カフェキュウビの日常4話
新しい話に入りました。
今回は光太の幼馴染の海がメインです。
光太はポケットの中でスマホが震えていることに気づいた。
取り出してみると、スマホの画面にメッセージ通知が表示されている。
アプリを開くと、短い一文だけが送られていた。
「チケット、ポストにいれておいた」
送り主は海だ。
絵文字ひとつない、ぶっきらぼうな文面。
けれど、その素っ気なさがかえって海らしい。
ふと、何かの視線を感じて顔を上げる。
キヌが、じっとこちらを見ていた。
光太は黙ってスマホを伏せたが、
その視線に耐えきれず、しぶしぶ口を開く。
「……海からだよ。佐藤海。この前、店に来てた子」
「べっつにー、何も聞いてないけど?」
ぷいっと視線をそらすキヌ。
だったらそんな目で見てくるなよ――
光太は心の中でそう呟いたが、もちろん口には出さない。
キヌの性格からして、ここで余計なことを言えば、
めんどくさいことになるのは火を見るより明らかだった。
むしろ炎上確定案件。
その日、キヌは一日中不機嫌だった。
普段なら明るく動き回るのに、この日はカップを拭く手つきも荒い。
口数も少なく、皿を重ねる音がいつもより大きく響いている。
「おい、キヌ、皿割るぞ」
光太が注意すると、キヌはぷいと顔をそむけた。
「別に割ってないし」
――なんだよそれ。
空気が少しぴりつく。
椿はそんな二人を見ながら、口元に煙管をくわえ、くすりと笑った。
「若いのう」
それ以上は何も言わず、ただ面白そうに眺めているだけだった。
昼過ぎ、権助が店に顔を出した。
「よう、今日も元気そうだな」
いつもの調子でカウンターに腰を下ろすと、
すぐにキヌがガチャンとカップを置いた。テーブルに置いた権助の手に熱々のコーヒーが跳ねる。
「熱っ!何だよ!」
頼んでもないコーヒーがでてくる。
「コーヒーですけど?」
キヌはにっこり笑っているが、目はまったく笑っていない。
「おい姉さん、なんか今日のキヌ、トゲトゲしてねぇか?」
「ふふ、さあな」
椿は愉快そうに煙を吐きながら言った。
「なんだよそりゃ……」
権助は首を傾げ、意味もわからぬままコーヒーを啜った。
そんな空気の中、光太はただ黙々と仕事をこなすしかなかった。
気づけば、ようやく閉店時間。
店を出るころには、外はすっかり夜になっていた。
そそくさと家に帰り、ポストを開けると、
白い封筒が一通――中には二枚のチケットが入っていた。
海からのメッセージどおりだ。
光太はそれを手にし、静かにため息をついた。このチケットが恨めしい。
とっさに握りつぶそうとしたがやめた。チケットにあたっても仕方がない。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
セリフ考えるのが大変で漫画家さんはすごいなっておもいます。
心に残るようなセリフ書けるようになりたいです。




