表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第三章 穢れた胎の叫び
68/85

第67話 魂喰い

お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)


ほな、続きです!

佳鈴目線でいきますよ!

「大丈夫、佳鈴かりんちゃん?」

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、うん、大丈夫……」


息を切らしながら、学校からなるべく遠くへ離れている私について来てくれた朱里しゅりさんに、私はなんとか返事をして後ろを振り返った。


なんか物凄い大きな声で誰がアカペラで歌ってるように聞こえるけど、その歌声の中に金属がつかり合う音が響いてくるし、あの大声に小さく混じって何か変なのも聞こえてくる………


龍太郎りょうたろうたち……大丈夫かな?)


それにあの農具の塊みたいな姿をした妖魔。


たしかポル・ポトって言ってたよね?

死んだ人間をあんな風にするなんて………。


莉桜りおちゃんの姿をした"妖魔フレネ"


彼女のせいで私はかなりのショックを受けていて、正直こうやって龍太郎(りょうたろう)達の邪魔にならないように逃げる事が辛かった。

かと言って、あの場にいても一般人の私が居ても、何も出来ないのは分かりきっていた………。


(でも……私は、本当に……人間なの……………?)


龍太郎りょうたろうに助けられる前に、フレネから言われた、私の心臓。


たしかまれの心臓とか言ってた……。


「……………」


心臓がイヤな鼓動をする。


勝手に暴走するようにして心臓がドクン……ドクッ……ドクドクッ!ってなって、今すぐ何とかしないとって思うのに、頭が『何を?』ってわかんなくなる……。


佳鈴かりんちゃん。不安な気持ちに駆られるのは分かるけど、今はここを切り抜ける事だけを考えてちょうだい」

「!……はい」


私の不安な表情に気が付いた朱里しゅりさんが声を掛けてきて、私はなんとかこの不安を胸に押し込めて走っていく。

多分、朱里しゅりさんに聞いたら答えてくれるかも知れないけど、私は自分の命を守るために走り続ける。



っと、街の方から大きな音が響き渡る。



たしか、ニュースでギネスに認定されてた…んだっけ?県庁舎が物凄い勢いで崩れていく。


………今この空間って、現実世界と繋がってたんだよね? 建物壊したら、その影響が現実世界でも同じになるって…………。


最悪な想像をしていると、今度は空から大きな爆発が何十発と起きて鼓膜こまくが割れそうになる!



そして更に大きな爆発が起こり、私は爆風に少し飛ばされて身体をアスファルトに打ち付けて、朱里しゅりさんも電柱に身体を打ち付けてしまった。身体が小さい分、衝撃も強くなって内臓にもダメージを負ってしまう。


それと同時だった。


私達の目の前に何が飛んできてアスファルトに打ち付けられた。

人の形をした……赤い悪魔みたいなのが落ちてきたと思ったら、身体から悪魔のような部分ががれるようになって……表れたのはセツさんだった!!




「え、セツさ……ッッッ!!!」




倒れたセツさんに近寄ろうとして、私は息を飲んだ。


彼女の身体…右足の骨が折れていて、折れた骨が足の筋肉を突き破って外に飛び出て…、開放骨折していた!!



「ちょっと、アンタなんてケガしてんのよ!?」

「なっ!? 佳鈴かりん!? それに朱里しゅりまで!?」



逃げてた先にセツさんが墜落した形になって、私達は驚いていた。開放骨折してて重傷を負って、朱里しゅりさんが治療に入ろうとしたけど、セツさんはそれを拒否した。


「コッチに来るな!! まだ……っ!!!」


何かに気付いたセツさんが背中を振り返る。



そこには、着ていたセーラー服はボロボロになっていながらも右腕を肩から失い、血塗ちまみれになりながら笑っていた………幼馴染みの顔をしたフレネがそこにいた。




「あ、佳鈴かりんちゃん発見〜!♡」




痛みを感じていないのか、笑顔を崩さずに左手を私に振りながら歩いて来るフレネ。

笑顔と流血で不気味さが増していて、私は自然と身体が震えてきて、セツさんが大型拳銃グリズリーを構えて、フレネは笑顔を崩さずにゆっくりと歩いてきて、その一歩一歩が進む度に恐怖心があおられる。


数歩近づき、ある距離になった瞬間、セツさんが折れていない左脚でアスファルトを蹴って一足飛びでフレネの眼前に立ち、左手に持ち替えたソードオフをフレネの腹部に零距離射撃!


