第46話 鬼の居る店
お疲れさまですよ〜∠(`・ω・´)
コレ書いてたら無性にラーメン食べたい!
ニンニクたっぷりで!!
お昼12:00
龍太郎と佳鈴が学校に行っている間、朱里は街の上空から辺りを見渡して異変が無いかを確認していた。
空から飛び、視える範囲で妖魔の痕跡は見受けられない。
索敵術も展開しつつ、感じ取れるネットリとした妖魔の気配は感じられない。
時代と共に妖魔もその姿や手法を変えて人間を襲い、中にはマンガやアニメからヒントを得て思いも寄らない所に隠れ住んでいる、もしくは擬態して人を襲い喰らい続ける妖魔。
朱里は佳鈴が襲われた際の目印となった道祖神があった場所に来ていた。
首が折れた道祖神達は、あの後そのままでは危ないという事で市によって撤去され、その後も新たな道祖神が置かれる事が無く、どこか寂しく感じてしまう…。
現場百回という言葉の通りに、朱里はもう一度索敵術を使い、妖魔の痕跡を調べ直す。
一ヶ月と日が経ち過ぎて、妖魔の力の痕跡も薄くなっているが、こういう時に隠れていた妖魔以外の力の痕跡が出て来たりした経験があった朱里は索敵術を使い続けた。
だが、やはり何も見つけられない。
本当にあの妖魔空間はあのカマキリだけで出来たのだろうか……?
ニセハナマオウカマキリにしても、あの程度の知能の妖魔では妖魔空間を作ることすら難しい。偶発的に作れてしまっと仮定しても、そもそも何故あんな面倒くさい行程にして作ったのかの理由が見当たらない。
佳鈴たちが閉じ込められた空間に入る条件は、有効範囲内で来た道を戻るというもの。
京都の渡月橋の十三まいりを参考にしたかのような仕掛け。
参拝した子供は、帰りの際、渡月橋を渡りきるまでは「後ろを振り返ってはいけない」。 振り返ったらせっかく授かった知恵を落としてしまう。っというのは有名な話。
この場合は命を失ってしまう…になるだろうが。
事実、佳鈴と龍太郎の幼馴染みである莉桜は命を落としている。
妖魔が関わっている以上、朱里も鬼の一族としての務めを果たすのに全力を注いでいたが、しかし未だに解決の為の糸口が見つからなかった……。
(やっぱりおかしい………コレだけの事細かくやってるのになんの成果も出ない……。
もしかしたら、妖魔以外の何かが関わってる可能性があると思っておいた方が良いかもしれないわね)
もしその場合が当てはまったら、また別のアプローチをかけていかなければならない。
でなければ次に何を仕掛けてくるかが解らなければ対策が出来ないからだ。
朱里は頭を悩ませたが、午前中飛び回っていたおかげでお腹が鳴った。
もうお昼かぁ、と思ったら余計にお腹が空いてきた。
「………ハァ、いったん切り上げてお昼食べるか」
朱里はお腹を鳴らしながら街の方へと飛んでいき、人気のない所に降り立つと身体のサイズを変化させてから、服も目立たないようにビジネス服へと変化させた。
さすがにいつもの巫女服モドキのような姿では人目に付くし、奇異の目で見られてしまう。
10年前程ではないとは言え、いつもの格好で歩いてもクオリティの高いコスプレとして見られる程度たが、それでもあまり目立つことはしたくない朱里ではあった。
が、朱里はアイドル顔負けの美貌を備えていた。
人外はどうしても人と接触を保つ為に、好感を持たれやすいように美しく、可愛いい姿になるように進化をしてきた。鬼も例外ではない。
その為に人外と結ばれた人間との間に出来た子供は美男美女が多かったりする。
が、中身が朱里である事に変わりはない。
彼女は質よりも量。
彼女ウキウキした気持ちである店に向かった。
