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勇者(68)  作者: 次元尖端
3/5

魔界編 プロローグ 目覚め

「…此処はどこ…?」

 目を覚ますと見知らぬ場所。

状況が飲み込めない。

「まるで牢屋みたい…。」

 石造りの床と壁。

テーブルの上には食事が置いてあるがあまりにも質素だ。

「誰かおられませんのー!!」

 大きな声を出してみる。

こんなはしたない行為は初めてだと顔を赤らめていると…ガチャリ

「…!!目を覚まされたのですね!急いで王様に伝えて参ります!」

 褐色のメイドが様子を伺うや否や走り去ってしまった。

鍵も開けっぱなしで。

「あの子…ツノと羽、それに尻尾も生えていた様に見えたけど…気のせいかしら…。」

 ありえない光景、ありえない状況に動転している。或いは動転しているからありえない光景を見たと錯覚しているのか。

ともかく王様に伝えに行くという言葉はハッキリと聞こえた。

王様といえば父である。

そのメイドに着いて行く事にした。


 玉座の魔

「…られたんです!お姫様が目覚め…」

「あのぅ…。」

「!?」

 メイドはひどく驚いた。

「ひ、姫様!?わ、私とした事が、錠に鍵をかけ忘れてしまいました…!!国王様、申し訳…」

「よい。目覚めたか、姫よ。」

 その玉座に座っていたのは父シルムンドではなかった。

この世のモノとは思えない異形の存在。

いや、そうでもない。

白髪、褐色、ツノ、それ以外は自分達と同じ人の姿だ。

「貴方は…誰??」

 玉座に座る男はゆっくりと語る。

「私は姫の住まう国、アラセボルドの隣国であるモッドモダンを治める国王、ヨルである。」

 モッドモダンと言う言葉は歴史の勉強で聞いた事がある。

確か魔物の住まう魔界だ。

「…と言う事は貴方は…。」

「そうだ、私が人類を脅かした魔王モッドモダンの息子にして現魔王だ。」

 悲鳴を上げる姫。

たちまち気を失ってしまう。

「…部屋へ連れていってくれ。くれぐれも、丁重にな…。」


 姫の部屋

「う…ううん…。」

「…!!姫様!先程は驚かしてしまいましてすみません!」

 目が覚めたらそこにはあのメイドがいた。

「これは夢かしら?」

 メイドはバツが悪そうに顔をかく。

「い、いやぁ〜現実です、あはは。」

 姫は涙を一粒流した。

「そう…。私は貴女達魔族に拐われてしまったのね。そして…殺されるのね。」

 自身の未来を理解し、神に祈りを捧げる。

「違います!!姫様はお客様です!!殺したりなど絶対に致しませんよ!!」

 どういう事だろう。

姫は理解出来なかった。

「私達、魔族がしたいのは外交です。確かに拐ってしまったカタチにはなりますが…。姫様は大切なお客様なのです!」

「が…外交?」

 更に分からなくなる。

「なら何故この様な独房に閉じ込めるのですか!!」

 そう言われるとメイドは俯きながら答えた。

「い、いえ…独房ではございません…。此処がこの城の最も広く清潔な部屋、客間でございます…。」

「客間…?嘘よ!なら何故外から錠が掛けられるの?」

「それは!帰られたら困るからですよ!!ですから、出来る限りのもてなしは致します!ご要望があれば全て私目にお伝え下さい!!」

 姫は依然混乱しているが、このメイドがたちまち自身を脅かす存在ではないと判断した。

そこで一つ要望を伝えてみる事にした。

「…なら、私にこの城の案内をして下さる?それが出来れば信じられますわ。」

 さぁどうだと目を見つめる。

すると余りにもあっさりと答えた。

「はい!喜んで!」

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