フレネのお腹が爆散した……と思ったら、フレネの身体は消えていく!


「ザ〜コ♡」

「っ!?」


フレネの幻影が消えると、本物が幽霊のように現れてセツさんは背後を取られる。事前に渡された式神(御守り)の力で魔眼の力が通用するようにはなっていたけど、さっきのあの爆発のせいで実は式神(御守り)が破損していて、効力少し下がってしまっていた。


すかさず右手にソードオフを持ち替えて背面撃ち(バックショット)で対応しようとしたら、フレネが残った左手でソードオフに触れた瞬間腐食(ふしょく)し始めて、セツさんはソードオフを投げ捨てた。


腐食ふしょくは弾丸まで侵食して、中の火薬が反応して暴発してソードオフが爆発する!


そしてお互いが頭を突き出して頭突きが炸裂して、ゴツンっ!!とスゴイ音が響き渡って、2人は頭の皮膚が破れて額から血を流す。

反動でかえった2人は踏ん張ってもう一度頭突きを繰り出すと、同時に両者が頭に追撃を仕掛ける!


フレネは左手で呪詛じゅそを込めたパンチを、セツさんは左手に持ち替えた大型拳銃グリズリーの銃口でフレネの頭を殴ると同時に弾丸を撃ち込む!


フレネのパンチはコメカミに直撃して、セツさんの弾丸はフレネの脳幹のうかんを貫く!


セツさんは脳を揺らされながらも、歯を食いしばって折れた足に力を入れて鉄山靠てつざんこうを放ってフレネの接近を吹き飛ばそうとするが、フレネはセツさんの折れた足を蹴りつけた!!


痛みと衝撃で右足の力が抜けたセツさんが崩れ落ちると、フレネはセツさんの顔面に飛び膝蹴りクリーンヒットさせる!!


「セツさん!!」

「このーー!!」


朱里しゅりさんがいんむすんで霊符れいふを1枚取り出して「オン!」と叫ぶと、霊符れいふから鳥の形をした式神が現れてフレネに暴風を浴びせて足止めをした。私はその隙にセツさん倒れたセツさんに駆け寄って、彼女をりながら朱里しゅりさんの所まで運ぶ。


なんとか運び終えると、朱里しゅりさんは更に御札おふだを取り出して、それを折れて開放骨折してる右足と蹴り抜かれた顔面に貼り付けた。


さっきの飛び膝蹴りはセツさんの脳に直接ダメージが入って、彼女は急性脳内出血を起こしていた!!


「荒療治なるけど我慢してよ!」


臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前、と九字を切る。


鬼脈開きみゃくひらけ 魔血逆流まけつぎゃくりゅう にく悪魔あくまとなれ!

骨砕ほねくだけ 肉裂にくさけ されどするな 再生せよ!


オン・バサラ・ギャギャ・ウン・ハッタ!

ノウマク・サラバ・タタギャタ・バサラ・ギャギャ・エイッ!!」



ドクンッ



鼓動の音が響き渡ると、セツさんが声にならない声を張り上げた!!


途方もない痛みが右足と頭を襲うけど、右足が逆再生したかのように骨折が治っていき、同じ様に頭も汗が蒸発していくように煙を上げながら傷や脳の出血が治っていってる。


けどその時だった。


朱里しゅりさんの頭から突然血が噴き出して、白目を剥いて意識を失ってしまった!



朱里しゅりさ……っ!!」



朱里しゅりさんの名前を叫んだ直後、目の前を何かが通り過ぎた。


朱里しゅりさんが足止めに放った式神しきがみが投げ飛ばされて、振り返るとそこにフレネが笑って立っていた………!

