表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第三章 穢れた胎の叫び
52/85

第51話 黒い予感

この話は残酷な描写があります。

なるべくマイルドにしますが、苦手な方はご注意ください。

放課後、私と龍太郎りょうたろうはいつもの帰り道から久しぶりに莉桜りおちゃんの家に続く道を歩いた。

ほとんど帰り道は同じだけど、莉桜りおちゃんの家は私の家から歩いて10分の所にある。


何度も歩いた道なのに、今ではずっと歩いてなかったような感じがする………。


そなえするわらび杏仁も買ってきた。

莉桜りおちゃんも福来軒ふくらいけんのわらび杏仁大好きだったし。


瑞希みきおばさんにも和龍茶わろんちゃの茶葉を買ってきた。


あんな噂を聞いたのが理由だとしても、久しぶりおばさんとは話したかった。丁度良いと言えば聞こえは悪いけど、私は少し楽しみにしていた。


グラピーの事も話したかったし。


佳鈴かりん、大丈夫なのか?」

「え?なにが?」

「あんな噂話聞いてから少し顔色が悪いぞ?」


……あ〜、龍太郎りょうたろうも聞いてたんだアレ。


「………正直言っちゃえば、ホントはすごく怖いよ。

でもそんなはずないって思ってる」

「……………」

「生存確認みたいなもんなんだから大丈夫だよ、話したい事も沢山あるから」


無理やり笑顔を作ってはみたものの、龍太郎りょうたろうは私の眼をジッと見てくる。


……やっぱり龍太郎りょうたろうにはバレてるな、私の不安。


何故かは知らないけど、心臓がずっとイヤな鼓動を打っていた。言葉には出来ない不安がさっきからまとわりついていて、を進めるたびに緊張が走ってる。


冷や汗も流れてる。

なんなのこの予感…………。


龍太郎りょうたろうは黙って私に付き添ってくれているからまだ歩けてるけど、たぶん一人だと行けない。そんな確信があった。


(なんでこんな気持ちになってるの……)


不安に押しつぶされそうで仕方に時だった。


「よ、今帰りか?」


後から声をかけられた。

隣に住んでるセツさんだった。


「……なんでお前がここにいる?」

「ん?なんでって散歩だよ」

「散歩?」

「今は仕事が無いからな、地域を散歩しながら暇潰ひまつぶししてるんだよ。

これでも金だけはあるからな」


ハンバーガーの入った紙袋を持ちながら散歩ですか?


「日本の食べ物はジャンクフードでも美味いからな、つい買っちまうんだよ」

「日本に来てまでジャンクフードかよ」

「良いじゃねぇか、ジャンクフードは心の栄養なんだよ」


………なんだか、龍太郎りょうたろうとセツさんとのやり取り見てたら笑けてきたw


アレだけの戦闘をして、その後に共闘してから時間は結構過ぎたけど、なんとなく少しだけさっきまでの不安が払拭ふっしょくされて安心してきた。


私がクスっと笑ったのに気付いた2人は言い合いを止めて、それぞれお互いにとって適切な距離になってから歩き出した。

龍太郎りょうたろうは私の隣に、セツさんは少し間を空けて私の後に着いて来だした。


「なんで着いてくるんだ?」

「なんとなくだよ、そう突っかかるなw」


笑いながらそう答えるセツさんに、龍太郎りょうたろうはそれ以上何も言わず、私達は歩き続けた。



(あ、そういえば………)



セツさんの顔を見て急に思い出した。

そうだよ、今日の朝から朱里しゅりさんが居なかったから聞きそびれてた。


「あ、あの…」

「うん?なんだ?」


昨日からずっと気になってた事を聞いてみることにした。


「昨日、YouTubee(ユーチュビー)朱里しゅりさんのチャンネル見つけちゃて……その………」


なんだろ、急に言っててなんか恥ずかしくなってきた。  


「ああ、見つけたのか」

「え、えと…その……ハイ」


さらにこっ恥ずかしくなってきた!?

なんで!?


私の恥ずかしくなってきた顔を見てセツさんは何故か吹き出してるし。


「プッ、ハハハw

まぁたしかに、知ってる顔があんな事やっててその事聞き出そうとしたら、そりゃ恥ずかしくもなるなw」

「………………(////*)」

「まぁ大した理由じゃねぇよ、ただ食事代をちょっと稼ごうとしてるだけさ」


……食事代?


「私と朱里しゅりとで食いもんの趣味が合ってな。

言うだろ?働かざる者食うべからずってな」


だからお金はあっても、何か働いて稼いで食べようってことを話してくれた。

それがあのVTubee(ブイチュビー)なんだ…。


というか、いつの間にそんな仲良くなったの?


「勝手なイメージだけど、朱里しゅりさんと一緒に食べに行ったら5万10万くらい飛びそうですね」

「この前食べた時は30万いったな」

「あのアホどんだけ食べてんだ………」


あの超有名大食いタレントさんもビックリするくらい食べてた。


「そういってやるなw

私が言うのもなんだが、霊力や魔力を持ってる奴は総じて大食いだよ」

「そうなんですか?」

「消費した魔力や霊力を食べたエネルギーから変換するんだよ。だから総じて魔力や霊力が強い奴はよく食べるんだ」


へぇ〜、知らなかった。

ってことは、朱里しゅりさんってメチャクチャ高い霊力の持ち主なのかな?


