第41話 紅い悪魔
お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)
Let's Rock Baby!
見せろ!悪魔の力!!
人喰いJJ達が現場を去ってから少し、GRMの連中は慌ただしく撤収の準備をしていた。
バケモノの力を借りたとはいえ、ここは人の住む街。当然その街の治安を守る為に警察がいる。
JJのバインドボイスで皆フラフラしながらではあったが、警察が来る前に私とドムの遺体を車に積み込む作業を開始する。
だが、こういう場合必ずやらかすバカ1人いる。
セツとドムに突き刺さっていたJJの黒い骨に弾みで触れてしまい、1人呪死してしまう。
触れた箇所は黒ずみ、神経から一気に腐りだして脳に到達し、加速度的に萎縮。激しい頭痛が襲い、目から黄色い膿が異臭を放ちながら流れ落ちる。
顔面は死への恐怖と痛みとで狂乱したような表情で白目を剥き、そのあまりにもな光景に一瞬時間が止まってしまったかのような静寂がこの場を支配する。
が、リーダーの男が発破をかけると、連中は恐怖しながら、吐き欠けて口を押さえながら作業を再開した。
そしてセツ達の遺体を車のトランク部分に詰め込んで、車を発進させてとある場所へ移動しようしていた。
ソルトレイクシティから車で凡そ15km先に、「ウィロー・クリーク・ストリップ」というトゥーイル近郊の荒野に位置する小さな飛行場。既に廃れてはいたが、滑走路はまだ使える状態で残っており、GRMの連中はそこに数人乗りのセスナ機何機か隠しており、空路でアメリカ国内にある何処かのアジトに向かう予定だった。
あとはそこで2人の遺体を晒し、ドムの遺体は切り刻み、セツの遺体は死の尊厳すらも傷付けるつもりでいた。
だが、ここで連中にとって大きなトラブルが発生した。
それは、セツとドムの遺体を積んでいた車内からだった。
車に4人が乗り込み、各々アジトに帰った後の宴に胸を躍らせながら目的の場所へと車を走らせようとエンジンをかけた瞬間だった。
ゴトっという音がトランクの方から聴こえて、後部座席に座っていた男が何だと思い、軽く後ろを振り返ってトランクの方へと向いた瞬間だった。
後部座席の硬いシートとボディ、そして男の身体を、銃を固く握った腕が勢いよく貫いた!
「ゴブっっ!!!」
パパパンっ!!!
銃声が3発一気に響き、車内のガラスに男たちの血が飛散し、突然の銃声にGRMの連中が何事かと飛び出して警戒態勢を取った。何が起こったのか状況を見る為に、1人が銃を構えながら車に近寄ろうとした……瞬間、銃声のした車のトランクボディが物凄い音を立ててブッ飛んだ。
それと同時に、バキッと乾いた音が響き渡る。
連中は銃口を向けてトランクの方へ凝視し、トランクから出てきた人物を見て絶句した。
死んだ筈のセツが、JJの呪いの骨が半ばから折れて胸に刺さった状態のままで出てきのだ。
GRMの連中は目を疑った。
蜂の巣にされ、JJに胸を貫かれてたのに、何故この女は生きている!? そう疑問が奴らの頭の中を支配したが、セツの容姿の変貌に気付いたのは極わずかだった。
長く黒い髪が紅く染まり、黒い瞳も青く変わっている。
だが、呆けていたその時間は命取りとなった。
能面の様な表情で、二丁構えたセツの銃が火を吹いて6人頭を撃ち抜かれた!
そうなってやっとハッとし、連中は慌ててセツに向かって銃を撃ち始めたが、セツは身を低くして銃弾を掻い潜り、連中の撃ってくる弾の弾道を縫うようにして撃ち返した。セツの撃つ弾丸はまるで吸い込まれる様にして敵の頭と心臓を撃ち抜き、さらにアクロバットな動きで予想外な方向へ動いてGRMの連中の虚を突いて隙を作り、次々と数を減らしていった。
だが、
バキンっ!!
セツの銃が銃身から爆発して壊れてしまった!
悪魔を受け継ぎ、今まで扱ったことのない力である『魔力』が溢れてしまったせいで、銃に魔力が過剰に込められ、耐えられずに銃が暴発して壊れてしまったのだ。
これを好機と見て連中は勢いづいてセツに突撃していったが、攻め立てようとした連中は出鼻を挫かれた。
銃が無くてもセツは近接格闘術も使え為、セツは連中に撃たれる前にトップスピードで接近し、喉を蹴り抜いて相手の銃を奪い、すかさず銃を撃って数を減らしていく!
数発撃てば銃がまた壊れ、また急接近して銃を奪って撃つ。
連中は次第に劣勢になっていった。
「バカな……あり得ない!!」
GRMのリーダーが顔面蒼白で喚いてこの現実を否定するが、確実に向かって来ている死の足音に奴は恐怖した。
何が起こってこうなった?
なんで死んだ筈の人間が俺達を殺している!?
コイツは一体何なんだっ!!??
