第81話 保護犬
お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)
今回は純也の目線でやらせてもらいますので、どうぞ〜!
〜純也Side〜
時間は遡り、龍太郎と別れた俺は真っ直ぐに帰路についていた。
さすがに今日の龍太郎は、見てられなかったからな。
佳鈴ちゃんの事になると、目を血走らせて暴れるから、アイツを抑えるのにも苦労するけど、さすがに働き過ぎだ。
何であそこまでやるのかは知らねぇけど、家族を心配させたらダメだろ。
って言っても、ここ最近の街の様子は確かに異常だ。
俺は龍太郎ほど、敏感に妖魔の気配を感じ取れるわけじゃないけど、それでも明らかに妖魔が増えてる。
妖魔が増えると、それに呼応して人の生活の治安が悪くなる。
つまり、人が「安楽な悪」に陥りやすくなる。
陥り、逆禍魂に染まってしまえば、フレネに狙われて殺される。これを防ぐ意味でも、妖魔を駆除しないと安心して遊べない。
何よりも、子供達が危険にさらされる。
高校を卒業したら、俺は"筧の家"を出なきゃならない。
まぁ出てもこの街に居るつもりだけど、それでも面倒を見てきたアイツらには、安全に過ごしてほしい。血は繋がらなくても、アイツらのお兄ちゃんだからな。
金も結構貯まってるし、お世話になった筧さん夫婦には、この金で旅行でもプレゼントしたいしな。
「……ん?」
ちょっとこの先の未来に期待を持ちつつ、帰り道に知ってるシルエットが目に入った。
早足で俺のもとにやって来る。
「なんだよ、迎えに来てくれたのか?」
寄ってきたのは、俺の大切な相棒の秋田犬オルカ。
「迎えに来たよ」って顔で、俺に頭を撫でられるとニヘ〜っとした顔になる。
いつもだったら、玄関前でジッとして待っててくれるけど、たまにコイツは自己判断で動いてたりする。普通、大型犬が街を徘徊してたら、警察を呼ばれたりするんだけど、オルカの奴は街の人達に愛嬌を振りまいて、今では街の人達に顔を覚えれていた。
特にお昼に一匹で散歩するのは有名だ。
特に教えてもないのに、自分で排泄したもんも自分で片付ける。まぁ片付けるっつても、河川敷にまでわざわざ来て、あまり人の来ない所に穴掘ってそこに全部埋めるんだけど。
「じゃ、一緒に帰るか」
「ハッハッハッハッハッハッハ」
俺の隣をゆっくり並んで歩くオルカ。
俺の眷属になる前から賢いと思ってたけど、ホントに賢いよなぁ。言葉も何言ってるか分かってる様子だし、絶対に前世は人間だろ?
賢いし優しいし、人間なら絶対に良い男になってんだろなぁ。オルカから学んだ事もあるし。
っと、少しそんな事を思っていた、その時だった。
「!スンスン」
オルカの鼻が、何かに気付いた。
人間には分からない臭いを嗅ぎ取る犬は、人間の10万倍から1.000万倍の嗅覚を持つ。
もともと熊の狩猟犬として活躍してた秋田犬だから、オルカは色んな気配を敏感に察知する。
で、結構色んなもんを拾って来てビックリさせる。
オルカは地面をクンクン嗅いで、少しするとゴミ置き場の前で止まった。
「オルカ、なんかあんのか?」
「スンスン」
臭いを嗅ぎ続けて、オルカは置かれているゴミの中に頭を突っ込んで、ゴミの中に身体を入れ込んでいく。
帰ったら風呂だな。
少しすると、ゴミの中から何かを咥えてオルカが戻って来て、ソレを俺に差し出した。
何かが入った黒いビニール袋だ。
………少し嫌な予感がしたけど、俺は縛ってあるビニール袋の口を開いて中を覗き見る。
中には………
「っ!?」
オイオイオイオイ、ウソだろ?
産まれたばかりの、へその緒がついたままの、顔がシワクチャな犬の赤ちゃんが捨てられてた!!
手に取って救い上げるけど、犬の赤ちゃんは微動だにしない。おそらくは死産だったんだろうが、事もあろうに飼い主は、供養とかもせずに、まるで生ゴミを棄てるようにして放棄したのかよ!?
さすがにちょっと怒りを覚える……。
けど、オルカはそんな俺に対して鼻で突いてきて現実に引き戻す。
そうだ、今は……!
幸い身体はまだ温かかった。けど、産まれてどのくらいの時間が過ぎていたのか見当が付かない。けど、とりあえず俺は犬の赤ちゃんに心臓マッサージをする事にした。
小さな胸に指を当てて、優しくリズミカルに押す。人間の赤ちゃんよりずっと小さいから、力加減が難しいけど……止まらないように、止まらないように
。
額に汗が垂れる。
オルカが心配そうな顔をして見てくる。
そして………
「キュウン!キュウン!」
細く高い鳴き声が、俺の手の中で響き渡った!
良かった!
俺もオルカも一安心したけど、このままじゃ不味い!
俺は急いで行き付けの動物病院に走って行った。
==================================
「まったく、君達は毎回よく見つけてくるよホントに…」
「いや〜、スンマセン」
既に閉まってた動物病院の先生を、チャイムを連打して緊急で診てもらった。
拾って来た赤ちゃん犬を、先生は適切に処置していく。へその緒を切って傷口を縛り、粉ミルクをスポイトでゆっくりと、喉に詰まらせないように飲ませていって、診断結果を俺に教えてくれた。
体重が390グラムという事で、おそらく中型犬の赤ちゃんだろうという事と、性別はオスだという事だけは分かった。
さすがに成長してからでないと、まだ何の犬種なのか分からないと言うことを伝えられると、俺は診察代と犬用の粉ミルクを病院から買って、赤ちゃん犬を抱いて筧の家に帰宅。
子供達は、産まれて数時間の赤ちゃん犬に興味津々だったが、年長組と経験のある年少組が協力して、ケージと小さな毛布を持ってきて、筧さん達職員も手伝いをしてくれた。
ケージが組み上がり、夏休みで子供達も体力があり余ってるから、赤ちゃん犬の状態に即座に反応出来る。
悪ぃけど、今日は任せたぞ……風呂入って寝る(-_-)zzz
夏休みの子供の体力は凄まじい。
ここ最近つくづくそう思います。




