表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第三章 穢れた胎の叫び
70/85

第69話 剣術

お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)


それでは、ここは龍太郎視点で書いていきます!

~龍太郎りょうたろうSide~


ポル・ポトによって生み出された犠牲者達が涙を流して、なげきと悲鳴を上げながら俺達に大挙として押し寄せてくる!


何もしなければコッチがやられてしまうが、どいつもこいつも心情的に斬りにくい。


農具で殺されてるせいか、亡者達の身体に死因となった致命傷がハッキリ分かる。こんな事で、また同じような死に方をさせなければいけないと思うとキツい。

そして亡者達を斬る度に、コイツ等の思念が頭の中に入ってくる。




なんでこんな事に……。


          たすけてパパ……

    俺が何をしたってんだ!?



                 どうして……



 もうこんな事したくない!!


       痛いーー!!熱いーーー!!!




ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい



             もうやめてくれーーーーーーー!!!


            



                ウボエェェェェ…



もう許して……神様ぁ…………





拷問を受けた者、その拷問を行なった者。



そして殺戮の森(キリング・フィールド)で死んでいった者や、殺した者達の懺悔ざんげ嗚咽おえつ



その思念が、ポル・ポトの歌っている革命歌によって、より思念の強さが増幅されて、俺は心が疲弊していく。


何食って何考えれば、こんなむごいことが出来るんだよ…。



校庭のど真ん中に『殺戮の森(キリング・フィールド)』の木を生やして、その中の1本の木にポル・ポトはみずからツタで縛られて、その状態から次々と犠牲者や部下の亡者達を生み出し続けている。


殺戮の森(キリング・フィールド)って比喩表現ひゆひょうげんじゃなかったのかよ!?


そう呼ばれたのは、旧日本軍がフィリピン戦線……特にルソン島で1944年末~1945年にかけて行った、民間人・捕虜に対する組織的・無差別的大量殺害を、戦後GHQが付けた呼称こしょうだった。


授業で習った時は「太平洋戦争末期の日本軍による民間人殺害」として、注釈ちゅうしゃくレベルで触れる程度だった。


その後予習復習で検索かけて、たまたまポル・ポトの事も見た程度だったのを今思い出したけど、まさかここまで酷いもんだったとは想像もつかなかった。


ホントに……妖魔が絡むとロクな事にならねぇ。

とはいえ、このままだとジリ貧だ。


幸い生み出される亡者達はそれ程強く無いが、やはり数が問題だ。俺達が亡者達を倒していっても、ポル・ポトから生み出される亡者達の方が速い。

本丸のポル・ポトを叩くには、この生み出され続けてる亡者達をかい潜るしかない。


俺と純也じゅんやは互いに目配せをする。

純也じゅんやの顔が笑い、俺に笑顔を向けてくる。


「なんだよ?」

「いや、いつもならお前の動きに合わせるのに、こうやって頼ってくれるのは嬉しいもんだな」

「本当なら俺一人でもやれなくはない」

「そうだなw でも、頼ってくれることが嬉しいんだよ。オマエ普段から抱え込み過ぎてるしな」


………ホントに、コイツはよく見てるよ。


かけいの家で子供達の年長者だからなのか、それとも地頭じあたまの良さからなのか知らねぇが、コイツの観察眼は本当にバカに出来ない。分かってても聞いてこない事も、俺にとってはありがたいことだが、今は頼らせてもらうぞ。


俺は抜いていた刀を鞘に収めて、片手をつかに軽く添える。


「お、()()でいくのか?」

「奴を斬れば、それで終わるはずだからな」


俺は人外滅討術じんがいめっとうじゅつを扱う際に、いくつかの剣術を子供の頃に叩き込まれた。


子供相手に木刀でどれだけ殴られて技を叩き込まれたことか………だが、そのお陰で動きは身に染み付いた。


俺と純也じゅんやは互い反対方向へと駆け出す!