そこは独特の臭いと強烈なニンニク臭が周囲を支配し、クーラーで店内をキンキンに冷やしている中で熱々のど迫力料理を提供する場所。
『豚々油田 ラーメン爆弾』
豚骨をベースとした、所謂二郎系ラーメンを出す店。
朱里が店の暖簾を潜ると、食べていた店の漢客達が一斉に朱里に視線をやる。
朱里は慣れた動きで一番奥のテーブル席着くと強面顔の店主がやってきた。
「来たな小娘、今日こそはお前を打破してやるぞ」
「ええ、受けて立つわ」
店主と朱里との間にバチバチと火花が散る。
この店主と朱里とはライバル同士と言っても過言では無い。
度々ネット上で炎上している二郎系だが、ここ店主は「出されたもんは全部食べ切る」を店のルールとし、残した者には2倍の料金を支払わせるという手法を取っていた。
ここでもいくらかは炎上したが、店主は「残すような輩に俺のラーメンを食う資格はねぇ」と一言で全てを切り捨てた漢の中の漢。
そう言ったら行き辛くなるだろうが、ちゃんと子供や女性が来た場合のメニューも用意している気配りもある。
初めて朱里がこの店に訪れた時、女性用の一般的な量でラーメンを出そうとしたが、彼女は当時の最大量を注文して一悶着したが、いざラーメンを出したらその最大量のラーメンを5杯もおかわりした。
驚きにアゴが外れる程に驚いた店主は、以降朱里が満足出来る渾身の一杯を求め、ラーメン開発をして提供し続けている。
そして今回も、彼女の胃袋を満たせる一杯を出してやるという、最早執念と言っても過言ではない思いでとんでもない商品を作り続けた。
「ほら、一丁」
そして出来上がって出された物を見て、周囲の漢客達は絶句した。
器は最早巨大なステンレスボウルに、10玉分の極太麺がドンと鎮座する。
茹で上げた麺はつやつやと輝き、モチモチの食感を予感させる。
そこに、ド迫力のキャベツ一玉分が山盛りで覆いかぶさり、シャキシャキの食感と甘みがスープに溶け出し、もやし3袋分は、麺と野菜の間に隙間なく敷き詰められ、瑞々しい歯ごたえがアクセントに。
主役級の叉焼は30本で、それぞれ10本ずつ焼き、煮込み、低温調理と別々の調理方法で作られたいた。
それが厚切りで所狭しと顔をのぞかせ、食べれば脂がとろけるように柔らかく、口に入れた瞬間に濃厚な旨味が広がこと必須。
スープは濃厚豚骨醤油、背脂がちゃっちゃと浮かんでコク深く、ニンニクの効いたパンチある香りが鼻を突く。
ボウルの縁ギリギリまで注がれたスープは、熱々で湯気を上げ、麺と具材を絡めとる。
「超爆盛りアンカーバスターラーメンだ。コレならあんたの腹も満たしてくれるはずだ」
ネーミングに劣らない超爆盛りのラーメンに、周りも固唾を飲んだ。
歴戦のフードファイターですら音を上げそうな量に、朱里はソッと箸を手に取り、「いただきます」と言葉を口にし、実食を開始する!
(これは……!)
口に運んだ瞬間から暴力的な旨味の波が押し寄せる。濃厚な豚骨醤油スープは、骨髄の奥深さと背脂の甘みが溶け合い、舌を包む濃密なコクがたまらない!
ニンニクの鋭いパンチが鼻腔を刺激し、醤油のキレのある塩気が全体を引き締める。
極太麺は噛むたびにモチモチとした弾力が歯を押し返し、スープをたっぷり絡めて口内で踊る!
キャベツのシャキッとした甘みともやしの清涼な歯ざわりが、スープの重厚さを絶妙に中和。
叉焼は、脂の甘さと肉の旨味が溶け出し、一口ごとにジュワッと広がる幸福感がたまらない!
後味にはほのかに胡椒のスパイスがピリリと効き、食べ進めるほどに中毒的な満足感が全身を支配する。
この一杯はただのラーメンじゃない!
味の爆発で五感をブチ抜く、究極のガッツリ体験!
(大将、アンタ最高だよ!!)