「お前達!ここで時間を稼げ!!」
リーダーはそう言うと少女2人を車に乗せて、一目散に逃げ出した。他の連中はリーダーの声を聞いてギョッとしてはいたが、セツという相手がいてそれどころではない為に現場は混乱していた。
セツに次々と仲間を殺されて、指揮官がいなくなって、どうやったらセツを仕留められるのか分からなくなっていた。
戦闘訓練はしていたが、現場経験の無い新兵の1人が、恐怖で車に積んでいたダイナマイトに火をつけてセツに投げたのだが、千里眼を有しているセツの視野は凡そ360度。ダイナマイトを視認したセツは飛んでくるダイナマイトに猛スピードで接近し、導火線の長さを見て最良の位置に止まると、なんと彼女はダイナマイト投げ返した!!
新兵の目は見開かれて、彼は爆発の光に目を焼かれながら爆散し、爆発は車に積んでいたダイナマイトにも誘爆して大爆発を起こした!!
大きな爆風が現場をさらに混乱に陥れ、吹っ飛ばされて地面に身体を打ち付けたGRMの連中にセツは容赦無く弾丸を撃ち込んだ。
また銃が壊れてそれを投げ捨てたセツは、ヨロヨロと立ち上がろうとする1人のアゴを蹴り抜き、その流れで相手の首に足を絡めて後方へ頭から投げ落とした!
頭から落とされて頭骨が割られ陥没した奴からショットガンを奪い、魔力を流して倒れている奴に向けて撃つ。散弾は基本至近距離で最大威力を発揮するが、セツは散弾に込めた魔力で中の鉛玉を全て跳弾させ、倒れているを輩の頭に穴を開ける。
どんどん殺られていく仲間を見て激昂する者達もいたが、セツは振り返りもせずに身を屈めて弾を避け、振り向きざまに一発撃って牽制して、怯んだ所で急接近し、1人は心臓に大きな穴を開けられ、もう1人はショットガンをホームランバットのようにして頭を殴られ、仰向きに倒れた所に股間を撃ち抜かれ、最後の1人に突進して銃口を口の中に突っ込み、そのまま引き金を引いた。
そしてタイミングを同じくしてショットガンの銃身が破裂して壊れ、セツはソレと一緒に胸に刺さっていた黒い骨抜いてを投げ捨てた。
少しした後、ダイナマイトの大爆発に驚いたムハンマド達がやって来て、その凄惨過ぎるこの状況に絶句した。
「これは………オマエがやったのか?」
死体と血と炎の中に1人佇むセツに恐怖を抱きながら問いを投げるが、セツは黙ったままドムの遺体のある車まで歩き、彼に刺さっていた黒い骨を引き抜いて、彼の手に握られていたリボルバーを拾って握り締め、ムハンマドの元に歩み寄る。
「すまないが、ドムを少しの間預かってててくれ」
「なんだその変わりようは………一体何が……………?」
近寄られて初めてセツの変貌に驚いたムハンマドは動揺したが、セツは彼の反応を無視してそれだけ言うと、GRMの連中が乗ってきていたバイクに跨ってエンジンをかけ、ムハンマドの制止を無視して逃げ出したリーダーを追いかけ始めた。
===================================
ソルトレイクシティから15km、ウィロー・クリーク・ストリップという廃れた飛行場。
ここにはGRMの連中が数名在中し、連中が隠し持っていたリーダー専用のセスナ310が1機と、ダグラスDC-3が1機あった。
侵入して来る者がいないか警戒はしていたが、何もないから連中は1人を見張りに出して、他の連中は賭けポーカーで盛り上がっていた。
自分が1人寂しく見張りをしている中で、他の連中が笑いながらポーカーを楽しんでいて心底ムカついていた1人がタバコに火をつけ、一服していたら、そこに猛スピードを出してきた車が1台フェンスを突き破って来た。
男達は異常事態に反応して即座に銃口を車に向けて即射出来るようにするが、出て来たのは血相を変えたリーダーだった。
「おい!! 今すぐ俺のセスナが飛び立つ準備をしろ!!」
「えっ!? リ、リーダー!?」
「落ち着いてください! 他のみんなは…」
「全員死んだ!! 俺達は踏んじゃいけない虎の尾を踏んじまったんだ!!」
あまりの剣幕に部下たちは動揺したが、リーダーが連れてきていた少女達も、何か途轍もないモノを見たのかガクブル震えていた。
異常事態だと判断した部下達はすぐにセスナ機の準備に入った。
「機体の点検は最低限で良い!飛べれば十分だ!!
コックピットと荷物の確認をしろ!!」
懐中電灯を手にセスナの周りを素早く走る。機体の表面を一瞥し、プロペラに異常がないか、燃料タンクの蓋が閉まっているかを確認。普段なら30分かける外部点検を、わずか数分で終わらせた。「燃料は十分だ! 見た限り問題なし!」と叫び返す。
とその時、見張りの高台に登っていた1人が遠目から暗闇の中で一つのライトの光が見えたのが見えた。
「リーダー!何かが猛スピードで急接近しています!!」
リーダーの背筋が凍った。きっとヤツだ。殺したはずの女が蘇り、髪を紅く染めて眼を青く光らせて…………っ!!
