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人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第三章 穢れた胎の叫び
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第68話 自問

続きです∠(`・ω・´)


私達を追い詰めて、龍太郎りょうたろうやセツさんとも因縁いんねんのあるホスト風の男、ナナシ。


「暴走ってなによ! ちょっと佳鈴かりんちゃん殺してみて龍太郎りょうたろうくんの反応を見てみたいなぁって思っただけじゃん!」

「いや普通に暴走してんじゃねぇかw」


お互いに知っている様子なのが見て取れるけど、ナナシがフレネの禍孕ノ(ニグラス・)破壊光線(シュトラール)を握り潰しただけじゃなく、フレネを子供扱いして一気に状況をひっくり返して、私達は更に緊張感が走った。


この場にいる誰よりもフザケたレベルで強く、埠頭を火の海にして全焼させた張本人。


「なんで今になってコイツが出てくるのよ……!」

「チッ」


セツさんも朱里しゅりさんも、状況を整理するのに頭がいっぱいで、何故なぜこのタイミングでナナシが現れたのか理解出来なかった。


鼓膜こまくから直接聞こえてくる赤ちゃんの泣き声は消えたけど、私もナナシの強さを目の当たりにしたことがあるから、自然と身体がその時の恐怖心を思い出してくる。


「それにオマエ、あの考えるのも気持ちあの悪い儀式して黒山羊さんの力を手にいてただろ?」

「アレ黒山羊さんじゃないんだけど、黒山羊さんってw で、それがなんなのよ?」

「自分の手を見てみな?」

「ん?……アレ?」


不満を漏らして文句を言っていたフレネに、自分の手を見てみろとうながされてシブシブ自分の手を見るフレネ。彼女の手はただれていて、さらには黒く変色していた。


邪神の禍逆魂まがさかたまをエネルギーにした禍孕ノ(ニグラス・)破壊光線(シュトラール)はたしかに強力だけど、今のフレネの身体じゃあ禍孕ノ(ニグラス・)破壊光線(シュトラール)を放つことは出来ても、その反動で身体を焼かれるリスクを持ち合わせていた。


「うへ〜、じゃあ撃ったらヤバかったってこと〜?」

「そうなんじゃね?w 知らんけどw」


無責任な相槌あいづちを打って、フレネの所だけさっきまでの緊張感が何処どこかへ行ったかのようなゆるい空気になっていた……。


私達の方は今だに危険だと、頭の中で警報が鳴り続けていてソレ所じゃないのに!



「って訳だ、今日はこの生意気なメスガキを迎えにきただけだから、安心していいぜ〜w」

「ちょっと、ダレがメスガキよ!?」



ナナシの言葉に、私達は目を丸くしてしまった……。


ウソがホントか分からないけど、今はまだあの時みたいな悪寒が走ることは無い。けど、ナナシの言葉を鵜呑うのみにすることは出来ない。


龍太郎りょうたろうも、セツさんも、朱里しゅりさんも、ナナシ1人に倒されてしまった時の事があたまぎる。

デコピン一つで倉庫を、物理法則を無視して吹っ飛ばした記憶も同時によみがえってきた……。


「それに、佳鈴かりんちゃんをここで死なせたら、龍太郎りょうたろうくんの成長も望めないしね」

「!?」


まばたききした一瞬でナナシが私の真後ろに立って、私の頭に手を置いて優しく撫で始めた………。


全身から……冷や汗が止まらない…………!!


「え〜? 佳鈴かりんちゃん殺しちゃダメなの〜?」

()()ダーメ♫」

「ちぇ〜」


不満そうな顔をして、フレネは頬を膨らませてながら小石を蹴る。


セツさんも朱里しゅりさんも微動だに出来なくて、私はなすがままにナナシに頭を撫で続けられた……。


前にはフレネ、後ろにはナナシ。

まるで前門の虎、後門の狼のような状況だった。



それに……()()って………。

逃げてる時にも考えていた、自分の心臓の事が頭を過ぎる。私が殺される理由って、心臓の事なの………?

ナナシという絶対的な力を持つ存在にこうして認識されている時点で、私はただの人間じゃない。


「…私……人間…なの?」

「?」


つい思っている事が口に出てしまった。


私のつぶやきに反応したナナシが、私の震える姿を見ながらフレネに視線を移す。交互に私とフレネを見て、ナナシが私のつぶやいた言葉の意味を理解して笑い出した。



「プ、ハハハハハハハハハハハハハ! なるほどね〜w おいフレンドエネミー、オマエ佳鈴かりんちゃんに心臓の事話しただろ?」

「!?」



朱里しゅりさんが眼を見開いて驚き、私の方に視線を向けた。

朱里しゅりさんは私の心臓の事を知っていた様子だった。


セツさんは何のことか分からず、フレネとナナシの両方に意識を向けながら、ナナシの言葉に聞き耳を立てる。


「ん〜?話したけどソレがなんなの?」

「オマエ中途半端に心臓の事話しただろ?