尚も箸が止まらない朱里はひたすらに箸を進めた。
ズルズルと麺を啜る音と、キャベツやもやしのシャキシャキした音が無音の店内に響き、朱里の美味しそうな表情に周りの漢客達も生唾を飲む。
そして…………
「ゴクっゴクっ………ぷはぁ~♡」
全て食べ切った。
スープも一滴残らず。
それも20分で。
「相変わらずスゲー……」
「動画撮るの忘れて魅入ってしまう」
「バケモンの胃袋だ………」
「奢りたい」
一部ちょっとズレた思考の漢客もいたが、皆朱里の食べっぷりに感嘆していた。
「大将………」
そして、運命のジャッジが下される……。
「おかわり!」
「なっ!?」
「ええぇぇぇぇぇーーーーーーー!?」
その場の全員が絶叫した。
そして店の大将は床に手を着いて悔しさを露わにした。
「またか………まだお前さんを満足させる一杯に届かないのか!?」
「今回は8割満足いく出来だったわよ」
「これでまだ8割………残り2割か……………!!」
アレだけ食べてまだ食べる朱里に恐ろしさを感じる一方で、ここまで気持ちの良い食べっぷりにキラキラとした謎のフィルターが漢客達にかかって朱里が魅力的に感じてしまう。
大将は次こそは!っと悔しさを胸に、新たに超爆盛アンカーバスターラーメンを作り始める。
朱里が楽しみに待っていると、1人が彼女のテーブルの対面に腰掛けた。
「見てたぞ、美味そうもん食ってたな」
「アンタ……」
今朝隣に引っ越してきたセツだった。
周囲の漢客達は何事か?と思い聞き耳を立てる。
「なによ、悪い?」
「別に悪かねぇよ、むしろ感心する」
どうやら知り合いのようだ。
でもなにやらあまり仲はよろしくないような……
「にしても美味そうに食ってたな?」
「美味しいわよ、気になるんならアンタも頼んだら良いんじゃないの?」
おいおいおいおいおいおいおいおい!!
漢客達は心の中で総ツッコミを入れた。
いくら知り合いだろうが、朱里専用に作られたであろうあのラーメンを人に勧めるとか……
「それもそうだな、すみませ〜ん!
私にも同じやつ下さい」
「「「「「「「「「「マジかよっ!?」」」」」」」」」」
今度は声に出して総ツッコミ。
大将はセツを一瞥すると、一言「あいよ」と了承した。
「「「「「「「「「「「「イヤ大将!?」」」」」」」」」」」」
まさかあの大将が一見さんであるセツに忠告もせずにそのまま注文を受けるなんて!?
たまにだが、二郎系ラーメンをネットにアップする為に写真を撮って残すなんて事も未だにある事だから、ここでは本当に食べ切れるかを聞く。
それを省いて注文を受けた事に周りの漢客達は心底驚いていた。
そして…………
「あいよ、一丁」
運ばれた2つの超爆盛りアンカーバスターラーメン。
それを2人は、
「「いただきます」」
そして、
「「ごちそうさまでした」」
見事に食べ切っていた。
「「「「「「ウソだろオイ……」」」」」
朱里が食べ切る事は分かっていたが、一見さんであるセツまでもが食べ切った事に、店内の人間は全員驚いていた。
「大将、美味しかったわ」
「良いパンチの効いたもん出すなぁ、また来るか」
食べ切った2人は会計をして、一緒に店をあとにした。
ちな、超爆盛りアンカーバスターラーメンの値段は、一杯9.200円。
「まいど」
「ごちそうさまでした〜」
「ごちそうさま」
暖簾を潜り、店の戸が閉められると店内は少し静かになった。
残された漢客達は稀に見るスゴイものを見て、自分達も食べられる事に感謝しながら、スープを吸って伸びに伸びてしまった麺を啜りながら食べ終えていった。
「アンタも人のこと言えないくらいに食べてたわね」
「そうか?まぁアレくらいの量なら普通だぞ?」
「何基準なのよそれ…?」
「ジャンクフード文化のアメリカ基準だな」
「アンタが言うと説得力あるのがなんか腹立つ」
「ほう、ならこの近くでイタリア人がやってる巨大ピザのミルフィーユコースってな物があるんだが、食べたくないって事だな?」
「何その情報!? この辺りの店を知り尽くしてるハズの私が知らない店!?」
「フッ、お前達の事を教えてくれるなら連れて行ってやるぞ?」
「アンタ………交渉が上手いわね」
「悪魔も鬼も、糖質が一番の好物みたいだなw」
「うぬぬ〜…」
「まぁご近所付き合いってことでさ、付き合ってくれよ?
奢るからさ」
「え!?ホント!?」
「まだまだ食えるだろ?」
悪魔と鬼は聞いてて胸焼けしそうな会話をしながら次の店へと向かって行った。
同じテーブルを囲んだ2人は、少し仲良くなった……かもしれない。
書けば書くほどにお腹が空いてきたw
注文した料理は食べきろうね!
今回は以上です∠(`・ω・´)
ちな、超爆盛りアンカーバスターラーメンのカロリー表は↓
総カロリー計算
麺:2,500〜3,000kcal
叉焼:5,500〜7,500kcal
キャベツ:200〜240kcal
もやし:84〜105kcal
スープ(飲み干し):700〜1,500kcal
背脂・調味料:500〜1,000kcal
合計:9,484〜13,345kcal




