第五話 聖なる戦い《ヒエロス・ポレモス》
用語とかが出ますが、わからなくても全然大丈夫です!
「貴方には私と共にこの世界を、この世界線を救ってほしいのです」
この言葉に俺は理解が出来なかった。
―――Deus ex machina『機械仕掛けの神』
この言葉もまだ理解できていないのに。
「すまないがもう少し詳しく教えてくれないか?まだ理解が追いつかないんだが……」
俺は頭を抱えながら聞くとテラは話し始めた。
「この世界は一度救われた世界"だった"」
テラは机に置いてあった写真立てを持ちどこか遠い目をしていた。
そしてそれをゆっくりと置いた後、テラの執務机にある黒い椅子に腰をかけて語り始めた。
「伝説の話としてこの国で語られているのだけれど、ある男がこの世界に降り立ったの」
「まだ銃も戦車も大砲も何もかもなかった、剣と弓で戦っていた時代」
「その男はノルディア帝国っていう国で神様と出会った。その神様はこの世界で起きている聖戦、つまり神様と神様の間で起きていた争いを止めるために呼んだの」
俺はまだ理解していなかった。いや理解が出来なかった。
なぜテラは急にこの話を始めたのか。
「その男は帝国軍の一つの師団を率いて戦うことになった」
「師団名は第七師団」
俺はまさかと思った。
師団とは軍隊で使われる単位だが、率いる人数は6千人から1万人に遡る。
そんな大きな物を見知らぬ一人の男に率いることはあり得ないことなのだ。
「なぁテラ、話を遮るのは悪いと思うがいくら伝説の話でもそれはありえないんじゃないか?」
俺は突っ込みを入れるとテラはクスッと笑って答えた。
「そうよ?これは伝説の話。だからあり得ないこともあり得るの」
妙に納得してしまった。
「それで、その第七師団は目まぐるしい戦果を上げていった」
テラは指を折りながら話した。
「グラント村解放戦、ノルディア最終戦争、そして……」
テラは少し躊躇いながらもゆっくりとどこか重苦しく話した。
「―――聖なる戦い」
重苦しく空気、テラの表情。
俺は緊張で固唾を飲んだ。
「彼らはよく戦った。それはもう神様も自ら戦うほどに」
「……だけどその栄光はすぐに無くなっていったの」
「彼らの師団長だったその男は聖なる戦いの最中に亡くなってしまったの」
「亡くなった?師団長なのにか……?」
「……彼は前線に出たがるおかしな師団長だったの」
テラは続けて説明した。
「彼は敵側、つまり異教徒の神様に託したの」
「【この狂った世界を救えるのは君しかいない】って」
「その神様は元々信仰されていた神だった。だから実体を持てていた。でもその信仰の力が無くなっていってもう消えかけていたの」
「でもその男はバカだった。俺はもうやり直しが出来ない、でもお前ならできる」
テラの表情はだんだんと暗くなっていった。
「そして男は言ったの。俺が生贄になり、お前を永遠に生かせてやる、だからこの世界を……生きている人々が平和に暮らせる世界を作ってくれって」
「そして男の最後は呆気なかった。自分のこめかみにその男が愛用していた武器で貫いた」
俺は何も言えなかった。
「神様はいっぱい泣きました。ようやく分かってくれる人と出会えたから。でもそれはすぐに絶望へとか変わった」
「そして彼が消えた後の第七師団、いやノルディア帝国はすぐに衰退していったわ」
「今まで力で押さえつけていたものが反発するように出てきたり、他国に侵攻されるようになったり……」
テラの表情はどこか、なにかを見つめているような。
誰かを探しているのか、そんな目をしていた。
「そしてその国独自の技術が他国に渡ったりした。でも逆に失ってしまった技術もいっぱいあったわ」
「……最終的にこの世界が生まれていったけどね」
テラは話終えると黒い椅子に腰掛けた。
そしてポツリ、雫が落ちていく小さな音のように。
しかし聞き取りやすく、耳に自然に入っていくかのようにテラは言った。
「―――そして最後は私が取り残されましたとさ」
取り残された?でもこの話はテラ自身が伝説の話と最初に言っていたはず。
しかし実際にあったかのように、その身で経験したかのように。
「テラ……もしかして君はその神様なのか?」
俺は優しく聞くとテラは震えた声で答えた。
「どうだろうね?」
テラの目は赤くなっていた。
今までの話を聞いていて、初めての言葉ばかりで何もかもわからなかった。
理解しようとも理解出来なかった。
ただこれだけは分かった。
――テラは俺を呼んだ本人だと
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