式神しきがみが破壊されて、その反動で朱里しゅりさんは意識を失ってしまっていた!



「アッハ、あんなので足止めになると思ってたのかな?」

「クッ………ソがぁ……!」



最悪の展開だった………。


セツさんは荒療治でギリギリ足の治療は間に合ったものの、脳内出血の方はまだ完治していなくて、フレネに向けて銃口を向けるも視界がボヤケて照準が定まらなかった。


セツさんは何とかして上体を起こすも、うまく身体を動かせずにいた。


いくら身体が頑丈な人外だとしても、脳内出血を起こしてしまえば出血した血液が脳を圧迫することによって様々な症状が出てしまう。セツさんの場合は視覚の異常と、手足が動かしにくくなっていて、持っている大型拳銃グリズリーの引き金を引けるかもあやしい状態だった。


(マズイ……このままじゃ………!)


セツさんも内心焦っていた。


魔人化して、エレボス・ニュートリノを使って右腕は奪ったものの、たいしたダメージになっていない。それどころか30年前より明らかに強くなっている。


いくら魂が妖魔化していても、人間の魂に寄生して生まれ変わっていても、17年生きてただけでどうやったらここまで強くなれたのか理解が出来なかった。


でもフレネはセツさんの表情を見て笑うと、彼女はセツさんの考えていることを分かったかのように喋りだした。


「アタシがなんで強くなってるか、理解出来てない顔ね、ブレッドウィッチ?」

「…………」

「フフっ、じゃあ気分も良いし、ちょっとだけ教えてあげよっか?」


私達の眼前までゆっくり歩いてくると、フレネは身体をポルターガイストで浮かせて、足を組んで座る仕草をして語り始めた。



「答えは簡単w

魂喰い(ソウルイーター)の禁術をこの身体にほどこしただけよ」

「な……」



セツさんは驚いた表情をして言葉を失った。



「さすがにブレッドウィッチは知ってたみたいね?

アンタの中に居る悪魔にでも聞いたことあるの?」

「………なるほど、たしかにソレをほどこしていたら強いのも納得するが……正気を疑う所業しょぎょうだって事を理解しててやってるのか!?」

「当たり前じゃないw

でなきゃオモシロくないでしょw」



激昂げっこうするセツさんに笑い返して、フレネはケラケラ笑い始めた。


正気を疑う所業しょぎょうって………いったい……なにをして………



「……なるほど、たしかに…正気を疑うわね」



反動で意識を失っていた朱里しゅりさんが目を覚ました!


途中から聞いていたのか、ゆっくりと立ち上がりながら私の肩に飛び乗って、フレネを睨みつけた。


そして、その魂喰い(ソウルイーター)の禁術を私に教えてくれた。




魂喰い(ソウルイーター)。それはね、別名"胎児喰たいじぐい"って呼ばれる狂気の禁術よ」

「え………」




胎児たいじ……い………?



「コイツは、自分の身体ではらんだお腹の子供を、自分で腹を裂いて取り出して食べたのよ」

「ッッッ!!??」

「自分の身体を使って命を作り出して、その作り出した命を自分で食べる禁術。無垢で純真たる胎児を食べて、その純真無垢をけがすことで、暴虐の呪いの王たる邪神の力を得るとされるものよ」



なに……それ…………


聞いていておぞまし過ぎて……自然と身体が震えてくる。

けどフレネは私の様子を気にもせずに、ケラケラしながらその時の事を喋ってきた。



「生まれ変わったし、身体も作り直したから、せっかくだからやってみようって気になってねw

パパ活マッチングアプリで適当に男を捕まえて、はらませてもらったと同時にその男も殺して死霊にしてやって、やってみたら驚くくらいに強くなっちゃったんだ〜♡

下半身でしかモノを考えられないバカも同時に釣れて、まさにイッセキニチョウってねw」



嬉々として喋るフレネに嫌悪感が強くなってくる………。



私の………私の大切な幼馴染みを殺しただけでなくて…………その家族も、尊厳も、何もかもメチャクチャけがして……………!!!!



