第56話 紅い再会
お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)
さてそれでは、佳鈴の視点からスタートですよ〜!
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ!」
いつぶりだろうかな?
家から学校まで必死に走って来た私は、校門前で荒れた息を整えていた。
両膝に手をついて、肩で息をして、全身に汗をかいて制服のシャツが張り付いて、スカートの中も蒸れて少し気持ち悪い。
目に汗が入りそうでハンカチで拭うけど、汗を吸い過ぎてハンカチが役目を果たしてない。
仕方無いから絞ると、汗が太陽で焼かれたアスファルトに少しだけ垂れて蒸発する。
あらためて汗を拭って、校門から学校見上げる。
夕陽で赤く染まった学校は、まるであの時の………莉桜ちゃんと一緒に忘れ物を取りに来た時の様な無気味さを醸し出していた……。
「……莉桜ちゃん」
思い出したくない……。
けど、何故か行かなきゃと思ってしまう。
人気の無い校舎の玄関の扉を開けて、自分の靴箱へと向かい、上履きに履き替えて、ゆっくりと教室へと向かう。
もう夏なのに、何処かひんやり冷たい空気が校内に漂う様な感じがして尻込みしてしまう。
あの時もそうだ。
人気の無い校舎に入って、あの時は莉桜ちゃんと一緒に図書室に………
「あれ……?私、なんであの時、図書室に行ったんだっけ………」
何処か……記憶が抜け落ちてるような………
得もれしない気持ちが私の心を蝕んでいく。
……そうだ、確か莉桜ちゃんが珍しく忘れ物をしたから取りに戻って………
(何を、忘れたんだっけ………?)
そこが一番思い出せない。
思い出そうとすると、キーンって耳鳴りがして頭が痛くなる。
思い出さないといけない。
けど、思い出したらダメだという矛盾した思いが私の中でグルグル回ってく。
だんだん気持ち悪くなってきた。
「ウプ……」
吐きそうなる。
思い出せないまま私は校舎内を歩くが、誰一人、それこそ用務員さんですら居ないことに私は気が付かなった。
莉桜ちゃんが待ってるけど、なんで私は……
「なんで私、あんなRain信じたんだろ………」
おかしい
莉桜ちゃんは、私の目の前で死んだ。
その後、龍太郎があの大きなカマキリを倒して、莉桜ちゃんの遺体を取り戻し………
ズキンっ!
「痛っつ………!」
頭が痛い!
歩みを止めて壁にもたれ掛かってしまう。
『どうしたの?』
急にあの時の記憶を思い出す。
『図書室に#$©€%¥忘れたかも』
『ホント?じゃあ取りに戻る?』
『ごめんね佳鈴ちゃん、ちょっとだけ付き合って?』
『いいよ〜』
なんだっけ……
あの時、莉桜ちゃんはなんて言ったんだっけ……?
思い出さないと…いけないのに…………
思い出そうとすると頭がすごく痛い!
なんか……このままじゃダメな気がしてきた。
校内の静けさが、まるで私を飲み込む闇のように思えてくる……。
誰もいない。足音も、話し声も、ただ自分の心臓の鼓動だけが耳に響く。
(行かなきゃ……莉桜ちゃんが待ってる……)
でも、どこかで別の声が囁く。
「行ったらダメ!思い出したらダメだよ!」と、頭の中でキーンと耳鳴りと共に響き、記憶が断片的にしか浮かばない。
莉桜ちゃんの忘れ物は何だった?
私は上履きのつま先を擦りながら、ゆっくりと廊下を進む。教室は3階。階段を一歩踏み出すたびに、
床が軋むように感じてしまう。
冷たい空気が首筋を撫で、汗で濡れた制服が肌に張り付く。
気持ち悪い。
なのに、足は止まらない。まるで何かに引っ張られるように………。
階段を上り始めると、暗闇が濃くなる。
夕陽の赤い光が窓から差し込むけど、なぜか光は階段の奥まで届かない。
まるで闇が光を飲み込んでいるみたい…。
(ここ……本当に学校?)
階段の踊り場に差し掛かると、突然、ガタン! と音が響く。私はビクッと肩を震わせ、振り返る。
誰もいない。
でも、階段の下に何か動く影が見えた気がする。
いつかのあの巨大なカマキリを思い出してしまう。
「誰か、いるの…?」
声を出してみるけど、校内に反響して虚しく響くだけ。
震える足で一歩ずつ登る。
階段を上り切ると、3階の廊下が広がる。
長い、暗い廊下。
教室のドアがズラリと並び、どれも閉まってる。でも、私のクラスのドアだけ、わずかに開いてる。
そこから、かすかに光が漏れてる。赤い光。まるで血の色。
頭の中で、莉桜ちゃんの笑顔と、妖魔に喰われた血まみれの姿が交互に浮かぶ。
キーンと耳鳴りがまた鳴り、頭痛が強くなる。
私は額を押さえ、よろめきながら歩く。すると、廊下の奥から、クスクスと笑い声が聞こえる。
心臓が跳ね上がる。
私はドアに近づき、震える手で取っ手を握る。
ガラガラと音を立ててドアを開けると、教室の中は真っ赤に染まってる。
机や椅子はいつも通りだけど、窓の外は血のような夕陽が広がり、空気が重い。
そんな教室の中に、教卓の上に座って、綺麗な裸足をプラプラさせているセーラー服の少女が笑顔で待っていた………。
「久しぶりだね、佳鈴ちゃん」
私は……目を見開いて驚いた………。
ホントに………眼の前に莉桜ちゃんがいた………!!
「なぁに?その顔w」
信じられなかった。
だって………莉桜ちゃんはあの時に………!!
「莉桜………ちゃん…………?」
「うん?そうだよ〜」
ショートヘアーの、私より細くて、綺麗な緑色の眼をした私の幼馴染み。
思わず一歩後ずさると、ドアが勝手にバタンと閉まる。頭痛がする。
「なぁに〜?もう帰ろうとしちゃうの?」
莉桜ちゃんが………
「久しぶりの再会なんだから、いっぱいお話しようよ」
笑顔で話しかけてくる。
けど、その笑顔には、どこか不自然なモノが混じっていた。
前提として、佳鈴はある種の洗脳状態です。
ここからが難しいかったなぁ。