リーダーは最低限の点検を省略して発進準備を命令しした。
普段なら入念な点検も今は省略だ。
操縦席に飛び込み、計器盤のスイッチを次々に入れる。アナタログ計器が鈍く光り、燃料計の針が動く。「計器正常! 無線も生きてる!」と報告。後部座席に荷物を放り込み、重量バランスを無視して適当に固定。
「荷物よし! 早く乗れ!」
エンジンカバーを開け、オイルと燃料ラインを素早く確認。「エンジン問題なし! 始動準備OK!」と声を張り上げる。
リーダーがコックピットに滑り込み、双発エンジンの始動スイッチを押す。プロペラが唸りを上げ、セスナ310が震えた。
「エンジン正常! 離陸準備が出来た!全員乗れ! 詰め込め!」
リーダーが命じる。
少女2人が後部座席に身を縮め、シートベルトを無理やり共有。他のを助手席に押し込み、他の連中も狭いスペースに滑り込む。5人乗りのはずの機内に、7人がギュウギュウに詰まった。
「滑走路へ直行! フルスロットルだ!」
リーダーの声は焦りに震える。操縦桿を握り、セスナを滑走路へ急ぐ。
背後ではセツが乗ったバイクが飛行場の柵を突き破り、砂埃を上げて迫る。双発エンジンが咆哮し、セスナ310は滑走路を加速。
窓の外を振り返ると、セツがバイクに乗りながらリボルバーの銃口を向けていた。
「あの野郎! 早く飛べこのポンコツ!!」
リーダーがセスナ機に暴言を吐きながら操縦桿を引くと、機体がふわりと浮かび、夜空へ舞い上がった。バイクのライトが遠ざかり、リーダーはシートに沈み込んで息をついた。
「逃げ切った…やったぞ…」
いくらアレがバケモノであっても、さすがに空さえ飛んでしまえば追い付くことは出来ない!
勝ちを確信したリーダーは安堵から笑い声が漏れ、ドンドンセツから遠ざかっていくことに歓喜した。
だが、彼等は知らなかった。
セツが受け継いだのが悪魔だけでは無い。
彼女は悪魔と同時に、ドムの十八番であった銃撃も受け継いでいた。
ソルトレイクシティでの惨劇を終わらせた後、セツは千里眼でリーダー達がどこに行っていたのかを目視で確認していた。当然、この飛行場跡地に飛行機を隠し持っていた事も分かっていた。
だが時間をかけ過ぎたせいで今から行っても間に合わないと踏んでいたセツは、ならばと思いドムのリボルバーを握り締め奴等を追いかけて来ていた。
これまで普通に撃っていた銃ではセツの魔力、悪魔の力には数発と保たない。
ドム専用にカスタマイズされたこのリボルバーなら耐えられると信じて、彼女は飛び立つセスナ機に向けて銃を両手保持で構えた。
カスタマイズされているだけあってドムのリボルバーは魔力を流しやすい。銃に魔界金属でも使われているのか、浸透率がさっきまでとは段違いだ。これなら、全力で魔力を流し込んでも耐えられるはず!
それにさっきまでは感じていなかったが、魔力を注ぐとは、己の血が吸い取られる様な感覚なんだと掌から伝わるような感じがする。
この、血が流れる様な感覚が魔力。
この力を限界までドムのリボルバーに注ぎ込む。それと同時に、悪魔の知識の中にあったタキオン粒子を銃口に凝縮する。
今の時代でも発見には至ってないこの超加速粒子と、悪魔の力である魔力を混ぜ合わせる。この二種は驚くほどに簡単に混ざり、アッという間に臨界にまで達した!
狙いを定め、飛んでいるセスナ機に向けてセツは引き金を引いた。
「魔電瞬撃砲」
レールキャノンは一瞬でセスナ機の燃料タンクを貫き、衝撃と火花、そしてレールキャノンの弾道に走るプラズマがガソリンに引火、セスナ機は空中で大爆発を起こして夜闇を明るくした。
炎とセスナの瓦礫が荒野を照らし、その炎はまるで浄化の炎の様にGRMの残党達の魂を焼き尽くしていくようだった…………。
「……………………」
セツは復讐を果たした。
果たしたが、彼女の心は癒えることはなかった。
そして………彼女が借りたドムのリボルバーは、ドム専用にカスタマイズされたスペックを大きく逸脱していた。
ドムも臨界まで魔力を溜められるが、セツ程にまで魔力を込めることは出来なかった。
彼のリボルバーは、まるで役目を果たしたかの様に鈍い光を反射しながら、銃身が大きく吹き飛んで爆発してるように無くなり、シリンダーに無数に亀裂入っていた……………。
悪魔の力を受け継ぎ、そして…………
まずは以上です∠(`・ω・´)