「アンタは………」

「ん?」

「アンタは……どこまで莉桜りおちゃんを冒涜ぼうとくすれば気が済むのよ!!!」



あまりの所業しょぎょうに、私は感情が爆発して、涙を流しながら声を張り上げて叫んだ!


そんな私の顔を見ても、フレネはなお笑い続けて嘲笑ちょうしょうしてきた。



「アッハハハハハ!

なにそんな事で怒ってんの?w

アタシの身体なんだし、アタシの顔で、アタシのモノなんだから、あんな子供と一緒にしないで、よw」



嘲笑ちょうしょうしたと同時に、フレネが指先を振ると圧が放たれ、赤ちゃんの泣き声が鼓膜こまくに直接響いてくる。


私は胸の底から気分が悪くなって吐き気をもよおして、セツさんと朱里しゅりさんは怪我けがや反動で体を上手く動かせない。



フレネが放つ圧は、邪神の力。



その邪神の名前は、シュブ=ニグラス。


クトゥルフ神話の外なる神の一柱で、「千匹の仔をはらみし森の黒山羊」の異名を持っている。無数の怪物的な子を産み落とし、腐敗ふはいした豊穣ほうじょうと生命の狂気をつかさどる存在で、無垢な命をけがす「母なる呪い」の象徴しょうちょうとされる邪神。


そしてフレネが得た力は、『千匹せんびき』。


腹の中に千匹の邪神の胎児達がうごめき、フレネの中で殺されていき、邪神の禍逆魂まがさかたまを手に入れられる危険な力だった。


そしてその禍逆魂まがさかたまから作られる破壊の光。



「ここで佳鈴かりんちゃんが死んだら、龍太郎りょうたろうくんはどんな顔するかな?w」



ちょっと試してみようみたいな表情で、私達に破壊(ファンタズマ)光線(・シュトラール)を向けてくる。


朱里しゅりさんが気力を振り絞って、根性で結界を張る!



「ムダムダw この破壊(ファンタズマ)光線(・シュトラール)は邪神の禍逆魂まがさかたまで作られた強化版。言ってみれば、禍孕ノ(ニグラス・)破壊光線(シュトラール)

産まれてくるはずだった我が子(邪神)の無垢なる呪いと無念が込められたもの。

人間から生み出されたうらつらみなんかとはケタ違いに強い純粋な悪意の力♡

当たれば存在ごと消し去るから、そんな結界なんか役に立たないよ♫」


そんな事は朱里しゅりさんも百の承知だった。


けど、何もしないよりはマシだと思いながら、今貼れる最高硬度の結界を張った。


セツさんもどうにかしようと、痺れる右手に魔力を込めて、フレネが禍孕ノ(ニグラス・)破壊光線(シュトラール)を撃つ瞬間を狙って軌道きどうを逸らそうと考えるが、成功する確率はとても低い。

そんな事は分かっていても、やるしかなかった。


私達の焦燥しょうそう嘲笑あざわらうように、フレネは禍孕ノ(ニグラス・)破壊光線(シュトラール)を撃つタイミングをらしてくる。


緊張感が高まり続けて、ついにフレネが禍孕ノ(ニグラス・)破壊光線(シュトラール)を撃とうとした……その瞬間だった!



「はい、そこまで〜♫」



気の抜けた感じで、フレネの禍孕ノ(ニグラス・)破壊光線(シュトラール)を握り潰しながら一人の男が割って入ってきた。


「な…!?」

「っ!?」

「え……この人!?」


みんな……その男に見覚えがあった。



以前、私がセツさんに誘拐されて、埠頭ふとう龍太郎りょうたろうとセツさんが戦った後、その場をメチャクチャにして、埠頭ふとうを火の海にした男!!



「なに?なんでアンタが入ってきてんのよ?」

「いや〜、オマエ暴走しやすいからさw

もしかしたら佳鈴かりんちゃんを殺しちゃうんじゃないか〜、って思って来てみたら案の定じゃんw」




フレネの禍孕ノ(ニグラス・)破壊光線(シュトラール)を潰して、私達を助けたのは、まさかのナナシだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