「アイツだだの胃下垂いかすいじゃなかったのか」


龍太郎りょうたろうも知らなかったらしい。


「個人差もあるから一概いちがいにも言えないが、まぁ食べる事は好きだろうなアイツは」


たしかに、食べてる時の朱里しゅりさんってすごく美味しそうに食べてるもんね。


どれだけ食べてるのかは想像つかないけどw

そして少し喋ってたら、アッという間に莉桜りおちゃんの家に着いた。


なんかすごく久しぶりに来たような気がするなぁ。

おばさん元気かな?


親子2人暮らしでちょっと小さいアパートでも、ここは私と莉桜りおちゃんとの思い出深い所だ。


だけど…………


「あれ…?どうしたの龍太郎りょうたろう?」


チラッと龍太郎りょうたろうの方へ視線を移すと、隣に居たはずなのに、龍太郎りょうたろうは数歩後に立ち止まっていた。


龍太郎りょうたろうは目を見開いて莉桜りおちゃんの家を凝視ぎょうししていて、額に大きな脂汗をかいていた。

龍太郎りょうたろうだけでなく、その後で一緒に歩いていたセツさんも、龍太郎りょうたろうと同じのように目を見開いて脂汗をかいている。



「おい………」

「あぁ、コレは………」



セツさんと龍太郎りょうたろうそれだけわすと、龍太郎りょうたろうが私の腕を掴んできた。


「え?」

佳鈴かりん、コイツの側に居てくれ」

「え? ちょ、龍太郎りょうたろう?」


私には分からなかった。


龍太郎りょうたろうとセツさんには視えていた。




このアパートの周りに漂う黒いモノを………。




それは俗称で言うなら、闇の魔力、瘴気、冥界魔界の風、と言われる不定形のもの。



事故物件や心霊スポットでもよく見られ、非業の死を遂げた魂やその残滓ざんし、あるいは異形の痕跡こんせきだったりしたもの。



私をセツさんに預けると、龍太郎りょうたろう莉桜りおちゃんの家のドアノブに手を掛けて、躊躇(ちゅうちょ)無く扉をゆっくりと開けた。


「っ!?」

「くっ!?」

「ッッッ!?」


扉を開けた途端とたん、ごみ収集車が通った後のような臭いニオイが……いや、それ以上のニオイが鼻をついた。


何このニオイ!?

おばさんキレイ好きなのに………特にニオイとかには気を使ってる人なのに、こんなひどいニオイを放って置くなんてありえない!!


「っ!? おい嘘だろ………」


龍太郎りょうたろうが扉を覗き込むと、そんな言葉を言って中に入って行く。

明らかに異常事態に、私は嫌な予感がよぎったって、私も龍太郎りょうたろうに続いて莉桜りおちゃんの家に入って行った。




「おい! バカよせっ!!」




セツさんの制止を振り切って中に入ると………そこは悍ましい光景が広がっていた。





「ッッッ!!!」





………ウソだ………………こんなの………………………っ!!




「っ! やめろ佳鈴かりんっ!! 見るなっ!!」




龍太郎りょうたろうが視界をさえぎったけど、遅かった……。




「お……おば…………おば…さん……」




ひど腐敗臭ふはいしゅうと、生臭い鉄錆てつさびの臭いが充満し、リビングに位置する部屋の床に寝転がっているおばさん………。


半目に開いた目は閉じず、小蝿コバエたかって一部ウジが涌いて、股から伸びるヌメっていた赤黒い紐のようなものが這い出し、肉の塊と絡み合っていた。


その塊は、血に濡れていたであろうが、乾いてどす黒く、まるで闇から這い出た異形の心臓のようにみえた………。


血管が不気味に浮かび、まるでうごめく未知の生物のまくのように、乾いたような鈍い光を放ってる。

私の心臓は恐怖と悲しみに締め付けられ、息が止まった。

この悍ましい物体が、おばさんの命を奪い、なおもそこに居座っているかのようだった。


頭がぐらつき、視界が揺らぐ。






ウソだ……………







ウソだウソだウソだ


ウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだ


ウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソ

だウソだウソだウソだ



ウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだ






「っ! 佳鈴かりん!」





頭の中がまとまらず、同じ思考がぐるぐる巡り、怖い、イヤだ、ウソだと感情もぐるぐる回り、限界を迎えた私は意識を失った。


親しい人を続けてうしない、私はその場で意識を失ってしまった………。


なんで…………こんな………………………



========================================


上空、成層圏せいそうけんより上、高度279.000フィート(およそ85キロメートル)の熱圏ねっけんけんに彼女は居た。

人はもちろん、ましてや生物はおろか、軍用飛行機ですら飛ぶことが無い超高高度の空の上。


彼女は私の一部始終を見てケラケラ笑っていた。


気絶して運び出される私を嘲笑ちょうしょう。ひとしきり笑い続けると、さらに笑いながら指を回して仕込みをほどこしていく。


「アッハハハハハハw!イーッハッハッハッw!

笑わせてくれるね佳鈴かりんちゃんw!」


お腹が痛くなり、涙が出るほどに私の反応がウケたらしい………。


「あ〜、面白かった! んじゃ、次のアトラクションの完成を急ごうかな♫

ずいぶん久しぶりの顔も居たからちょっと驚いたけど、どうせなら巻き込んじゃおっと♪」


彼女の言う久しぶりの顔……セツさんの顔を、遠目で見て、悪意に満ちた笑顔をコッチに向けてくる。


彼女の悪意に、私達はまだ気付いていない。



いや〜、アレを名称使わずに表現するのって難しい!

やり過ぎたらR15を通り過ぎる(^_^;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