俺はポル・ポトの方へ、純也じゅんやは俺の後ろから襲おうとする亡者達の方へ。


「近寄らせねぇぜ!!」


(アルカード)を振るって、亡者達を弾き飛ばす。

が、やはり数が多い。

弾き飛ばされた亡者達を踏みつけて、新たな亡者達が俺の方へと駆け出すが、純也じゅんやのアホみたいなスピードの乗った(アルカード)の打撃が、亡者達を次々と吹っ飛ばしていく。


そしてある程度敵を減らすと、今度は敵陣の中に突撃して行き、敵だらけの中で急停止。


(アルカード)を地面すれすれに超高速で連続水平回転させ、攻撃範囲内の全ての敵の足首・脛・膝の肉を同時にえぐった!!




串刺の車輪(ツェペシュ・ロアタ)!!」




下半身をやられた亡者達は泣き叫びながら、なお純也じゅんやに襲い掛かろうとするが、腕の力だけで純也じゅんや相手に追い付くことが出来ずに、しかし倒された訳じゃないからポル・ポトからまた生み出されることも無い。


ただ、生前に受けたような痛みに再び晒されて、亡者達は純也じゅんやに怨みのこもった視線を向けた。


「悪ぃな、コレはオマエ達を救う為の仕方ないことなんだよ……」


亡者達(コイツ等)を救うにも、救われたい思いで動いている亡者達(コイツ等)に邪魔されるわけにはいかない。

亡者にはそこまで考える余裕もないからな。



後ろで純也じゅんやが足止めしている間、俺は前を見据(みす)えて走る。


ポル・ポトから生み出された亡者達が、農具を手に取って襲い掛かってくる。

四方八方を囲んで農具を振るってくるが、俺は亡者達達の攻撃を一つ一つ引き付けて、見切り、かわしていく。


腰少し落として亡者達の攻撃が頭をかすめると同時に、亡者の影の方向にスライドして走り抜け、次の亡者がクワを振るってくる。

同じ様に引き付けて見切り、ひざを大きく曲げて腰を地面スレスレにまで低くして地を蹴り、亡者の真横をすり抜ける。


剣術を習得するには、まず最初に叩き込まれるのが歩法。人が築き上げた剣術には独自の歩法がある。


この剣術は、人相手ならたった30Cmズレるだけで見失わせ、気付けば背後に回られて命脈を絶たれるもの。



立身流たつみりゅう



創設者の立身(たつみ) 三京(さんきょう)によって作られ、送り足や継ぎ足、抜き足を多用して編み出され、人間の体の構造と運動の法則を極限まで突き詰めた理詰めの武術。

人間でこの武術を極めた者は指で数える程度しかいないが、鬼の俺なら人間以上の真価しんか発揮はっきする。


だが、俺はまだまだ未熟。


せめてあの()()()()()()に切り傷の一つでも着けれねぇと、おそらくあのクソ野郎(ナナシ)とは渡り合えない。


こんな奴に苦戦してるようじゃダメなんだが……邪魔だ!!



人外滅討術じんがいめっとうじゅつ



大多数で迫りくる亡者達の一番先頭を走ってくるや奴に狙いを定めて、立ち止まる。

相手が踏み込んでくるのと同時に、膝をわずかに曲げる。その微沈びしずみの反動だけで、右腰を後ろに引いて刀を抜く。

抜いた刀は刃を真下に向けたまま、地面スレスレの位置を完全に水平に、音もなく真横に滑らせる。


軌道は相手の両足アキレス腱の丁度を通る。


相手は「何か冷たいものが足をかすめた」と思って次のを踏み出そうとする。


ズルっ


両アキレス腱が同時に切断され、膝から前のめりに崩れ落ちる。


抜刀音すらほぼしない。納刀音すらも無い。

相手は自分が斬られたことに1〜2秒気付かなかった。

純也じゅんやほどのスピードは無いが、俺の持てる最高速度で斬り抜く!!




居合いあいとし」




そして次に紅い眼を向けて




つなぎ」




次々と亡者達のアキレス腱を斬っていく。


亡者達は次々にバランスを崩して倒れていき、俺は亡者の防衛線を突破!

ついにポル・ポトに接近した!!


