僕はうなづく。

「じゃあさ、なんで空って毎日いろんな色に変わるの?」

 あお、あか、みどり、きいろ、その前の日はどんな色だったっけ、つぶやきながら聞く。

「決まっているじゃない、そんなの神様の気まぐれよ、気まぐれ」

「そっか、てきとうだね」とぼくは納得。

「だいたいそんなものよ」と彼女はあきれたようにいう。

「じゃあ、なんで雨ってあんなにはちみつみたいに甘いの?」

 だから雨の日は大好きなんだけどね、僕はにこっと笑いながら聞く。

「決まっているじゃない、神様は甘いものが大好きだもの」

「ふーん、じゃあ、ぼくと同じだね」

「そう、あなたと同じよ」

 そっか、神様ってあまいものが大好きだったんだ。こんど、あまいものを食べるとき、神様の分とっておいてあげようかな。

「じゃあじゃあ、なんで家はあるくの?」とぼくはきく。ぼくたちの住んでいる家はふしぎだけど、勝手に歩きだしちゃうんだよね。

「決まっているじゃない、便利だからよ。神様が歩かなくても、いろんな場所に行けるように」

「そっかー、でもぼくも毎日いろんな景色がみれていいなって思ってたんだ」

「よかったじゃない」

「そうよかったよ」

毎日毎日がいろんな場所ではじまって、退屈しないんだ。

「でも、そっかー神様って本当にいるんだね」

「いるに決まっているじゃない、当たり前よ」

「でも、明日も神様いるかどうか分からないよ」

 もしかしたら明日は今日と同じ空の色かもしれない。次にふる雨はあまくないかもしれない。家はもう動かないかもしれない。

「ぼく、神様が死んじゃわないか、心配なんだ。だってあした起きたら神様死んじゃってるかも」と今日はじめていつも思ってた心配事を口に出した。

「だから、いつもいつも神様がいるかどうか聞いてきたのね」と納得するようにいう。

「ばかね、そんな心配なんてしなくていいのに」とため息をつきながら彼女は答える。

「だって、神様は死なないもの」

「なんで?」とぼくはいつものようにきく。

そうすると彼女は「決まってるじゃない」と言いながらぼくの方を向いて、

「神様だからよ」とにこっと笑顔で答えた。

「そっか、神様は死なないんだね」

「そうよ」

「よかった、明日も明後日もずっと神様はいるんだね」

「決まっているじゃない」

 よかった、僕かみさまのこと大好きだから死んじゃいやだから、よかった。

「ねえねえ、じゃあさ……」

「なに、まだ聞きたいことあるの?」

「うん、あのさ、なんでかみさまのこといろいろ知っているの?」

 ぼく、ふしぎでしょうがないんだよね。ぼくは神様のこと全然知らないのに、なんでそんなにいろんなこと知っているのかって。

「知っているから、知っているのよ、とわたしは答えられるんだけど、この場合はもう少し違う言い方をしましょうか」と彼女は前置きをして、少し深呼吸する。

そして、何か大事なことを言うようにして静かに口を開く。

「わたしが神様のことを知っているのは……私が神様だからよ」と横目でぼくのほうを見て言う。

「ほんと?」と僕は心臓をドキドキさせてきく。本当だったら、すごい。だって、ぼく神様のこと大好きできっと仲良くできるって思ってたから。

「どう、おどろいた?」

「うん、おどろいた」

 だって、それってすごいことじゃないか。

「そう、よかった。あなたを少しでもびっくりさせることができて。……うそよ、うそ」

「え……?」

「ごめんなさいね。さっきの、私が神様だっていうこと。あれあなたをびっくりさせるためのうそだったの」

「なぁんだ、ウソなんだ」とちょぴっとがっかりするぼく。

「当たり前じゃない、神様は人前に姿をあらわさないもの」

「そっかー、そうだよね」

続けて「当たり前だよね」って彼女の言葉を反復。

「じゃあさ……」って彼女にまた聞きたいことがあって、聞こうとしたとき、ぼくのお腹がぐぅって音を鳴らした。

「お腹すいた……」と僕はいう。

「そうね、かえってごはんでも食べましょうか」と言って、ベンチから立ち上がって歩き出す。

「うん、そうする。だけどさ、ちょっとさみしいよね」と僕は彼女のあとを歩きながらそう言う。

「どうして?」

「だって、ここにはぼくたち二人しかいないんだよ」

「そうね、わたしたちしかいないわ。わたしたち二人だけの世界ね」

「なんで、ここには僕たち二人しかいないんだろう?」

「そんなの……決まっているじゃない」と彼女は答える。

「わたしはあなたが大好きだからよ」

「そっかー、ぼくも大好きだよ」と答える。

「ありがとう」と彼女が笑いながらお礼をいう。どういたしまして、ぼくは心の中でいう。

「今日のごはんはなにかな?」とぼくがきき、「そうね、なにがいい?」と彼女は僕にきく。「あまいものがいいな」「だめよ、ちゃんと栄養のあるものでなければ」

 ぼくたちはそうやって話し続けて、いつもどおりの毎日を過ごす。

 だけど、ぼくは知っている。ここにはさびしがりやの神様がいて、ぼくをよろこばせようとしてくれていること。

 ぼくはそんな神様が大好きで、大好きだ。だから、本当は二人きりでもさみしくなんかないし、きっとぼくはこれからもずっとこの神様のとなりにいる。

 そして、毎日いうんだ。

「神様っているのかな?」って。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  読みやすい長さの短編だと思います。  流れるように読ませていただいて、途中で??と首を傾げる時もあります。 作者様の思想が反映した作品であると思いますので、 神様というものへの捉え方も人…
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