そのせいで佳鈴かりんちゃん、自分の事本当に人間なのか心配にはなってんぞw」

「え?……………アッハハハハハハハハw

佳鈴かりんちゃんが人外?w そんなわけないじゃ〜んw」


何が可笑しいのか、フレネはお腹を抱えて大爆笑しだす。


「ヒ、ヒ〜ヒッヒッヒッヒッw

だ、だってキンチョーの珍獣だっけ? あんなのありがたがるのアジアでも日本か中国くらいじゃい?w」

吉兆きっちょう神獣しんじゅうだよ、覚える気ねぇだろw

それにありがたがるのは日本と中国以外にもあるってのw」


……夫婦漫才でもしてるかのように、二人してフザケてケラケラ笑い続けるナナシとフレネ。


そして私の心臓……キッチョウの……神獣??


「聞いたことなさそうな顔をしてんなぁ?

まぁ今時高校生で知ってるやつなんてそんないねぇかw」


頭を撫でながら笑い続けて、ナナシの手が頭から首、背中へとゆっくりとフェザータッチで降りてくる……。



佳鈴かりんちゃん、キミは正真正銘の人間だよ。ただちょっと"特別"な人間なだけ」



前置きを言うと、ナナシの指先が今度は私のあごのラインを這い、わずかに力を込めて容赦なく真正面へと固定する。


そして、香水の匂いが私の鼻を刺激して、ナナシの低い声がささやいた。




「キミは、選ばれたんだよ。

泰平たいへいひじりたる"麒麟(キリン)"にね」




それだけ言うと、また私から手を離してフレネの所に音も無く戻る。


………なに?

タイヘイの……ヒジリ?


それに………キリン……?



動物園にいるあの首の長いキリンの事……?



目を丸くしている私の顔を見たナナシが、私が分かってないことを察知してケラケラ笑う。



「動物園にいるキリンじゃねぇよw

有名なビールに描かれてるあの馬かなんかよく分からんアレが麒麟キリンだよw」



そう言われて直ぐ様あのビールに描かれてるあの謎の生き物の姿が思い浮かぶ。


アレが………キリン?


全く分からないモノの名前に困惑していると、ナナシがさらに言葉を続けた。


麒麟キリンの事知りたかったら、そこで動けてない朱里(ちっこいの)龍太郎りょうたろうくんにでも後で聞いてみなw

んじゃ、オレ達コッチ側だから、また会おうぜ♪」

「ちょっと、ワシワシしないでよ! 髪型乱れるじゃない!」

「イイから帰るぞ〜w

それにその腕はアソコに行っとかないと治り遅いかもしれんしなw」

「えぇ〜? アソコ行かなきゃダメなの〜?

アソコってキショイから行きたくないんだけど?」

「ガマンしろよw

腕はイイんだからさ♪」

「ハァ、まぁしゃーなしか。

んじゃ、また遊ぼうねブレッドウィッチ〜!

佳鈴かりんちゃんも、次はちゃんと殺してあげるからね〜♫」


そう言うとナナシは、フレネの頭をワシワシ撫でながら私達に背を向けて歩いて行って、空間に切れ目を入れてその中に入って消えて行った。


これは……見逃された…の?


急な展開と私自身の知らない事実に置いてけぼりにされて、私は全然頭の中が整理出来ずに呆然となってしまっていた………。


「…………フゥ」


大型拳銃グリズリーを構えていたセツさんは緊張感から解放されて、アスファルトの上に寝そべる形でドサッと倒れ込んで、朱里しゅりさんはセツさんの頭の治療を始めた。


「無茶し過ぎよアンタ」

「………すまない」


脳出血が完全に治ってなかったとはいえ、照準を合わせられない中でセツさんはおとなしく治療術を受けた。


「…………」


………私は私で、自分の事が色々と分からなかった。

フレネが言っていたまれの心臓、これがキリンっていう神獣のものだと言うことまでは分かる。


けど、その神獣の心臓がなんで私にあるの?


いったい……私はなんなの?

本当に人間なのかもあやしく思える…………。


「……………」


セツさんの治療を終えて、朱里しゅりさんが私の肩に乗る。


佳鈴かりんちゃん………」

朱里しゅりさん……私の心臓、人と違うのを…知ってたんですか?」

「…………ええ、知ってたわ」

「…………………」


…………少しの間、沈黙がこの場を支配する。


「……佳鈴かりんちゃん、あとで必ず教えてあげるから、龍太郎の所に戻りましょう。そろそろ向こうも決着が着いてるはずだから」

「…………………はい」


色々考えてしまうけど、朱里しゅりさんの言う事も分かる。

ここはフレネの作った空間。


ここでもしアレコレ悩んで立ち往生したら、もしかしたらここに閉じ込められるかもしれない。


私は自分の気持ちを押し込めて、セツさんに肩を貸しながら龍太郎のいる学校に戻る事にした。


では、今回は以上です∠(`・ω・´)

ここから佳鈴かりんにとっての壮絶な体験になりますので、よろしくお願いします。


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