3 著作権と非商業複製
3 著作権と非商業複製
あらゆる人間の知識と文化を収集し、現在そして未来のためにそれを保存するという古来の夢は、過去数十年の技術の急速な発展のおかげで直ぐ手の届くところにある。あらゆる草分け的技術革新のように、それは生活の膨大な分野を取り巻き、甚大な変化をもたらす。こうした情勢の好機をとらえ、潜在的な危険性を警告すると言うのが、私たちの目標である。現行の著作権の法的枠組みは、現在の発展の潜在能力を制限する。というのも、それはいわゆる“知的財産権”という時代遅れの概念を基礎としているからであり、知識-情報社会の目標に対立するものである。
3.1 コピーの非制限
創作物の複製を妨害し、未然に防ぐ技術的システム(コピープロテクション、DRM等)は、経済的な目的で公共財を私的なものに変えるために、人工的な希少性を作り出す。純粋に経済的な目的のための人工的な希少性の創出は、私たちにとって非道徳的なように思え、それゆえに、私たちはこれらの技術に反対する。加えて、こうした技術はそうした創作物の認可された利用も多くの方法で阻害する。それらはまた、使用者を全く受け入れられない方法で制御して監視することを可能にし、将来世代がこれらの創作物を利用する能力を危険にさらす。というのも、それらは今日のメディア装置へのアクセスを欠くかもしれないからである。完全かつ一貫したコピープロテクションのインフラを創設するための経済的コストもまた、達成される経済的利益に比して著しく不均衡である。メディア装置とソフトウェアのより困難な互換性による間接的な後のコストは、これらのコストを更にいっそう増やす。
3.2 自由なコピーと自由な利用
デジタル製品の複製は技術的に合理的な方法で制限されえず、私的領域における禁止の広範な施行は明らかに失敗したから、創作物を大衆に利用可能にする機会は認識され、活用されなければならない。創作物の非商業的複製と利用は自然な過程として認識されるべきであると私たちは確信しており、それは、ある種の利益集団の反対にもかかわらず、ほとんどの創作者の利害に否定的な形で影響を与えることはない。そのような関係性は過去に証明されえなかった。事実、自由な利用可能性を生かして意識的に利用し、既成の市場構造への創作者の依存を減らすことができる、多数の革新的ビジネスモデルがある。それゆえに、非商業的目的の複製、アクセスの提供、保存、利用が単に合法化されるだけでなく、人々の情報、知識、文化の、社会全体の利用可能性の向上ために積極的に推進されなければならないということを私たちは要求する。なぜなら、このことは私たちの社会の、社会的、技術的、経済的発展のための不可欠な前提条件だからである。
3.3 文化の促進
特に文化的多様性に関して、創作物を促進することが私たちの責任であると私たちは認識している。私たちが要求する変化の肯定的影響は十全な範囲で利用可能でなければならない。可能ならば、潜在的な、しかし予期されていない否定的な副作用は減らされなければならない。
3.4 創作者と大衆の利害の調停
私たちは、製作物に対する創作者の個人的権利を十全な範囲で認める。今日の利用権の取り扱いは、しかしながら、創作者の正当な経済的利益と、知識や文化にアクセスするという公益の間の公平なバランスを作り出すのに適切ではない。創作物の背後のプロセスは普通、知的創造物の公共の資源から大いに得られる。創作物のパブリックドメインへの再導入は、ゆえに、正当化されるだけでなく、人間の創造性の持続可能性を保障するのに不可欠である。
それゆえに、創作物をパブリックドメインへ再導入するための公正な枠組みが作られなければならない。これは特に、著作権保護期間の抜本的縮小、TRIPs協定に明記された期間よりもはるかに短く、を意味する。