第74話 遠からずの縁
新年、明けましておめでとうございます!
本年も、人外討魔伝記をご愛読頂きましてありがとうございます∠(`・ω・´)
それでは、新章スタートです!
佳鈴目線でどうぞ!
カタカタ、カタカタカタ
キーボードを叩く音が、静寂な書斎の中で響き渡る。
立派な髭を整えたその人は、片手にコーヒーを一口飲んで、メガネを外して眉間を押さえて、彼、高山 鉄雄さんはため息をついた。
ピロン
メールの着信音が響いた。
宛名は不明
彼はそのメール開いた。
"報告書"
現時点での諜報員は全員死亡。
遺体は識別不能な程に損壊されており、回収不可。
引き続き慎重に調査致します。
書かれていた内容に、高山氏はマウスを握る力が強くなる。
大切な部下をまた殺してしまった事に、心を痛めた。
「いくら何でも、反応が早すぎる……」
だが、この調査は何としても調べなければならなかった。
過去、この調査を行なった人間は軒並み殺された。
だがこれ以上、日本を食い物にされる訳にはいかない。
かつて、統合幕僚長(自衛隊の最高位者)まで務め上げ、『髭の隊長』の異名で国会議員にまで登りつめた高山氏。
「先生、そろそろ移動の時間です」
「………わかった、直ぐ行く」
メールを削除してPCの電源を落とし、コンセントを抜いてから必要な原稿と資料を鞄に積めて、襟元に小さな日本国旗と旭日旗のピンを着けて、秘書の運転で国会議事堂に向かう。
彼の背中は、まさに戦場に向かう戦士の背中だった。
高山氏と私が出会うのは、まだまだ先の話。
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麒麟
中国神話に登場する伝説上の神聖な瑞獣。吉兆を表す動物。
鹿のような体に龍の頭、牛の尾、馬の蹄、一本の角を持ち、五色の毛で覆われた姿とされて、仁徳のある王が現れ、平和な世になると出現すると信じられ、鳳凰・亀・龍とともに「四霊」の一つに数えられる神獣。
優しく、虫を踏まず、枯れ草だけを食べる「仁獣」とも呼ばれる。
スマホで検索をかけて出てきたのは、こんな文章だった。
仁徳ある王って……私そんな立派なもんじゃないと思うけど………。
それに他にも、雷を操る力があるとか書いてあったけど、ホントかなぁ?
ゲームやマンガとかの創作物でも、よく雷を操る描写がされてるけど………。
「…………」
私は自分の両手をグッパグッパして、人差し指と親指に力を入れてみる。
イメージは、指と指の間に電気を走らせる。
科学実験の番組でやってるような、静電気でのバチッとした感じもプラスしてみる。
「………………ハァ」
やっぱり出ない。
私の膝の上で寝てるグラピーが、あくびをしてフミフミしてる。
麒麟が雷を操るイメージって、どこから来てるんだろ?
私はスマホを机の上に置いて、着けている猫のピアスに触れて天井を見上げた。
「…………………」
莉桜ちゃんのお墓に手を合わせて数日。
龍太郎に、何で私の心臓が麒麟の心臓なのかを、正面切って聞いてみたんだけど、龍太郎は口を噤んだ。
でも、話そうとはしてたけど、龍太郎は周りを見て、何かに警戒していた。
そして口を開いたと思ったら……
「話す場所を用意するから、しばらく待ってくれ」
って言って、高校の夏休みに突入してから龍太郎は、朝早くに出て行って、夜遅くに帰ってくる様になってしまった……。それも毎回ヘトヘトになってまで………。
いったい何をしてるのよ……?
今日でそんな事を始めて1週間経って、私はどうしようか考えていた。
夏休みの課題はある程度済ませて…………ごめんなさい、数学だけがテンデ進んでません。
国語や歴史総合とかは結構進んだけど、家庭科で調理に挑もうとしたら龍太郎に全力で止められるから、それ以外は大丈夫。
あとは情報のデータ分析のレポートと、読書感想文、それから英単語の問題集とかだけど………。
厚さ1cmはある問題集が…………やりたくない。
「神獣の心臓だって言うなら、この問題集の答えとかフッと降りてこないかなぁ?」
つい独り言が出てしまう。
「降りてくる訳ないでしょ」
ビクっ!!
心臓が跳ね上がった!
振り向くと、朱里さんが少し呆れた顔をして私を見てた………。
「あ、えと……お帰りなさい」
「ただいま、佳鈴ちゃん」
うわ〜……なんか恥ずい///
「前に言ったけど、麒麟の心臓を持ってるからと言って、アナタに何か特別な力があるわけじゃないのよ」
「…はい///」
「まぁ、身近に龍太郎や純也くんにセツって存在がいるから、そう思っちゃうのも仕方ないと言えば仕方ないけど…」
言わないでよ………。
でも、あの力であんな戦いをするなんて、私にはそんな覚悟なんか無い。
龍太郎はお腹に穴が空いても戦う。セツさんは開放骨折した状態で戦うし、どんな精神性したらあんな動けるんだろう?
というか、いったいどんな経験をすれば、あんな精神性になってしまうんだろう……。
ちょっと怖いけど、あとで朱里さんに聞いてみようかな?
ガチャッ
玄関の扉が開く音がした。
あ、この音は
「よう、ヒマか?」
刑事ドラマで聞いたことある台詞と共に、セツさんが私の部屋の扉を開けて入って来た。
「あら、来たのね?」
「こんにちは、セツさん」
「おう」
いつもみたいに勝手に入って来て、私の膝の上でくつろいでいたグラピーの頭を撫でた。グラピーはまんざらでもなさそうな感じで、喉をゴロゴロ鳴らした。
「セツさん、もう足は大丈夫なんですか?」
「ん?ああ、突っ張る感じも無いから、大丈夫だろ」
開放骨折してたから、あの時はゾッとしたけど、なんともない様子で良かった…。
開放骨折したまま戦い始めた時は血の気が引いたけど。
「それでもまだ激しく動いたらダメよ?」
「分かってるよ、でないと楽しく過ごせねぇからな」
また2人で、VTubee の撮影でもするのかな?
とりあえず2人とも、危ないことはしないでよね?