黄泉よみかえ外道げどう!!」


過去にあるまじき所業をして、罪も償わず死んで、黄泉よみがえりされたとはいえ殺していった人間まで巻き込んで………俺はコイツを、ポル・ポトを妖魔だと認識を改めて刀を振るおうとする。


だが、



「っ!!?」



もう数メートル、懐に入れば斬れる距離だった。


けど、奴が自ら縛られにいった木を間近で見て、俺は足を止めてしまった。



(コレは………!!)



生えてきた木。


それは、パルミラヤシと呼ばれるカンボジアを代表する木だった。


カンボジアの国章にも描かれていて、田舎の風景といえば、というほどに身近な木。

葉は家の屋根材、幹は建築材、果実や樹液は砂糖やヤシ酒の原料として生活に欠かせないもの。


カンボジア人が「我々の木」と言えば99%これを指すだろう。


そんな木の皮が人の顔で形成されていた。枝は細かく枝分かれした黒く変色した人骨で形成され、葉は緑色の人肉で血液を巡らせて普通の樹木に偽装していた。



そして納得がいった。

ポル・ポトがどうして自らをこの木に縛り上げたのかを。


クメール・ルージュ時代、奴は多くの犠牲者をパルミラヤシの木に吊るして殺して、その血を吸わせて、肉や骨を肥やしにした。


ポル・ポトの死後、政権崩壊から数十年経った現在、殺戮の森(キリング・フィールド)の木々は伐採されることなく、むしろ歴史を記憶するためのモニュメントとして、また平和を願う象徴しょうちょうとしてその姿をとどめているが、この木はポル・ポトが殺した犠牲者達の呪詛じゅそ莫大ぼうだいな程に込められている。


ポル・ポトと因縁深いこの木は、奴の体を介して亡者を生み出し続けていることから、ポル・ポトは死後、この木の呪詛によって魂を縛られていると考えられる。


つまりこの木自体も、ポル・ポトの本体だったんだ!!



「っ!!!」



足を止めたのはマズかった。


殺戮の木(キリング・ツリー)の枝葉がしなり、直接俺に攻撃を始めて来た!!


抜刀術で一気に枝葉えだはを斬り払って、直ぐ様後退しようとしたが、左肩に痛みが走った。


(な、カマ!?)


少し大きめの草刈り鎌が深々と刺さって、刃が貫通していた!


鎌を引き抜いて目を向けると、俺が斬った枝葉えだはの断面から血塗ちまみれの農具が生えてきて、無事な枝葉えだははポル・ポトの身体から農具を引き抜き、ポル・ポトは依然いぜんとして革命歌を歌い続けて、犠牲者達が一同に声を上げて泣いて俺に殺意を放ってくる。


ポル・ポトの被っていた麦わら帽子が振り上げた枝葉えだはに引っ掛かって、グラウンドに舞い落ちる。ポル・ポトを縛り付けている枝葉えだはがさらに強く締め付けられて、奴の首の骨が折れて、さらに180度反転して、樹皮に直接革命歌を至近距離で歌わせた。



「!!」



そして、奴の後頭部から逆さ十字が刻まれていた!


アレが、ポル・ポトをここに顕現けんげんさせているフレネがほどこした呪いのみなもと!!


「アレを叩き斬れってことか……ん?」


俺の言葉が聴こえたようで、ポル・ポトの頭を枝葉えだはがペチペチ叩いて、『やれるものならやってみろ』といった感じで挑発してきた。


どうやら独裁者ってのは、人をコケにするのが好きらしいな?


「後悔するなよ?」


その挑発、あえて乗ってやるよ。


刀を鞘に収めたまま、俺はポル・ポトに紅く光る眼を向けて集中する。


「地獄に送り返してやるよ、キモジジィ!」


左手を刀に添えて、俺は再びポル・ポトに向かって走り出した。


人外滅討術は鬼が人に伝えた退魔法。

人外滅討術は武術ではないが、人が編み出した武術と一緒に扱うことで真価を発揮します∠(`・ω・´)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